目次
1.はじめに 2.働きながらの介護の実態と意識 3.介護中の働き方の実態 4.介護と仕事との両立のために必要な支援策 5.介護と仕事との両立のための支援拡充の方向性
要旨
① 介護と仕事との両立の実態と意識について明らかにするために、正社員として働きながら自分もしくは配偶者の親の介護を現在または過去にしたことがある人を対象にアンケート調査を行った。本稿では、その調査結果から介護や働き方の実態や意識などを紹介し、働きながら介護をするためには何が必要か、両立を可能とする条件及び支援のための方向性について考える。
② 自分が主な担い手として介護をしながら働いている人は、自分以外が主な担い手の人と比べ特に厳しい両立生活を余儀なくされており、要介護者と同居している割合が高く、また別居の場合でも自宅と要介護者の住まいが近い人が多い。遠距離介護と仕事との両立の厳しさの 指摘もあり、要介護者の住まいと自宅との距離、さらには職場の位置関係が介護と仕事との両立を図るための一つのポイントであることがうかがえる。
③ 働き方の実態をみると、多くの人は所定の労働時間内で仕事を切り上げたり、有給休暇を活用して働くことで、介護との両立生活を乗り切っているようである。また、こうした働き方が可能な前提には、職場が従業員の介護に対する理解があるかどうかが重要なポイントであ る。
④ 両立支援体制の拡充のためには、行政における介護保険制度の充実はもとより、企業においても介護のワーク・ライフ・バランスの充実は重要な課題となる。従業員の介護事情に合わせて利用できる両立支援制度等の充実、またそれらを利用しやすいような職場環境づくりを 行い、介護をしながらでも働き続けやすい社会の早期実現が求められる。
キーワード:介護休業制度、介護保険制度、ワーク・ライフ・バランス
1.はじめに
(1)調査の背景と目的
高齢者介護を社会全体で支える体制を整えるため、介護保険制度が2000年に創設されてから12年が過ぎた。この間、同制度により介護サービスの充実が図られている。しかしながら今後、高齢化の進展に伴い、ますます要介護者が増えることが見込まれており、介護問題は多くの人が直面する可能性の高いものとなる。そのため介護支援体制の更なる拡充が求められている。
特に最近では、単身、共働き世帯等の増加に伴い、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働きながら介護をしている人に対する両立支援策の充実への関心も高まっている。実際、介護と仕事との両立を支援するため、育児・介護休業法において、介護休業制度、介護休暇制度、介護のための勤務時間の短縮等の措置(以下「短時間勤務制度」)が定められており(図表1)、労働者から介護休業等の申出があった際、企業はこれを拒むことができないこととされている。
こうした法整備により、介護休業制度の利用者も少しずつ増えている。厚生労働省「平成20年度雇用均等基本調査」によると、常用労働者に占める介護休業者(2007年4月1日から2008年3月31日までに介護休業を開始した者)の割合は0.06%(2005年度0.04%)である(図表省略)。性別にみると、女性は0.11%(同0.08%)、男性は0.03%(同0.02%)である。労働者全体に対する割合なので、大きな割合ではないにしても、介護休業制度の取得者の割合は前回調査に比べて増えていることがわかる。
一方、同調査により介護休業からの復職者及び退職者の状況をみると、育児休業の場合に比べて男女とも退職者の割合が高い。2007年度に介護休業を終了し復職予定であった女性のうち、実際に復職した人の割合は85.2%、退職した人の割合は14.8%であった(図表省略)。これに比べ、同年度に育児休業を終了し復職予定であった女性のうち、実際に復職した人の割合は88.7%、退職した人の割合は11.3%である。男性では、介護休業からの復職者の割合は75.6%、退職者の割合は24.4%、育児休業からの復職者の割合は98.7%、退職者の割合は1.3%であった。男女とも育児休業よりも介護休業の方が退職者の割合が高く、介護の場合特に仕事との両立の厳しさがうかがえる。
