1985年の男女雇用機会均等法の制定から30年以上が経過し、あらゆるビジネスの現場で女性を見かけることが珍しくなくなった。女性の就業率を年代別に見たとき、30~40歳代の部分が顕著に落ち込む「M字カーブ」もやや曲線が緩やかになったともいわれる。ただ、帝国データバンクの調査(2018年)によると、女性管理職がいない企業は48.4%と、いまだ半数近くに上っているのだ。

女性管理職が「30%以上」の企業も

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(写真=Monkey Business Images/Shutterstock.com)

同調査によると、未上場企業の女性管理職の割合は平均7.2%、上場企業は平均5.1%となっており、未上場企業の方が女性管理職の登用が進んでいる。一方、女性管理職が「30%以上」と回答した企業は6.8%で、前年(6.4%)より0.4ポイント上昇した。企業における女性管理職の割合は徐々に増加しているようだ。業界別では、「不動産」「小売」「サービス」「金融」で高く、「建設」「運輸・倉庫」「製造」などで 低かった。

女性管理職比率、日本は世界ワースト1位

一方、諸外国はどうだろうか。国際会計事務所グラントソントンが実施した世界各国の女性管理職比率ランキング(2016年)では、なんと日本は世界最下位の7%。ワースト2のアルゼンチンは15%で、約2倍差をつけられている。一方、女性管理職比率のトップはロシアで47%、次いでインドネシアが46%、エストニア、ポーランド、フィリピンが各40%などとなっており、これら上位国ではほぼ男女均等に管理職が登用されていることがわかる。

なぜ日本企業では女性の活用が遅れているのか

政府は2020年までに女性管理職比率を30%に引き上げる、通称「2030(ニイマルサンマル)」を掲げている。女性活躍推進法の施行から2年経つも、なぜ日本では女性管理職の登用が遅れているのか。まず、ロールモデルがいないという点が挙げられるだろう。「卵が先か鶏が先か」という問題のようだが、これまで女性管理職がいない企業では、新たに女性を登用しようとしても、先例がなければ尻込みしてしまうかもしれない。

実際、女性の登用を進めたいと企業側が考えていたとしても、「管理職になりたくない」と考える女性も多いようだ。特に、女性は結婚や出産などのライフイベントで生活スタイルが変わることもまだ多く、先例がないとキャリアのイメージが沸きにくいものだ。ただ、男女を問わず「管理職が魅力的でない」ということも、若手が管理職への昇進をためらう理由になっていないだろうか。

管理職がイキイキと働いていなかったり、仕事に誇りを持っていなかったりするようでは、後に続こうというモチベーションを持たせることは難しいだろう。男性すらイキイキと活躍できていないのに、少数派である女性がその中に入ればさらに苦労することが目に見えている。そのような場所へあえて飛び込もうという気にはならないものだ。
管理職が魅力的でない理由は、本人にも原因があるかもしれないが、会社の組織や風土そのものに問題がある場合もある。女性登用の活発化を機に、人事評価や給与体系、組織の刷新などに加え、リーダー研修を導入するなど、組織全体の改革を検討してみると良いだろう。

「女性活用=えこひいき」ではない。

このように、女性の登用というのは「女性をえこひいきする」ということではない。日本の多くの職場では、高度経済成長期以降、終身雇用と引き換えに会社への忠誠心を求める形で経営を支えてきた。ただ、少子高齢化による人口減や景気低迷、雇用形態の多様化、グローバル経済の中では、こうした「昭和的」な働き方はもはや維持が難しい。

女性というマイノリティを活用するための制度を整えるということは、「さまざまな事情を持つあらゆる人が働きやすくなる」ということでもある。ひいては、多数派である男性自身の働き方も変えることにもつながるだろう。例えば、男性であっても、両親の介護や自身の病気などで思うように働けなくなることもあるかもしれない。

また、キャリアアップのために「働きながら勉強したい」「資格を取りたい」といった希望があったとしても、がんじがらめの雇用制度ではそうした願いをかなえることは難しいだろう。その点、すべての人が柔軟な働き方を選べるようであれば、そうしたときに男女を問わずメリットを享受することができる。

また、人手不足に悩む企業としても、柔軟な働き方を提示することで、今いる人材の引き止め(リテンション)や、新規採用にもつながるというメリットがある。女性が活躍するということは、すべての人が働きやすい会社を作るということなのだ。(提供:百計ONLINE

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