平成29年度改正で、平成30年度分からタワーマンションの固定資産税の算定方法が見直されます。この改正によって、注目事項であったタワーマンション節税に対応する相続税評価の見直しはありませんでしたが、固定資産税の改正によって相続税においても思わぬ影響が見込まれています。
現行の相続税評価において、建物は固定資産税評価額(家屋課税台帳の登録価格)を基に計算されますが、この登録価格とはマンションにおいては一棟全体の固定資産税評価額を指しています。そして、分譲マンションのような区分所有財産については、一棟全体の固定資産税評価額を各戸の所有者の専有面積に応じて案分して評価するとされています。
今回の改正では、固定資産税額を各戸の所有者に按分する際に、階層に応じて補正する仕組みが導入されるため、一棟全体の固定資産税評価額の変更はありませんが、課税明細書等に記載される固定資産税評価額は階層補正が反映されることになります。一方、相続税評価については従来通り一棟全体の固定資産税評価額を各戸の所有者の専有面積に応じて案分して評価するため、両者の金額は一致しないことになります。
上記の通り、固定資産税の計算においては階層補正が織り込まれることになりましたが、相続税評価をする上で、面積は同一でも上階になるほど価値が高くなることを利用する「タワマン」節税は、現段階では改正告示案でも盛り込まれていないため、当面有効な相続税対策であるといえます。
今後は、固定資産税の改正に該当するタワーマンションか否かによって、固定資産税評価額を相続税評価額に流用できる・できないといった違いが生じるため、注意深く判定していくことが必要になります。
(提供:チェスターNEWS)