こうしたことを背景に、当研究所では介護と仕事との両立の実態と意識について明らかにするために、正社員として働きながら自分もしくは配偶者の親の介護を現在している、または過去にしたことがある人を対象としてアンケート調査を行った。本稿では、その調査結果から介護や働き方の実態や意識などを紹介し、働きながら介護をするためには何が必要か、両立を可能とする条件及び支援のための方向性について考える。
(2)アンケート調査概要
アンケート調査の概要は図表2の通りである。調査は株式会社クロス・マーケティングに委託して、インターネット調査により実施した。
本稿では正社員として働きながら介護をしている人を対象とするため、現在介護をしている472人と、過去に正社員として働きながら介護をしたことがある377人の合計849人を分析の対象とする。
なお、過去に介護をしたことがある人に何年位前に介護をしていたかをたずねた結果、平均およそ6年前であった。介護保険制度が発足したのが12年前であるので、本調査はおおむね介護保険制度導入後の介護の実態を示しているといえる。
本稿における分析対象者の年齢構成をみると、40歳代と50歳代が多く全体の7割以上を占めている(図表3)。平均年齢は全体で48.5歳(男性49.4歳、女性46.8歳)である。
配偶関係は「既婚(配偶者あり)」(以下、図表を含め「既婚」)が70.8%、「未婚」が21.2%、「既婚(離別・死別)」(同「離死別」)が8.0%という構成である(図表4)。性別にみると、女性の「未婚」と「離死別」の合計が40.9%であり、男性の場合(22.8%)よりも多いことが特徴である。
2.働きながらの介護の実態と意識
(1)主な担い手として介護をしている人の割合
本稿が対象としているのは、正社員として働きながら親(配偶者の親を含む)の介護をしている(いた)人である。ただし、介護にかかわる(かかわった)程度によって、負担感などの意識及び介護や働き方の実態が異なると思われる。そこでまず、介護へのかかわり方の実態をみる。
介護の主な担い手をたずねたところ、「自分」が主な担い手であると回答した人は全体の27.8%であった(図表5)。以下、「自分の親(要介護者の配偶者)」が26.0%、「配偶者」が19.7%と続き、「ホームヘルパーや介護職員」が10.4%であった。介護の主な担い手をホームヘルパーなどの外部に任せているという人は1割程度であり、介護保険制度が導入されても、多くの人は家族が中心となって介護を担っているのが実態のようだ。
性別にみると、男性は介護の主な担い手を「配偶者」とする回答が27.9%であるが、女性は39.3%が「自分」と回答している。女性の場合、男性と同様に正社員として働いていても、主に自分が介護の担い手となっている人の割合が男性よりも高い。
ただし性・配偶関係別にみると、女性の場合は、いずれの配偶関係でも「自分」の割合が最も高いが、男性の場合、既婚では「自分」と回答している割合が16.9%であるのに対し、離死別では38.5%、未婚では37.0%である。男性でも配偶者がいない場合は、いる場合よりも「自分」が主な担い手となっている人が多いことがわかる。
以下では自分が主な担い手である人とそうでない人との比較を含め、介護と仕事との両立生活の実態や意識についてみていく。
(2)介護経験の前後における生活や意識の変化
介護を経験する前後における生活や意識の変化には、どのようなものがあるか。
働きながら介護をしている(いた)人全体では、「自分の自由な時間が減った」「自分が介護が必要になったときのことも考えるようになった」が8割以上を占めている(図表6)。そもそも自分の自由な時間は働いていることで制約されている中、さらに介護のために削られていることを対象者の多くが訴えており、両立生活の厳しさがう かがえる。
自分が主な担い手である人とそうでない人との比較をみると、自分が主な担い手である人の方がそうでない人よりも、「自分の自由な時間が減った」「精神的に疲れるようになった」「身体的に疲れるようになった」「睡眠時間が減った」「仕事の時間が減った」「職場の同僚等とのコミュニケーションが減った」などの回答割合が高い。自分が主として介護を担っている人は、そうでない人よりも、介護による生活の変化が大きく、精神的、身体的等の負担を強く認識していることがわかる。
