子育てと切り離せないのがお金の問題です。家族が増えるのをきっかけに住宅購入を検討する家庭も多いでしょう。「どんな家に住むか」と同じくらい重要なことに、「どのまちで暮らすか」があります。具体的には「どれだけ子育て支援制度が手厚い自治体に住むか」です。たとえば、子育て世帯を対象としたお金の支援は自治体によって異なり、その充実度によって家計に与える影響が異なります。首都圏を中心に、子育て世帯への支援制度が充実している自治体をみていきましょう。

住宅購入時に知っておきたい支援制度――子育て世帯だけ使えるフラット35など

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住宅ローン控除や住宅リフォーム支援制度、すまい給付金などは、比較的知られている制度ですが、実は子育て世帯向けに特化した住宅ローン控除や、住宅リフォーム支援制度があるのをご存知でしょうか。すべての自治体で控除や支援が受けられるわけではないので、住宅購入の前に調べておきましょう。

「フラット35」には、「フラット35リノベ」や「フラット35(リフォーム一体型)」のほか、子育て世代に特化した「フラット35子育て支援型」があります。

子育て世帯が住宅を取得したり、親世帯と同居するために住宅を取得したりすると、該当の自治体から補助金が交付されるほか、フラット35の固定金利が当初5年間0.25%も優遇されるという制度です。提携している自治体が限られていて、首都圏でも、東京23区では台東区と墨田区のみで、埼玉県、千葉市、市川市、横浜市などの自治体で利用できます。

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自治体によって適用要件が異なるので、詳しくは住宅金融支援機構のウェブサイトで確認してください。

【フラット35】子育て支援型・地域活性化型 https://www.flat35.com/loan/flat35kosodate/organizations.html


●東京都台東区は住まいへの支援が充実

前出の「フラット35子育て支援型」も利用できる東京都台東区には、子育て世帯に特化した住宅リフォーム支援制度があります。子育て世帯が、滑り止め防止の床材変更や手摺りの取り付け工事といった、安心して子育てができるような目的のリフォーム工事を実施することで、工事費(税抜)の3分の1(上限20万円)が補助金として支給されます。

住宅購入以外で知っておきたい支援制度――自治体によって大きな差がある「保育料の助成」

住宅購入以外の子育てサポートも気になるところです。特に保育料の助成は自治体によって大きな差があります。


●認可保育園の保育料は自治体によって年額17万円の差が出ることも

認可保育園の保育料は自治体ごとに金額が異なります。さらに、世帯年収や各種控除額によって金額は大きく変わってきます。

東京23区の中で、子供の数と待機児童数が最も多いとされる世田谷区、2018年に待機児童ゼロを達成した杉並区、子供の数が都内で一番増えている中央区を比較してみましょう(2018年10月時点)。

夫の年収400万円、妻の年収200万円で、第一子を三歳児未満のクラスに標準時間で預けた場合とします(平成30年度の保育料、社会保険料控除は年収の14%で算出)。

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月額保育料は世田谷区が3万8,300円、杉並区が3万5,700円、中央区が2万3,500円になります。世田谷区と中央区では、年間で17万7,600円もの差が出ます。あくまで一例ですが、これから子供を認可保育園に入れようと考えているなら、保育料は自治体によって大きな差があることを覚えておいたほうがいいでしょう。

参考
世田谷区「保育料・延長保育料一覧」(世田谷区公式HPより)
http://www.city.setagaya.lg.jp/konnatoki/1002/1117/1119/d00005744_d/fil/hoikuryouitirann.pdf
杉並区「平成30年度後期認可保育施設保育料について」(杉並区公式HPより)
http://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/page/001/019/291/ninnka-hoikuryou-kouki.pdf
中央区「認可保育所・認定こども園(保育所部分)・地域型保育事業」(中央区公式HPより)
http://www.city.chuo.lg.jp/kosodate/hoiku/ninkahoiku/hoikuryosansyutu.files/2gounintei.pdf


●認可外保育園に預ける場合の助成金が多い自治体は?

認可保育園に比べ保育料が高いといわれる認可外保育園に関しては、ほとんどの自治体が助成していますが、その金額は自治体によって異なります。

たとえば渋谷区では区外の認証保育園(認可外)への入所で最大月額7万円の補助金、中野区で月額6万2,000円、荒川区では月額6万円が助成されます。こうした違いについても調べておきたいところです。


●子どもの医療費助成 東京23区と首都圏の自治体の違いは?

保育料の助成と同様に自治体によって差が出るのが、子どもの医療費の助成です。東京23区はすべての区で中学3年生まで医療費の保険診療分が全額無料で、所得制限もありません。千代田区と北区は18歳まで(達した日以後最初の3月31日まで)の医療費(北区は入院診療費のみ)が助成されます。

東京23区以外の首都圏の自治体をみてみると、たとえばさいたま市は東京23区同様に中学3年生まで全額を助成していますが、千葉市は中学3年生まで一部助成(市民税所得割が課税されていない場合は全額助成)、横浜市は小学6年生まで一部助成、中学生は入院費のみ一部助成(横浜市の定める所得制限未満の世帯)としています。

子どもが病気にかかったり怪我をしたりすることは珍しくありません。受診する機会が増えると、助成のありがたみを感じられるのではないでしょうか。

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まずは自治体のリサーチをしよう

こうして比較してみると、「どんな家に住むか」と同じくらい「どのまちで暮らすか」が重要であることが分かります。どの自治体に住むかによって、受けられる助成や支援の手厚さが変わるからです。支援制度の手厚さを「住むまち選び」の基準の一つとして検討してみるといいでしょう。

東京23区なら、行政サービスの情報を比較できるサイトもあります。こうした比較サービスを探して利用してみるといいかもしれません。

「ほじょナビ」
https://www.hojonavi.jp/

注意したいことは、支援制度は年度ごとに内容が改定されたり途中で受付が終了したりする場合があることです。気になる自治体があったら直接窓口を訪れたり電話で問い合わせたりして、最新情報を入手しましょう。

どのまちで暮らすかという視点も含め、自分らしい住まい探しをしたい方は、物件探しとリノベーションのコンサルタント「リノサポ」がおすすめです。

文・武田真那実(不動産系ディレクター兼フリーライター)

(提供:のくらし