JRと東急電鉄の合計5路線が通る武蔵小杉。神奈川県川崎市中原区にある駅からは都心へも15~30分程度とアクセスも良く、近年「住みたい街ランキング」で常に上位にランクインしている。大規模タワーマンションが建ち並び、東京のベッドタウンとして注目されている街だが、ここに家族3人で住むマンションを購入するには世帯年収がいくら必要なのか、シミュレーションしてみよう。

武蔵小杉駅周辺の家族3人で暮らすマンションの価格は7,000万円ほど

武蔵小杉,年収
(画像=LStockStudio/Shutterstock.com)

駅周辺にショッピングセンターや病院などが充実していて、生活に必要な施設がコンパクトにまとまっている武蔵小杉。マンションの価格は立地や広さ、築年数などで大きく異なってくるが、今回は駅徒歩10分圏内の物件を見てみよう。

武蔵小杉はファミリー層に人気が高く、供給される物件も家族の集まるリビング・ダイニングと主寝室、子供部屋を設けられる2LDKや3LDKで、60~80平方メートル程度のものが多い。この近辺は地価や住宅価格が上昇している地域のため、新築物件の価格は販売開始まで未定となっていることが多い。不動産・住宅サイトのSUUMOに掲載されている築浅の中古物件の価格を参考にすると、60平方メートル台なら7,000万円未満のものもあるが、70平方メートル台だと7,200~8,000万円のものがほとんどだ。

築10年程度の中古物件でも70平方メートルで7,000万円程度であり、新築物件と大きな差はないようだ。築10年以上で駅から少し離れたところで5,000万円台といった物件も出てくるが、武蔵小杉駅周辺で家族3人が暮らすマンションの購入を考えているならば、やはり7,000万円程度は見積もっておきたい。

7,000万円のマンションを購入するのに必要な年収は780万円?

仮に7,000万円のマンションを購入するとして、必要な世帯年収を算出してみよう。7,000万円をフラット35で全額借入をした場合(返済35年、ボーナス払いなし、全期固定で金利1.85%)、月の返済額は22.7万円。年間返済額272.4万円が総返済負担率の基準35%(年収400万円以上)を満たすには、おおよそ年収780万円が必要ということになる。

ただし「借りられる額」が、必ずしも「無理なく返済をしていける額」ではない。生活水準に合わせて消費も多くなる。総務省統計局の平成29年度の「家計調査報告」によると、年収780万円の人が属するクラスの月平均の消費支出は、住居費を除いて約34万円。年間で408万円の消費支出に、所得税や社会保険料の非消費支出が年間約138万円、そこに住宅ローンの返済272万円に固定資産税が49万円(建物の課税標準額が購入価格の約半分の3,500万円として算出)と積み上げていくと、合計で867万円もなる。

子供が成長するにつれて増える教育費に備えた貯蓄も考えると、武蔵小杉の駅近辺でマンションを購入するなら、年収900万円程度は必要だろう。

武蔵小杉に家を買うメリット・デメリット

共働きの家庭の場合は、待機児童の問題に注意したい。武蔵小杉エリアは子供が入る保育園を見つけるための活動、いわゆる「保活」の激戦区だ。子供の預け先が確保できずどちらかが思うように働けなくなると、計画に大きな変更を強いられる。先々の収入の変化も考えた上で、購入に無理がないか十分に検討することが必要だ。

このような課題はあるものの、商業施設や医療施設が充実している武蔵小杉駅近辺は、都心へのアクセスも良く、多摩川の河川敷の自然も享受できるといった魅力がある。人気のエリアだけに、希望条件の物件が売り出されても、すぐに成約することも予測される。よって、家族で暮らすマンション購入の候補エリアとして武蔵小杉を考えている人は、こまめにチェックするのがいいだろう。

文・柴田千青(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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