こうした結果から、自分が主な担い手として介護をしながら働いている人は特に厳しい両立生活を余儀なくされていることがいえる。
(3)要介護者との住まい方
1)要介護者の住まいと自宅との距離 次に、介護中の要介護者との住まい方から、両立生活の実態をみる。
介護中の要介護者との住まい方についてたずねた結果、全体では要介護者と同居している人が46.8%、別居している人が40.2%、要介護者が施設に入所している人が13.1%である(図表7)。同居が別居を少し上回り最も多い。介護の主な担い手別にみると、自分が主な担い手である人では58.5%が同居であり、自分以外が主な担い手であるという人の同居割合(42.3%)を上回っている。
また、別居をしている人について、要介護者の住まいと自宅との距離をたずねたところ、全体では「徒歩で通えるほど近い」と「交通手段を利用して15分以内の距離」の合計割合が37.8%であるが、自分が主な担い手である人では、この合計割合が45.4%を占めている(図表8)。自分が主な担い手である人は、そうでない人よりも同居の割合が高く、また、別居の場合でも自宅と要介護者の住まいが近い人が多い。
2)「近距離」介護を望む声 この調査結果から、介護と仕事との両立生活には、要介護者の住まいと自宅との距離が重要なポイントであることがうかがえる。このことはアンケート調査の自由記述意見(以下「自由記述」)からも指摘することができる。
そもそも「終身型施設の利用が一番いい(男性54歳既婚)」「施設に入所のため、仕事にはあまり支障がなかった(男性56歳既婚)」など、介護施設の利用によって両立生活を乗り切ったという意見もあった。一方、「老人ホームに申し込んでもすぐに入れない。3年待ちの状態である(男性45歳既婚)」「介護施設を利用したくても利用できない人が多い(女性32歳未婚)」など、限られた人しか施設を利用できないのが実態のようだ。そのため図表7のように施設入所の割合は約1割に留まっており、同居や別居等の「在宅」が大多数を占めているといえる。
在宅介護の場合でも「遠距離介護と正社員との両立は無理。心身ともに疲弊している(男性45歳既婚)」「遠方に住んでいる親の介護と仕事との両立は無理だと思う(女性46歳未婚)」等のように、遠距離介護と仕事との両立の難しさを指摘する意見がある。要介護者である親と離れて生活をしている場合、親を呼び寄せて介護を行うという方 法もあるが、「できれば(親の)近くに住んで面倒をみたい。故郷に事業所ができればいいと思う(男性52歳既婚)」「親の近くにいれば介護と仕事との両立は可能。親元で仕事ができるような支援制度ができないものか(男性51歳既婚)」など、要介護者の近くに移り住んでも仕事を継続できるような方策を望む声もある。職場の位置関係も両 立生活に影響を与えているようだ。
このようなことから、要介護者の住まいと自宅との距離、さらには職場の位置関係が介護と仕事との両立を図るための一つのポイントであることがうかがえる。
3.介護中の働き方の実態
(1)介護中の実際の働き方
続いて「働き方」に注目し、介護との両立のために必要なポイントを探る。
実際、介護中にどのような働き方をしているか(いたか)を複数回答によりたずねた結果、全体では「なるべく残業をしない」「たびたび有給休暇を取得する」「一定の範囲において出社・退社時刻を自由に決める」(以下「フレックスタイム」)が上位3位であった(図表9)。多くの人は、所定の労働時間内で仕事を切り上げたり、有給休暇を活用したりして働くことで、介護との両立生活を乗り切っているようだ。
介護の主な担い手別にみると、自分が主な担い手である人は、そうでない人に比べて「1日の所定労働時間を短くする」(以下「短時間勤務」)や「自宅で仕事をする」(以下「在宅勤務」)、「始業・終業時刻の繰上げまたは繰下げをする」、「1週間または1か月の所定労働日数を短くする」(以下「短日勤務」)の回答割合が高い。
