第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所(社長 小山 正之)では、日本ヒーブ協議会の全国会員(女性)とその職場の同僚(男性女性)521 名を対象に、標記についてのアンケート調査を実施いたしました。

 この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。

≪調査結果のポイント≫

健康について心配なこと
●健康について心配なことは、女性では「首や肩のこり」が約60%、男性では「体力の低下」が約45%。

働く女性のストレスを心配している割合
●女性の「首や肩のこり」「視力の低下」は、「ストレス」と関連している。
●「婦人病」を心配している人は「ストレス」を心配している割合が高い。

月経の状況
●月経不順は約15%、月経痛が重い人は3人に1人。

生理休暇を取得していない理由
●生理休暇を取得しない理由は、「取得しづらいため」が約40%で最多。
●「生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得する」人も少なくない。

月経痛への対応
●月経痛が重い女性では市販薬の使用が約42%。
●月経痛が重くても何も対応していない女性は約4人に1人。

仕事や職業生活でのストレスの程度
●ストレスを感じると答えた割合は、女性では約75%、男性では約70%。

ストレスの程度と生活満足度
●ストレスを感じる人で生活に満足している女性は約60%にとどまる。

ストレスの要因
●女性では「通勤時間と勤務時間の合計が平均以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」人で、ストレスを感じると回答した割合が高い。

≪アンケート調査の実施概要≫

1.調査地域と対象   日本ヒーブ協議会※1の全国の会員(女性)と同僚(男性女性)

2.サンプル数   619 名

3.調査方法   質問紙郵送調査法

4.実施時期   2006 年10 月

5.有効回収数(率)   521 名(84.2%)

6.回答者の属性

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

健康について心配なこと

健康について心配なことは、女性では「首や肩のこり」が約60%、男性では「体力の低下」が約45%。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 健康について心配なことをたずねました。

 女性では、「首や肩のこり」(61.7%)、「視力の低下」(49.1%)、「ストレス」(45.6%)、「体力の低下」(41.5%)の順となりました(図表1)。女性に特有の健康上の心配として「婦人病」をあげた割合は25.6%と、約4人に1人となっています。

 これに対し、男性では「体力の低下」(46.7%)、「ストレス」「体脂肪」(40.0%)、「視力の低下」(38.0%)、「首や肩のこり」「肥満」(33.3%)となりました。「体脂肪」と回答した人は「肥満」にも回答している割合が高く、男性の健康上の心配は、いわゆる生活習慣病にまつわる内容が中心となっています。



働く女性のストレスを心配している割合

女性の「首や肩のこり」「視力の低下」は、「ストレス」と関連している。
「婦人病」を心配している人は「ストレス」を心配している割合が高い。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 「首や肩のこり」「視力の低下」のいずれも心配していると答えた女性では「ストレス」を心配している割合が高く、「ストレス」と関連していることがわかりました(図表2)。また、女性に特有の健康上の心配として「婦人病」がありますが、「婦人病」を心配している人でも「ストレス」を心配している割合が高くなっています。



月経の状況

月経不順は約15%。
月経痛が重い人は3人に1人。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 「婦人病」の中でも、特に月経痛に注目し、職場での対応の状況をみてみます。まず、月経の状況についてたずねました。

 順調と答えた割合は84.9%、不順と答えた割合は15.1%でした(図表3)。月経痛の程度は、「月経痛はあるが我慢できる程度」(48.1%)が最も多く、次いで「ひどい」(27.1%)、「月経痛は感じない」(17.9%)の順となり、「かなりひどい」と答えた割合は6.2%となっています(図表4)。月経痛が重い(「かなりひどい」と「ひどい」の合計、以下同)と回答している割合は、33.3%と少なくありません。



生理休暇を取得していない理由

生理休暇を取得しない理由は、「取得しづらいため」が約40%で最多。
「生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得する」人も少なくない。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 生理休暇の取得状況をたずねたところ、過去1年以内に取得した人の割合は4.4%と低いものでした。ただし、45 歳未満の女性で過去1年間の生理休暇の取得率を月経痛の程度別にみると、「かなりひどい」と答えた女性では18 名中5名(27.8%)、「ひどい」と答えた女性では79 名中3名(3.8%)、「月経痛はあるが我慢できる程度」と答えた女性では140名中4名(2.9%)と差がありました(図表省略)。

 月経痛が重いと答えた女性(45 歳未満)に、過去1年間に生理休暇を取得しなかった理由をたずねました。

 「取得しづらいため」が38.1%で最も多く、次いで「休むほどのことではないため」(33.0%)となっています(図表5)。薬を服用すれば出勤できることから、休むほどのことではない、という女性が少なくないようです。生理休暇が取得しづらいためか、「生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得するため」という回答も23.7%と少なくありません。



