第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所(社長 小山 正之)では、全国に居住する20~59歳の会社員601名を対象に、標記についてのアンケート調査を実施いたしました。
この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。
昼食を主に誰と一緒に食べているか? ●昼食は「ひとりで(食べる)」もしくは「同性の同僚(と一緒)」が多い。 ●昼食代の平均は500円未満が4割。
職場の上司に対する儀礼的慣習 ●「自宅に年始の挨拶訪問をする」人はわずか1.0%。「年賀状を出す」人は約半数。
普段、一緒に飲みに行く人・行きたい人 ●一緒に飲みに行くのは「同性の同僚」が多く、「上司」と飲みに行きたい人は多くない。
上司と飲み行くことに関して ●過半数の人は上司と飲みに行く機会が減っている。 ●上司と飲みに行きたい人は4割強、行きたくない人は約5割。
部下と飲み行くことに関して ●約5割の人は部下と飲みに行く機会が減っている。部下と飲みに行きたい人は約5割。
上司(部下)と飲みに行きたい(行きたくない)理由は? ●飲みに行きたい理由のトップは、上司も部下も「人間関係を築くため」。 ●飲みに行きたくない理由の上位は「仕事の話ばかり」「時間・お金がもったいない」。
飲み会などのコミュニケーションの場は必要か? ●4人のうち3人は飲み会などのコミュニケーションが必要と感じている。
職場外での交流 ●「カラオケ」15.5%、「麻雀」1.5%、「ゴルフ」5.5%、「家族ぐるみのお付き合い」9.2%。
コミュニケーションがとれている人・いない人 ●コミュニケーションがよくとれている人は「同性の同僚」。よくとれていない人は「上司」。
コミュニケーションは得意か? ●コミュニケーションが苦手と思う人が5割以上。男性よりも女性の方が得意と思う人が多い。
≪アンケート調査の実施概要≫
1.調査地域と対象 全国に居住する20歳から59歳の会社員の男女
2.サンプル数 700名
3.サンプル抽出方法 第一生命経済研究所生活調査モニター
4.調査方法 質問紙郵送調査法
5.実施時期 2007年2月
6.有効回収数(率) 601名(85.9%)
7.回答者の属性
昼食を主に誰と一緒に食べているか?
昼食は「ひとりで(食べる)」もしくは「同性の同僚(と一緒)」が多い。昼食代の平均は500円未満が4割。
普段の昼食を主に誰と一緒に食べているかをたずねました。
男性では「ひとりで」が50.2%で最も多く、次いで「同性の同僚」が47.0%となりました。女性では「同性の同僚」が62.5%と圧倒的に多くなりました(図表1)。
また、普段、昼食代に平均いくらかけているかをたずねたところ、500円未満が39.9%で最も多くなりました。女性は男性にくらべ、500円未満とお弁当持参の割合が高くなっており、昼食代を節約している様子がみてとれます。その一方で、男性で回答がなかった1,000円以上の回答が女性では1.4%ありました(図表2)。
職場の上司に対する儀礼的慣習
上司の「自宅に年始の挨拶訪問をする」人はわずか1.0%。上司に「年賀状を出す」人は約半数。
職場の上司に対する「(上司の)自宅への年始の挨拶訪問」「年賀状」「お中元」「お歳暮」といった儀礼的慣習の実施状況をたずねました。
「自宅に年始の挨拶訪問をする」と回答した人の割合は1.0%に過ぎず、ほとんど行われていません(図表3)。「年賀状を出す」と回答した人の割合は50.6%で、年代があがるにつれて年賀状を出す人の割合が減っていきます(図表4)。「お中元」と「お歳暮」を送る人の割合はいずれも1割未満でした(図表3)。
普段、一緒に飲みに行く人・行きたい人
一緒に飲みに行くのは「同性の同僚」が多く、「上司」と飲みに行きたい人は多くない。
