卸売市場の移転などにより、話題の東京・江東区豊洲。ここはファミリー層に人気の地域でもあり、駅から出ると多くのタワーマンションが建っている。そんな豊洲にマンションを購入し、家族で暮らすには、どのくらいの世帯年収が必要なのか。マンション価格や生活費などを考え、シミュレーションしてみた。

ファミリーに人気の豊洲のマンション価格帯を確認

豊洲,年収
(画像=slyellow/Shutterstock.com)

銀座まで約4㎞と都心に近く、交通の便もいい豊洲。文化・住宅・商業・アミューズメント施設が集まり、都会にいながら四季折々の自然を楽しめる公園があるなど、子育てにも適した環境でファミリーに人気の街になっている。築地から卸売市場が移転し、今後はさらなる発展が予想される。

そんな豊洲に家族3人で住むためにマンションを買う場合、どのくらいの資金が必要なのだろうか。豊洲駅周辺にある約70平方メートル、2DK〜3LDKのマンションの中古・新築含め物件情報を調べると、その販売価格は約3,400万円~8,300万円であった。マンションの規模や築年数、設備などによって価格は変動するが6,000万円~7,000万円くらいの物件が多い。

6,500万円のマンションを購入するとしたら年収750万円が必要?

マンションを新たに購入する場合、仲介手数料や印紙税、登記費用、ローン保証料、ローン事務手数料、火災保険料といった諸経費が必要になる。不動産会社や依頼する司法書士、借り入れをする銀行、火災保険の契約内容などによって異なるため一概には言えないが、6,500万円のマンションを購入する場合、300万円程度の諸経費が発生すると思っておいた方がいいだろう。

つまり6,500万円のマンションを購入する場合、諸経費合わせて6,800万円くらいの費用が必要になるという計算になる。マンション購入に必要な費用が6,800万円だとして、全額借入の場合、必要な世帯年収はいくらになるのだろうか。「フラット35」で知られる住宅金融支援機構のシミュレーションツールを使って試算してみると、35年ローンで、元利均等返済・ボーナス払いなし・1.79%の固定金利だと、年間の返済額は約262万円となる。6,800万円を借入するのに必要な年収は750万円となる(※試算は住宅ローン以外の借入がないという条件)。

おおよそ870万円の世帯年収がボーダーライン

ここで注意すべきは、「借入れ可能な年収」と「無理のない返済をしてゆとりある生活をするための年収」は異なるということだ。入居後にかかる諸費用など、マンション購入後にかかる費用も存在する。マンションの築年数や規模にもよるが、管理費や修繕積立金、駐車場代など合わせて毎月5~10万円程度はみておく必要がある。大規模なタワーマンションの場合、修繕積立金が高額になる場合もあるので、注意しておきたい。また固定資産税も年1回支払わなければならない。年間諸費用約60万円、固定資産税約56万円(建物の課税標準額を4000万円として算出)を合計すると、豊洲に家族3人でマンションを購入するには世帯年収が866万円ほど必要となる。

上記以外にも、日々の生活費や子供の教育費などもある。特に子供の教育費に関しては、文部科学省の複数の調査結果から、幼稚園から大学まで全て私立の場合は約570万円、公立の場合は225万円ほどかかることが多いようだ。塾代や習い事も含め、ある程度余裕を持って生活するには世帯年収1,000万円ほど必要になってくるだろう。給与変動が激しい職業であったり、どちらかの働き方が変わったりすると、収入が減ることも考えられる。現在だけでなく、将来的にも最低870万円を維持できるかどうかがポイントだ。

豊洲に家を買うメリットは?

決して安価という訳ではないが、都心へのアクセスも良く、ショッピングセンターや映画館もあり、生活の利便性が高いというのは大きなメリットだ。子育てがしやすい環境というのも、子供がいる家庭にとっては魅力だろう。また卸売市場の移転で資産価値が上昇する可能性もなくはない。マンション購入を考えているビジネスパーソンは、さらに詳しく調べてみるといいだろう。

文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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