前日の海外時間では、東京時間に突如ヘッドラインにでてきた「英国の欧州連合(EU)離脱交渉を巡り英・EUは金融アクセスの継続で合意した」との報道により、一気にポンド買いが強まりました。一時上記発言を否定する声明も出てきましたが、英国のEU離脱相が順調に進んでいる旨の発言を再度行ったことから、ポンドはこれまではブレグジット問題、特に合意なき離脱を織り込んでのポンド売りの動きが目立っていたため、ブレグジット交渉が前進との報道には、積極的にポンドを買い進める動きは今後も継続しそうです。

本日は米雇用統計が控えており、焦点としては平均時給がクローズアップされそうです。既にある程度の強い内容は織り込んでいるかと思いますが、平均時給については前回は2.8%と2009年6月以来の水準から鈍化しています。今回の予想は3.1%、市場予想と同じ数字、もしくはさらに強い数字であれば素直にドル買いに繋がる公算です。また、来週に中間選挙を控え、トランプ政権の方針が株価上昇と労働市場の改善を市場が再認識すれば、ドル買いのみならずリスクオンの動きになるのではないでしょうか。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

トランプ大統領が、中国の習近平国家主席と電話で会談したとTwitterで明らかにしました。電話会談で習氏は「中米の経済貿易協力の本質はウィンウィンだ。このところ中米双方には経済貿易分野で立場の違いがあり、両国は否定的な影響を受けた。中国はこれを望んでいない」と中国メディアが報じているなど、問題解決に向けて交渉を重ねていくべきだという考えを示しました。クドロー国家経済会議(NEC)委員長が「中国との交渉が成立しなかったら、トランプ米大統領は攻撃的になる」などと外堀を固めるような発言もしており、G20に合わせた米中首脳会談では前向きな話し合いになると考えられます。

来週の中間選挙が目下の注目材料ではありますが、本日は米雇用統計が予定されています。市場コンセンサスでは非農業部門雇用者数が20.0万人増と前回の13.4万人増から大きく改善しています。既にADP雇用者数が市場予想を大きく上回っていることもあり、それなりには強い数字は期待できそうです。一旦は月末のロンドンフィックスでドル売りに傾いたドル円ですが、本日の雇用統計にて下落時の113.30円程度まで値を戻すようであれば、中間選挙の内容を織り込みつつさらに上値を拡大する動きになるのではないでしょうか。

基本はスクエア推奨、ただ、雇用統計後にドル円113.30円を上抜ければ追いかけ買いに妙味ありか

ユーロ円128.70円の水準を上抜け、128.20円のショートは損きりになりました。ユーロ自体の動きは強いものではありませんでしたが、想定以上にポンド買いに連れた格好になっています。本日は雇用統計を控えており、基本的にはポジションスクエアが理想ですが、雇用統計後にドル円が113.30円を上抜けてくるようであれば、レジスタンスライン上抜けを判断し、ドル買いを仕掛けてみるのも面白いかもしれません。

海外時間からの流れ

前日東京時間に突如流れたヘッドライン「英国の欧州連合(EU)離脱交渉を巡り英・EUは金融アクセスの継続で合意した」との英タイムズ紙の報道が海外時間にも波及し、ポンドが上値追いの動きを強めました。一時バルニエEU首席交渉官がこの報道を否定する場面も見られましたが、一度勢いが付いたポンドの流れは止まらず、ポンドドルは1.30334ドルまで上値を拡大しました。BOEの政策金利は市場コンセンサス通り0.75%に据え置き、議事要旨では2019年での景気過熱見込みが示される一方、インフレレポートでは2018-19年のGDP見通しが下方修正されるなど、強弱まちまちの内容になりました。

時間外に発表されたアップルの決算は1株利益は予想を上回ったものの、売上高見通しが市場予想を下回ったため、時間外取引で既に4%超下落している影響でNYダウ先物が120ドル超の下落をしたことで、本日の日経平均株価への影響が懸念されていましたが、日経平均株価については300円超の上昇を見せており、本日の雇用統計前に波乱はなく、NY時間までは小動きを継続しそうです。

今日の予定

本日は、ユーロ圏・10月製造業PMI(確報値)、英・10月建設業PMI、米・雇用統計、加・雇用統計、米・9月耐久財受注(確報値)、米・9月製造業受注(前月比)などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。