普段、誰と一緒に飲みに行くのかをたずねたところ、1年間で飲みに行く頻度が最も多かったのは「同性の同僚」で71.9%(「ほぼ毎日」0.2%+「週に1~2回」3.1%+「月に1~2回」17.2%+「年に数回」51.5%)でした(図表5)。次に「同性の部下」(58.3%)、「同性の上司」(55.3%)と続きます。「全く行かない」という割合は、「同性の同僚」を除いて、いずれも4割を超えました。
次に、職場の中で、一緒に飲みに行きたい人をたずねたところ、「同性の同僚」が67.2%で最も多く、「異性の同僚」が27.0%、「いない(誰とも行きたくない)」が20.1%で続きました(図表6)。性別にみると、男性にとっては異性の上司、女性にとっては同性の上司の回答が少なくなっていますが、女性の上司が少ないことが影響していると考えられます。また、「(同性・異性の)上司」と飲みに行きたい人の割合は、男性女性ともに年代が上がるにつれて減少していきます(図表省略)。
上司と飲み行く機会・支払い負担
過半数の人は上司と飲みに行く機会が減っている。上司が全額おごるのは約2割。
以前にくらべて上司と飲みに行く機会に変化があるかをたずねました。
全体では「かなり減った」という回答割合が34.5%、「少し減った」が17.9%であり、減ったという回答が過半数を占めました(図表7)。なお、減ったと回答した割合は概ね年代があがるにつれて高くなります(図表省略)。
次に、上司と飲みに行った際の飲み代の支払い負担についてたずねました。全体では「全部上司」が22.0%、「上司がかなり多め」が19.6%、「上司がやや多め」が31.5%で、上司が多く払う場合が約7割となりました(図表8)。「ほぼ均等の金額で割り勘」は、男性で約3割ですが、女性では2割にとどまり、女性の場合は上司が多く出す割合が高くなっています。
なお、同僚と飲みに行く機会についてたずねたところ、約半数の人が減った(「かなり減った」28.4%+「少し減った」21.5%)と回答しました。性別年代別にみると、男性女性ともに30代以降で減ったという回答割合が多くなっています(図表省略)。
上司と飲みに行きたいか?
上司と飲みに行きたい人は4割強、上司と飲みに行きたくない人は約5割。
上司と飲みに行きたいかをたずねました。
飲みに行きたいと回答した人の割合が42.5%(「行きたい」8.0%+「どちらかといえば行きたい」34.5%)で、行きたくないは、49.1%(「行きたくない」7.4%+「どちらかといえば行きたくない」41.7%)となり、ほぼ半々の回答となりました(図表9)。
性別年代別でみると、男性では30代で行きたい(「行きたい」+「どちらかといえば行きたい」、以下同じ)が56.6%と突出して高い割合を占めました。一方、40代以降で行きたい人の割合は4割未満となります。
女性では20代で行きたい割合が5割を超えますが、年齢が高くなるにつれその割合は低くなり、50代では2割未満となります。
部下と飲みに行く機会・支払い負担
約5割の人は部下と飲みに行く機会が減っている。部下と飲みに行った場合、割り勘は3割。
以前にくらべて部下と飲みに行く機会に変化があるかをたずねました。
全体では減ったと回答した割合が48.5%(「かなり減った」23.3%+「少し減った」25.2%)となりました(図表10)。ただし、増えたと回答した割合が10.5%(「かなり増えた」1.1%+「少し増えた」9.4%)あり、特に男性40代、女性20代30代で1割以上が「増えた」としています(図表省略)。
次に、部下と飲みに行った際の飲み代の支払い負担についてたずねました。
全体では「全部上司」が9.4%で、男性では自分(上司)が多く支払う割合が高くなっています(図表11)。中でも男性20代では「全部上司」が22.2%を占めていました。一方、女性では半数に近い45.8%が割り勘でした。
部下と飲みに行きたいか?