月経痛への対応

月経痛が重い女性では市販薬の使用が約42%。
月経痛が重くても何も対応していない女性も約4人に1人。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 月経痛への対応をたずねました。

 45 歳未満で月経痛が重い女性では「市販薬を使用した」(42.4%)、「産婦人科を受診した」(35.9%)という回答が多くなりました(図表6)。

 しかし、月経痛が重いと答えた女性でも、「先輩や同僚に相談した」「産業医等健康管理部門に相談した」割合はいずれも1割未満と、職場で相談する場のある女性はほとんどいません。「特に何もしなかった」と回答した女性も26.1%と、月経痛が重くても何も対応していない女性も約4人に1人います。



仕事や職業生活でのストレスの程度

ストレスを感じると答えた割合は、女性では約75%、男性では約70%。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 仕事や職業生活でのストレスにたずねました。

 ストレスを感じる(「とても感じる」と「感じる」の合計)と答えた割合は、女性(74.6%)の方が男性(68.7%)より高くなりました(図表7)。

 性・年代別にストレスの程度をみると、女性は20 代と40 代で、男性は40 代で、他の年代と比べてストレスを感じる程度が高い傾向にありました(図表8)。



ストレスの程度と生活満足感

ストレスを感じる人で生活に満足している女性は約60%にとどまる。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 ストレスの程度と生活満足感(生活全体についての満足感)の関係をみると、男女ともにストレスを感じると答えた人で生活満足感は低くなっています(図表9)。

 女性では、ストレスを感じる人で生活に満足している(「満足している」と「まあ満足している」の合計)と回答した割合は61.1%にとどまるのに対し、ストレスを感じない人では84.6%が満足していると答えていました。



ストレスの要因

女性では「通勤時間と勤務時間の合計が平均以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」人で、ストレスを感じると回答した割合が高い。

働く女性の健康とストレスの要因
(画像=第一生命経済研究所)

 仕事や職業生活によるストレスの要因として、「就業状況」に関する8項目、「生活状況」に関する6項目(うち2項目は女性のみ)を想定し、それぞれにストレスとの関連をみました(図表10)。

 その結果、女性では、「通勤時間と勤務時間の合計が平均(10 時間45 分、以下同)以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」人で、そうでない人と比べてストレスを感じると回答した割合が高くなりました

 一方、男性では、該当人数が十分でない項目もあるためか統計的な差はみられませんが、「体調が悪い場合でも出社する」、「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」人でストレスを感じる割合が高い傾向がみられます。同じ職場でも、男女で就業状況や生活状況の項目とストレスとの関連に差がみられます

≪研究員のコメント≫

 フルタイムで働く人の健康について心配なことは、男性女性共に、「視力の低下」や「体力の低下」に加えて、「ストレス」をあげる割合が高くなっていました。女性については、「首や肩のこり」「視力の低下」は、いずれも「ストレス」と関連しています

 また、女性特有の月経痛では薬が効かないほど月経痛が重いと答えた女性でも、生理休暇の取得は3割未満と低く、市販薬で対応している女性が約4割、産婦人科の受診は3割強にとどまっていました。生理休暇の取得が進まない理由として、生理休暇の取得のしづらさを約4割の女性があげており、生理休暇の代わりに年次有給休暇を取得する女性も約4人に1人みられました。

 女性にとって婦人科の診察への抵抗感は高いことからも、必要に応じて受診の機会を設けることを積極的に指導するとともに、医療機関を受診しやすい職場環境を整備するよう努めることが求められます。

 ストレスについては、同じ職場で働く女性と男性との比較調査から、仕事や職業生活でストレスを感じている割合は、男性よりも女性でやや高い傾向にありました。

 仕事によるストレスと関連している項目は、女性で「通勤時間と勤務時間の合計が平均以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」と、職場環境や女性特有の身体的理由がある場合にストレスを感じる割合が高くなっていました。同じ職場であっても、男性に比べて女性の方がこれら就業状況によるストレスを受けやすいようです。

 以上から、働く女性にとってストレスを感じない環境を作るためには、長時間にならない働き方、分煙あるいは禁煙の徹底など、労働環境の整備が必要であると考えられます

 また、上司の性別にかかわらず、職場の上司や同僚との信頼感が弱い場合には、ストレスを感じる割合が高くなります。職場での人間関係がドライになっているといわれる今日ですが、上司や同僚との信頼感を築くことは、働く女性にとって、ストレスなく働くための重要なポイントといえるでしょう。男性と同じ職場環境の中、女性は様々な要因からストレスを感じており、職場でのストレス軽減に向けた取り組みが求められます。(提供:第一生命経済研究所

研究開発室  副主任研究員  下開千春

㈱第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
研究開発室 広報担当(室井・新井)
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