2018年7月20日統合型リゾート施設実施法案、通称「カジノ実施法案」が参院本会議で可決され、成立した。すこし気が早いですが、もしもカジノで儲けた場合、どれくらい税金がかかるのでしょう?また、2017年はビットコインでたくさんの「億り人(1億円以上を稼いだ人)」が生まれましたが、仮想通貨への投資では税金関係はどうなっているのでしょうか?

カジノや仮想通貨、宝くじやtotoなど、一獲千金を狙う手段はさまざまですが、その儲けにかかる税金もまたさまざまです。本稿では、カジノと仮想通貨で利益が出た場合の税金について解説していきます。

カジノで1億円儲けたら税金はいくらかかる?

税金
(画像=PIXTA)

日本にカジノ施設ができるのがいつになるか、まだ正確にはわかりません。ただ、カジノで得た収益は、競馬、競輪の儲けなどと同様に「一時所得」と見なされ、課税対象になります。

一時所得にかかる税金には最高50万円まで特別控除が認められており、もしカジノでの儲けが50万円以下なら税金を払う必要はありません。カジノの儲けに対する必要経費がどこまで認められるかはまだ決まっていませんが、施設への入場料などは経費として認められる可能性があります。税額は、他の所得と合算した総額から算出されますが、一時所得の場合、その1/2を合算するだけでいいことになっています。

例えば、カジノで1億円儲けた場合、他にまったく収入がないとすると、一時所得は特別控除50万円を引いた9,950万円になります。その半分の4,975万円から基礎控除38万円を引いた金額が課税所得と見なされるので、所得税は約1,800万円、住民税は約500万円、あわせて約2,300万円が徴収されます。

仮想通貨で1億円儲けたほうが税金は高くなる

では、仮想通貨の場合はどうでしょうか。国税庁によると、2017年の確定申告で、仮想通貨の収入も含めた所得が1億円を越えた人は300人超いるそうです。

仮想通貨の取引で得た利益は「雑所得」と見なされます。雑所得の場合、一時所得のような特別控除もありませんし、所得の1/2は非課税という特典もありません。

仮想通貨で1億円儲けると、ほかの収入がゼロの場合、基礎控除38万円をのぞいた課税所得は9,962万円で、所得税約4,000万円、住民税約1,000万円の合計約5,000万円の税金が課せられることになります。

仮想通貨の売り買いは、リアルな外貨を取引する外国為替証拠金取引(FX)と、そんなに違いはありません。しかしFXのように税率が一律約20%の源泉分離課税扱いではないため、現状では非常に高額な税金がかかります。仮想通貨の場合、たとえ1億円儲けても、その半分が税金に消えるわけですから、税制面ではカジノ以上に不利といえるでしょう。

手数料や税金のことを考えるなら普通の金融商品が一番

1等数億円が当選しても一切課税されない宝くじやtoto、ロト6などが税金面では一番有利かもしれません。むろん、宝くじの場合、購入代金の約半分は税金としてあらかじめ徴収されていて、還元率は5割弱に過ぎません。

そう考えると、元本保証ではないものの、利益の100%が自らの収入となり、儲けに対する税率が約20%に過ぎない株や投資信託が、税金面では一番有利です。長い人生を通して着実にお金を増やしていくためのツールは、やはりカジノや仮想通貨ではなく、株や投資信託だといえるでしょう。

(提供:フィデリティ投信