部下と飲みに行きたい人は約5割。
部下と飲みに行きたいかをたずねました。
飲みに行きたいと回答した割合は51.6%(「行きたい」8.0%+「どちらかといえば行きたい」43.6%)となり過半数を超えました(図表12)。
男性は全年代を通じて行きたい(「行きたい」+「どちらかといえば行きたい」、以下同じ)が50%以上を占めますが、女性は年代が上がるにつれてその割合が減少します。
上司(部下)と飲みに行きたい(行きたくない)理由は?
飲みに行きたい理由のトップは、上司も部下も「人間関係を築くため」。飲みに行きたくない理由の上位は「仕事の話だけ」「時間・お金がもったいない」。
上司と飲みに行きたい理由をたずねたところ、「上司との人間関係を築くため」が72.0%で最も多く、「人と一緒に飲むのが好きだから」(44.8%)、「仕事のアドバイスを受けたいから」(40.6%)が続きました(図表13)。
一方、部下と飲みに行きたい理由をたずねたところ、「部下との人間関係を築くため」が86.8%で最も多く「人と一緒に飲むのが好きだから」(37.5%)、「仕事のアドバイスをしたいから」(32.4%)となりました。
すなわち、上司も部下も互いに飲みに行きたい理由の上位は全く同じでした。
逆に、上司と飲みに行きたくない理由をたずねたところ、「仕事の話ばかりでつまらないから」が47.3%で最も多く、「時間がもったいないから」(42.4%)、「お金がもったいないから」(31.5%)で続きました(図表14)。
一方、部下と飲みに行きたくない理由は、「時間がもったいないから」が53.0%で最も高く、「お金がもったいないから」(43.4%)、「仕事の話ばかりでつまらないから」(32.5%)となりました。
順位は異なりますが、飲みに行きたくない理由の上位についても、上司と部下で同じものとなりました。
飲みに行きたい理由、行きたくない理由の上位をみると、上司部下ともに同じものとなっています。互いに人間関係の構築、もしくは仕事のアドバイスを目的に飲みに行くものの、仕事の話だけになってしまったり、互いの距離感を縮められぬままとなっているようです。飲みに行く目的が果たせないことが、飲みに行く機会の減少のひとつの要因かもしれません。
飲み会などのコミュニケーションの場は必要か?
4人のうち3人は飲み会などのコミュニケーションが必要と感じている。
職場の人間関係を維持するためには、飲み会など仕事に関係のないコミュニケーションの場が必要と思うかをたずねました。
必要だと回答した割合は75.3%(「絶対に必要」12.6%+「ある程度は必要」62.7%)と4人のうち約3人が必要と思っていることがわかりました(図表15)。性別では、男性の約8割が必要と思っているのに対し、女性では約7割にとどまります。性別年代別にみると、男性の20代30代で「絶対に必要」という回答が約2割を占めました。女性では年代があがるにつれて「必要(「絶対に必要」+「ある程度は必要」)」という回答割合が減少していきます。
職場外での交流
職場の人との「カラオケ」は15.5%、「麻雀」は1.5%、「ゴルフ」は5.5%、「家族ぐるみのお付き合い」は9.2%。
普段の仕事外の時間や休日などに、職場の人と「カラオケ」「麻雀」「ゴルフ」「家族ぐるみのお付き合い」を行っているかをたずねました。
これらのなかで、最も行っている頻度が多かったのは「カラオケ」でしたが、行っているという回答割合(「頻繁に行っている」「たまには行っている」の合計、以下同じ)は15%強にすぎません(図表16)。麻雀は女性で行っている人は誰もいませんでした。
ゴルフは男性で9%弱が行っており、女性では「頻繁に行っている」人はいないものの、「たまに行っている」人が約2%いました。
家族ぐるみのお付き合いは9%強の人が行っています。男性で「頻繁に行っている」人はいませんが、女性20代で「頻繁に行っている」人が5%弱いました(図表省略)。
コミュニケーションがとれている人・いない人
職場でコミュニケーションがよくとれている人は「同性の同僚」。よくとれていない人は「(同性・異性の)上司」。
職場の中で、「普段コミュニケーションがよくとれている」と思う人と「よくとれていない」と思う人をあげてもらいました。
まず、「よくとれている」と思う人は、「同性の同僚」が73.2%で最多となりました(図表17)。ついで、「同性の部下」(27.1%)、「同性の上司」(26.5%)となり、同性が上位を占めました。
一方、「よくとれていない」と思う人は、上司(「同性の上司」(30.6%)、「異性の上司」(26.3%))をあげた人が同僚、部下よりも圧倒的に多くなっています。ただし、「いない(全員ととれている)」も3割いました。
コミュニケーションは得意か?
