親と子、さらに孫も同一住居に住む二世帯住宅。世代を超えて一緒に生活することは、多くのメリットがある半面、さまざまなポイントにも気を配る必要があります。家族が楽しく快適に暮らすために最適な二世帯住宅と、トラブルを避けるためのポイントについて知っておきましょう。
二世帯住宅を建てるメリット
2つの世帯が同居する二世帯住宅は、親世帯のみ・子世帯のみで生活する住宅よりも、さまざまな面でのメリットが期待できます。
・家族で助け合える
日常的な家事や育児をはじめとして、体調を崩した際や困ったことが起きた場合など、あらゆる場面で気軽に家族で協力し合うことができることは大きなメリットです。共働きで子育てをする子世帯は、「孫を安心して預けられる」、親世帯は、「孫の成長を身近に感じながらいきいきと生活できる」といったように、一つのケースを考えてもお互いにプラスの作用が働くことが少なくありません。
・金銭的負担が減らせるため経済的
住居を取得する際、資金を親と子がお互いに出すことで双方が金銭的負担を減らせます。親世帯が土地を持っている場合には、その土地を活用して家を建てることも可能です。また、共用部分が増えるため、それぞれで家を持つよりも、生活費を抑えやすいというメリットがあります。
・親族が近くにいる安心感
いつでも行き来できる距離に身内が生活していることは、気持ちのうえで安心できる面もあります。他人よりも近しい関係性だからこそ、何かあった際に頼りやすく、また助けやすくもなるでしょう。健康面や育児についても、常に様子が分かるため余計な心配が不要です。
こんなにある、二世帯住宅のスタイル
二世帯住宅は、間取りによって4つのタイプがあります。家族の希望や生活スタイルを踏まえ、最適な間取りを取り入れてみましょう。
1.完全分離型
同じ建物の中で、キッチン・浴室・個室だけでなく、玄関も別々に設置した家です。いざというときにはすぐに頼れる近さと、ほぼ別世帯として生活する独立性が両立します。
2.一部共有型
玄関だけを共有するか、玄関と浴室を共有するような二世帯住宅です。ある程度のプライバシーを重視したい家庭に向くタイプになります。完全分離型よりも共有スペースがあることから施工コストの削減が可能です。2階建て住宅をフロアごとに分ける場合、親世帯が1階、子世帯が2階を生活スペースとするなどの方法が考えられます。
3.完全共有型(融合同居型)
寝室・子ども部屋といった個室は別々にあるものの、玄関やキッチンなどはすべて共有するタイプです。全員がほぼ同じスペースを使用するためコミュニケーションが生まれやすく、子育てや介護などで助け合えるのが魅力です。
4.隣居型
一見すると、親世帯と子世帯のそれぞれが独立した住居となっており、キッチンや浴室などもそれぞれに設けられた住居ですが、玄関や中庭を共有スペースとして利用します。両方の世帯がそれぞれに1階と2階の2フロアを使用する縦割りタイプが一般的です。
二世帯住宅を建てる際のポイントと注意点
多くのメリットがある二世帯住宅ですが、身内といえども2つの世帯が一緒に生活するということは、トラブルが起きてしまう可能性も少なくありません。良好な関係を築き、二世帯住宅のメリットを生かすためにも、家づくりの段階で不安を取り除いておきましょう。
・不動産にかかる費用や生活費の負担を明確に
土地・家を取得する際の費用、そして住み始めてからの生活費について、どのように負担し合うかをしっかりと話し合って決めておきましょう。計画の段階で、世帯それぞれが希望の設備を好き勝手に追加しては、どんどん費用が膨らんでしまいます。あらかじめ予算を把握しておき、譲れない条件を挙げておくといいでしょう。
また、生活費についても、「各世帯で自分たちの分だけを支払うのか」「両世帯の費用をまとめて負担するのか」「一括で支払った後に分担するのか」などどのような分担にするのかを決めておくことが必要です。親世帯が仕事をしていなければ家にいることが多くなりますが、食費や夜間の光熱費は子世帯のほうが高くなることも考えられます。お互いにささいなポイントでわだかまりが残らないよう、納得できるスタイルを考えましょう。
・将来を見据えた間取り・設備
やがて、高齢になる親世帯を含めた二世帯住宅では、家族みんなが元気に暮らせる家づくりが大切です。ゆっくりとくつろげる和室を設けることや、なるべく段差を減らした設計にすることなど、現在だけでなく将来を見据えた家を意識してみましょう。バリアフリー構造にする以外にも、「将来を見据えて手すりを設置するための下地を壁の中に作っておく」ということも可能です。
・親しき仲にも礼儀あり!プライバシーの確保
二世帯住宅で生活するにあたり、注意したいのがお互いのプライバシー問題です。生活時間から住宅設備の使い方、家事の仕方まで、一緒に生活してみて初めて分かる考え方の違いは少なくないでしょう。夫側両親と同居する場合の嫁姑問題など、異なる文化や環境で育ってきた他人と生活することによるトラブルは珍しくありません。親族という近い関係だからこそプライベート空間をしっかりと確保し、それぞれの世帯の生活と考え方を尊重することが大切です。
お互いへの配慮がカギ
世代が異なる世帯が同居する二世帯住宅は、お互いの生活を尊重し合うことが、快適な生活を続ける秘訣です。身内とはいえ「干渉し過ぎない」「頼り過ぎない」といった配慮も必要になります。また、「親世帯の寝室の上に子ども部屋を作らない」「上下階で同じエリアに水回りを配置する」など、注文住宅ならではの家づくりを行うのもおすすめです。世帯それぞれの意見を取り入れながら、生活の効率化とプライバシーのバランスを反映した家づくりを行いましょう。(提供:MORIZOU online)
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