本稿の冒頭で介護休業制度などの両立支援制度が整備されつつあることを述べたが、図表9における「介護休業を取得する」や「短時間勤務制度」「短日勤務」といった項目は、こうした制度の利用状況を示している。介護の主な担い手である人は特に、勤務先にある両立支援制度をはじめ、様々な制度を活用しながら働いているという実態 がうかがえる。
自由記述においては「当初は介護と仕事との両立が難しかったが、会社の上司や同僚に相談し、仕事の分担をしてくれたおかげで介護との両立ができた。こういう会社の風土が他の会社にもあるべきではないかと考えている(男性32歳未婚)」「介護は職場の理解がなければ両立できません(女性46歳未婚)」など、両立のためには勤務先の 職場の理解が不可欠であるという意見が目立っている。
こうした結果から、介護をしている人が残業をしない働き方などができる前提には、職場における理解が必要であることがわかる。したがって、両立を可能とするためには職場環境も重要なポイントであることが指摘できる。
(2)介護中の希望する働き方
他方、介護中の働き方として、図表9の項目の中から最も希望するものを一つだけ選んで回答してもらった結果について、上位7項目までを示したものが図表10である。
全体では、回答割合が1割台の項目が多く、回答者の選択が分散している。それは、介護の状況や職場環境など介護者の生活事情によって、望ましい働き方が異なることを示していると思われる。例えば、介護の主な担い手別にみると、自分が主な担い手として介護をしている人の第1位は「在宅勤務」(17.8%)であり、主な担い手でない人の第1位は「フレックスタイム」(19.7%)である。自分が主な担い手である人では、両立を図る上で在宅勤務が最も望ましいと思っている人が多いようだ。「在宅勤務」については自由記述にも、「在宅勤務が理想(女性34歳未婚)」や「在宅の仕事であれば介護しやすい(女性47歳既婚)」などの意見があった。
自分が主な担い手でない人の第1位である「フレックスタイム」には、主な担い手である人も14.4%が答えている。自由記述においても「就業時間をある程度自由に選択できると両立の可能性が大きくなる(男性51歳未婚)」などの意見がある。
また、全体で「介護休業を取得する」が僅差で第3位となっており、介護休業の取得を希望する人も少なくない。自由記述には「時間単位で休暇が取れると遠慮なく会社を抜けて介護をする時間がとれる(女性55歳離死別)」など「介護休暇」に対する要望もあった。
こうした結果から、介護者の生活事情により異なるものの、介護中は、働く場所や時間を柔軟に選択できるような働き方を希望している人が多いことがうかがえる。
4.介護と仕事との両立のために必要な支援策
最後に、介護をしながら働いている人が仕事を続けるにあたり、介護面、仕事面を含め、どのようなことを必要としているかについてたずねた結果を図表11に示す。
第1位は「介護保険制度における介護施設が充実すること」(57.8%)、第2位は「介護保険制度における在宅介護サービスが充実すること」(43.6%)、以下「介護休業取得中の所得保障が充実すること」(21.9%)、「高齢者向けのサービスつき住宅が充実すること」(21.0%)の順であった。上位2位は介護保険制度の充実を望むものである。介護保険制度による介護サービスが介護をしている人を支える重要な社会資源であると多くの人が認識しており、その充実に対する期待の大きさがうかがえる。ちなみに、自由記述においては「仕事との両立ができるよう介護施設を利用できるようになればいい。自宅介護には限界がある(女性62歳既婚)」や「会社が3か月の介護休業制度を設けても、介護は3か月では終わらないので意味がない。公的、民間の介護サービスを充実させて、仕事は普通に行って、サービス利用料を稼いだほうがよい(男性41歳既婚)」など、介護施設や在宅介護サービスを利用することで仕事との両立を図りたいとの意見が目立っている。
他方、勤務先への要望は第5位からあげられているが、そのトップは「会社(職場)が介護休業制度を取得しやすくしてくれること」、次いで「介護のために一度辞めても、同じ会社への再雇用が保障されること」であった。再雇用については、自由記述においても「再就職の制度があると、遠距離の介護でも安心して介護に専念できるので、 将来への精神的負担を減らせると思う(女性54歳未婚)」というように、遠距離介護による負担や精神的負担軽減の観点からの期待も寄せられている。
この他、自由記述では、勤務先に対し「介護との両立に関する相談体制の充実」を望む意見もあげられている。例えば「会社内に介護についての知識と経験のある相談員がいて、助言や会社との橋渡しの役割を担ってくれたら、精神的負担の軽減が図れて、仕事にも集中できると思う(女性44歳未婚)」、「今後、介護に携わる人が増えると思うので、会社内でも介護についてのレクチャーがあると良いと思う(女性49歳未婚)」などである。さらに、「介護を一人で行うことは無理(女性64歳既婚)」「できるだけ複数の人が協力して負担を分け合うことが必要(女性49歳離死別)」などの意見もあり、今後、会社組織においても介護を担っている人を支援する体制が求められている。
5.介護と仕事との両立のための支援拡充の方向性
以上、正社員として働きながら親の介護をしている人の介護や働き方の実態等をみてきた。自分が主に介護をしている人とそうではない人では介護の負担感が異なる。自分が主に介護をしている人は、そうでない人に比べて、自由時間や睡眠時間、仕事の時間が少なく、精神的、身体的疲労感が強い。自分が主に介護をしている人の属性をみると、男性よりも圧倒的に女性が多いが、男性でも配偶者と離別・死別した人や未婚者では、自分が主に介護をしている人が多いことがわかった。今後も、共働き世帯や単身世帯など生活様式の多様化に伴い、性別にかかわらず働きながら介護を行う人が増えると思われる。そのため、介護と仕事との両立のための支援体制のさらなる拡充が求められる。
本調査結果から、介護をしながら働き続けるためには、介護保険制度の充実の他、要介護者との距離及び会社との距離が重要なポイントであることがわかった。自分が主な担い手として介護をしている人の多くは同居をしており、別居でも比較的近くに住んでいる。また、所定労働時間内で働いたり、休む場合は有給休暇で対応したりしている人が多いが、在宅勤務や親元で働けるよう勤務地の移動を希望している人もいる。こうしたことから、要介護者の住まいや会社との距離の視点も、両立支援体制の拡充を考える上で必要であると思われる。
もう一つ、介護をしながら働いている職員に対する職場の理解、すなわち勤務先における職場環境も重要なポイントである。育児・介護休業法により介護休業制度等が整いつつあり、介護休業の利用を希望する人が多いが、その運用は各職場に任されている。実際、利用したくても利用できないという人もおり、勤務先における「介護休業の取得のしやすさ」への期待が小さくない。こうしたことから、職場における介護に関する相談体制を含め、多くの人が介護に対する理解を深めるための取り組みも、両立支援体制の拡充のための視点として重要であると思われる。
介護は、「いつまでという期限が見えないことの不安が大きい(女性58歳既婚)」といわれている。また「介護後の自分の生活を考えると、仕事を辞めることができない(女性43歳未婚)」「両立は難しいが、施設利用のための利用料や生活費を考えると退職できない(女性49歳未婚)」などの自由記述意見があるように、終わりが見えない不安を抱えつつ、生計を維持するために介護をしながら働き続けなければならないのが多くの人にとっての現実であると思われる。
したがって今後、遅かれ早かれ誰でも介護問題に直面することが見込まれる中、行政における介護保険制度の充実はもとより、企業においても介護のワーク・ライフ・バランスの充実は重要な課題となる。職員の介護事情に合わせて利用できる両立支援制度等の充実、またそれらを利用しやすいような職場環境づくりを行い、介護をしながらでも働き続けやすい社会の早期実現が求められる。(提供:第一生命経済研究所)
【参考文献】 ・ 厚生労働省,2010,『平成21年度厚生労働省委託事業 仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究』. ・ 独立行政法人労働政策研究・研修機構,2006,『介護休業制度の利用拡大に向けて―「介護休業制度の利用状況等に関する研究」報告書』.
研究開発室 上席主任研究員 的場 康子