コミュニケーションが苦手と思う人が5割以上。男性よりも女性の方が得意と思う人が多い。
自分自身のコミュニケーションについて得意か否かをたずねました。
コミュニケーションが得意という回答割合は36.8%(「得意」6.0%+「どちらかといえば得意30.8%)でした(図表18)。一方、苦手(「苦手」13.3%+「どちらかといえば苦手」38.8%)の回答割合は52.1%であり、コミュニケーションが苦手と考えている人が多いことがわかりました。
性別にみると、男性よりも女性の方が得意という回答割合が高くなっています(男性34.0%、女性40.0%)。特に、女性の20代では得意という回答が47.6%(「得意」7.1%+「どちらかといえば得意40.5%)と高い割合を占めました。
≪研究員のコメント≫
調査の結果をみると、上司部下の関係、同性異性の関係がポイントとなりました。昼食を一緒に食べる人、一緒に飲みに行く人・行きたい人、コミュニケーションがよくとれている人のいずれにおいても、「同性の同僚」という回答割合が高く、「上司」や「異性」に対する回答割合は低くなりました。
上司については、昼食や飲みに行くという職場外においても、上司部下という上下関係から解放されるものではありません。誰しもよりリラックスできる同僚を優先したいという気持ちになるのはやむを得ないことでしょう。
また、女性の社会進出が進むにつれて、男性からすると異性の上司・同僚・部下が職場に増えてきました。同僚や部下であっても、男性女性ともに異性よりも同性の方がコミュニケーションをとりやすいと感じています。
しかしながら、業務を円滑に行っていくためには、性別にかかわらず上司部下が互いに信頼感をもつことが大切です。そのためにも上司部下のコミュニケーションの機会を増やし、単なる上下関係ではなく人間関係を築いていくことが必要となります。
今回の調査でも、「上司と飲みに行きたい理由」と「部下と飲みに行きたい理由」のトップはどちらも人間関係を築くためでした。一方、上司もしくは部下と飲みに行きたくない理由の上位も「仕事の話ばかりでつまらないから」「時間がもったいないから」「お金がもったいないから」で同じでした。職場の人と飲みに行く場合、仕事の話が話題となることは少なくありません。しかし、職場を離れてもなお仕事の話ばかりでは、職場にいるのとなんら変わりません。また、時間やお金がもったいないと感じるようでは、人間関係を深めることはできません。飲みに行く目的はその都度異なるでしょうが、職場を離れた以上は、誰しも楽しめる会話もするべきではないでしょうか。
一方、「カラオケ」や「麻雀」「ゴルフ」「家族ぐるみのお付き合い」「年始の挨拶訪問」を行っている人は限られました。趣味や家族までも職場の人と付き合いたいとは考えないのでしょう。これに対し、職場の人と飲みに行くことはコミュニケーションを図る場として必要と思う人が4人中3人いました。こうしたことから、職場の人と飲みに行くことは、オンとオフの間のほどほどの位置にあるのではないでしょうか。
上司に年賀状を出している人は約半数でしたが、こうした儀礼的な挨拶などは全般的に行われなくなってきました。仕事後、飲みに行くだけではなく、日々の業務時間におけるコミュニケーションの機会を、上司部下がそれぞれ意識的に作ることで、よりよい職場の人間関係が築けるのではないでしょうか。(提供:第一生命経済研究所)
研究開発室 副主任研究員 室井謙一
㈱第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 研究開発室 広報担当(室井・新井) TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470 【アドレス】http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi<