スマートフォンのロック解除やオフィスの入退出管理などでおなじみの生体認証「バイオメトリクス」。近年目覚ましい発展を遂げている分野です。今後も研究開発が進められていくバイオメトリクスですが、私たちの生活にどう関わっていくのでしょうか。
バイオメトリクスとはどのようなものか、そしてこの技術のこれからについて見ていきましょう。
誰でも利用経験がある?バイオメトリクスとはどのようなもの?
バイオメトリクスとは人間の身体的もしくは行動的な特徴をすでに登録済みの情報と照合するシステムのことです。この技術は現代に生きる人ならばほとんどの人が利用したことがあるはずです。例えば上述のスマートフォンの顔認証や指紋認証でのロック解除、また銀行ATMの指静脈認証もバイオメトリクス技術の一つといえます。行動の特徴で判断するものの中には声や筆跡で認証ができるシステムがあります。
バイオメトリクスが注目されるようになった背景には、管理の問題、スキミング被害の増加があります。これまで、個人を識別するシステムとして「パスワード」や「ID」が使われてきました。しかし、パスワードやIDは他人に漏れてしまう恐れがあります。そのためバイオメトリクス技術でさらにセキュリティーを強化しようという流れになっているのです。
バイオメトリクスで用いられているのは、顔認証・指紋認証、指静脈認証以外にも「網膜認証」「虹彩認証」「声紋認証」などさまざまです。現在のところ安全性が高いのが「虹彩認証」、安全性が低いのが「指紋認証」や「署名認証」だといわれています。
バイオメトリクス研究や利用はどこまで進んでいる? バイオメトリクスの研究は今盛んに行われています。例えば米国では新しい認証方法として「汗認証」が研究されています。汗に含まれるアミノ酸のパターンを個人識別情報に使うというものだそうです。汗は時間帯により成分が変わるため、情報の登録に時間がかかるという課題もありますが、将来的にはスマートフォンのロック解除などの技術に利用する予定だそうです。
また、米国は出国時の管理にもバイオメトリクスの技術を使おうとしています。テロや犯罪防止のために、顔認証システムの利用を検討しているのです。ただし、このシステムの利用はプライバシーの問題もあり、まだ試験運用段階です。
新興国でもバイオメトリクスは多く利用されています。中国やインドなど人口が非常に多い国ではコストのかからない「指紋認証」が数億人に普及しているといわれています。
日本のバイオメトリクス研究の課題とは?
日本でもバイオメトリクスの研究は進められています。富士通が開発した「手のひら認証」は本数が多く配置も複雑な手のひらの血管を使って認証を行うものです。手のひらの情報は体内情報であるため、表面が濡れていたとしても読み取ることが可能です。また指紋認証とは違い、ケガや手荒れがあったとしても問題ありません。
この技術はすでに銀行ATMで利用されていますが、今後はカードレス決済にも応用しようということで実証実験が始まったところです。
さて日本も世界の国々と同様にバイオメトリクス研究を進めていますが、他の国に後れを取っているのが現状です。日本のバイオメトリクスは日本規格協会のJIS-TG(標準情報)の策定はしていますが、国際標準の策定が遅れているのがその理由だといわれています。バイオメトリクス技術をガラパゴス化させず、国際標準規格の開発をすることが今後の課題だといえるでしょう。
バイオメトリクスの発展、今後に要注目
バイオメトリクスは今後ますます私たちの生活に欠かせないものとなることが予想されます。生体認証を使うことでお金もカードも持たずに買い物ができる時代を生きることになるかもしれません。しかし、プライバシーの問題に向き合う必要があることも忘れてはいけないでしょう。バイオメトリクスが今後どのように発展していくか、これからも目が離せません。(提供:J.Score Style)
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