弊研究所は独自に確立してきた手法に基づき、「定量分析」と「定性分析」から近未来のマーケットとそれを取り巻く国内外情勢について分析をし、その論理的な展開可能性につき随時発信して来ている。定量分析はアライアンス・パートナーが開発した世界最先端のアルゴリズムに基づくものであり、基本的には高度な確率分析である。もっともこれだけではトレンドが転換するタイミングしか分からないのであり、「そこで何が起きるからそうしたトレンド転換となるのか」についてはインターネットを筆頭とした媒体上で無数に流されている公開情報(open source)を熟練したスキルをベースに日々読み解き、そこで何者かの意図によって流されている「文献(narrative)」を読み解いていくしか方法が無いのである。

こうした独自の手法に基づく分析の結果を6か月に1回まとめ、近未来を展望すべく公表しているのが予測分析シナリオなわけであるが、その際に基本中の基本となっているのが「定点分析」と「比較」なのである。

ZUU onlineコラム
(画像=筆者撮影)

「IoT」が常識となりつつある今、世間には生データという意味での情報(information)が無数にあふれている。だが問題はそうした情報から近未来を指し示す「意味」を如何にしてつかみ取るかなのであるが、私たち日本人はそんなことについて学校教育を受ける中で一切習わないのである。そうした中で弊研究所は「いつも決まったネット媒体を定時に読み、そこで見つける記事と記事と比較することで気付いたこと・考えたこと・思ったことをメモしてみるべき」とかねてから推奨して来ている。

紙幅の都合上、ここではこれ以上詳しく書くことが叶わないが、これらをするだけでも実は多くの気づきを得ることが出来るのである。先般、我が国を含む世界全体の金融マーケットにおいて「瓦落」にも匹敵する下落が生じたが、その発生時点よりはるか前より弊研究所がこうした「瓦落」が発生する危険性について警戒を動画を通じて呼びかけることが出来たのも、日々この2つの原則に基づいて分析を続けていることによっていたのである。

無論、このコラムを読者が読まれる瞬間にも弊研究所はこうした意味での近未来分析を続けている。読者が今最も気にしているのは「日本株の”二番底“」であるわけだが、この点を含め、今年(2018年)の年末までの間に一体何が私たちを待ち受けているのであろうか。弊研究所が注目しているポイントを掲げるならば次のとおりである。

●株式マーケットは今後、年末までの間に複数回にわたり「大暴落」を経験することになる。我が国のみならず、米欧など世界全体においてそうなるのであり、これが世界システム全体の転換へとやがて連なっていくことになる

●そうした中で気になるのは「資産の逃避先があるのか、無いのか」であり、そうした逃避先の候補の一つが仮想通貨なのである。だが、残念なことに少なくとも最新の定量分析を見る限り、ビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨はこの年末までに株価同様、大暴落、いや「瓦落」の時を迎えることになる。そしてこれが「仮想」通貨ではなく、ハッキングに対して完璧な防御を施した「暗号」通貨への転換を遂に促すことになるのである

●我が国についてもう一つ気になるのが、先進国の中でも突出した動きを見せている公的債務残高の問題、すなわち「我が国は果たしてデフォルト(債務破綻)になるかどうか」という問題なのである。財務省はこれまで聖域としてきた「防衛関連経費」についてまで、今後5年間で1兆円の削減を実現するよう言い出している。何とか延命しようとしているわけだが、そうした努力も虚しく、年末までの間に1度、我が国の長期金利が急騰する局面を迎える。「ニッポンは絶対にデフォルトにならない」という神話がそこでもろくも崩れることになる

まだまだあるが、この辺でやめておくことにしよう。そうした種々の展開可能性を踏まえて言えることは、要するに先の株価の「瓦落」は単に金融マーケット自身の自律的な反転であったのではなく、世界秩序のより深いところにおける大規模な転換がこれから始まっていくという最初の「大号令」であった可能性が極めて高いということなのだ。そしてそこにおいて「米国の長期金利引き上げが原因である」、あるいは「米中貿易戦争こそがマーケットにおける乱高下の元凶だ」などといった短絡的な理由付けには一切意味が無いと考えておくべきである。そうではなくて、最も深淵なところで(人為的という意味に限らない)「意図」を感じるべき動きが現下の動きなのであり、それが何故に今、徹底した破壊衝動にも近い動きを見せ始めているのかについて想いを馳せるべきなのである。

そうした中で実に不思議なのが「これから世界史は大転換を遂げるがニッポンは大丈夫だ」という声が海の向こうから聞こえる点なのである。何も憶測でモノを言う御仁たちがそう語っているのではなく、長年にわたり金融マーケットを渡り歩いてきた、いわば「マーケットの猛者」というべき者たちが口々に言い出している。

週に1回、弊研究所は音声レポートは発信しているがその中で触れたとおり、外国人投資家たちが我が国マーケットについてその様に語るのにはこれまた実に「深い、深い理由」があるのである。彼らは口々に「これから実に大変な出来事が続くが、最後はニッポンならば大丈夫だ」と語り始めている。その背景にはおよそ日々の生活、あるいはマーケットにおける出来事のレヴェルとは全く違う発想と彼らなりの結論がある。だが、いずれにせよ私たち日本人にとってこの段階で重要なのは、「最後は日本になる」にせよ、まずは来る年末までの間に発生することがあらかじめ分かっている先ほど述べたような激変の時をどの様に乗り切るかなのである。その意味で今年(2018年)は文字どおりの「真実の時(moment of the truth)」なのだ。そのことに今気づくき、行動するのか。それとも何も知らず、気づかず、無為に過ごすのか。選択するのはあなた自身に他ならない。

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)
元キャリア外交官である原田武夫が2007年に設立登記(本社:東京・丸の内)。グローバル・マクロ(国際的な資金循環)と地政学リスクの分析をベースとした予測分析シナリオを定量分析と定性分析による独自の手法で作成・公表している。それに基づく調査分析レポートはトムソン・ロイターで配信され、国内外の有力機関投資家等から定評を得ている。「パックス・ジャポニカ」の実現を掲げた独立系シンクタンクとしての活動の他、国内外有力企業に対する経営コンサルティングや社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

原田武夫 (はらだ・たけお)
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所代表取締役 (CEO)。社会活動家。
1993年東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省入省。アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に2005年3月自主退職。2007年4月同研究所を設立登記、代表取締役に就任。多数の国際会議にパネリストとして招かれる。2017年5月よりICC(国際商業会議所) G20 CEO Advisory Groupメンバー。「Pax Japonica」(Lid Publishing)など日独英で著書・翻訳書多数。