目次
1.ワーク・ライフ・バランスが求められる時代 2.夫と妻のワーク・ファミリー・コンフリクト 3.ワーク・ファミリー・コンフリクトを規定する要因 4.ワーク・ファミリー・コンフリクトとストレスの関係 5.仕事と家庭生活の両立を支える条件
要旨
①就労する女性の増加に伴って、夫・妻ともワーク・ライフ・バランスのとれた就労環境の整備が求められている。本稿では、育児期の共働き夫婦のワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事から家庭生活へもたらされる葛藤感)とファミリー・ワーク・コンフリクト(家庭生活から仕事へもたらされる葛藤感)の分析を行い、ワーク・ライフ・バランスのとれた生活を送るために求められる職場環境や保育環境の条件を探った。
②労働時間が長いほど、夫・妻ともワーク・ファミリー・コンフリクトは高まる。しかしながら、労働者が休みを取りやすく、出退勤時間を柔軟に決められる場合には、コンフリクトは大幅に低くなり、長労働時間によって高まるコンフリクトを相殺する。ただし、フレックスタイム制度があるだけでは、コンフリクトは低減しない。制度の有無ではなく、その運用が問題であることが示唆された。
③育児期の共働き夫婦の平均的な保育時間は1日あたり9.1時間にのぼるが、それでも正社員の妻の場合は、半数が残業等で保育園の送り迎えができないことがある。この場合、保育時間を延長しやすいことが、夫婦のコンフリクトを低くする。就労する女性の増加に伴って保育園の定員数を増やすことが必要であることは既に指摘されているところであるが、今回の分析からは、延長保育を利用しやすくすることも必要であることが強く示唆された。
④夫と妻のコンフリクトはともに高く、夫婦双方に対する両立支援が求められる。労働時間の短縮、出退勤時間や業務の進め方の裁量拡大、延長保育の充実が、仕事と家庭生活の両立支援につながる。特に、労働時間管理や保育時間の<柔軟さ>を高めることが、両立を支える鍵になる。
キーワード:育児、ワーク・ライフ・バランス、ワーク・ファミリー・コンフリクト
1.ワーク・ライフ・バランスが求められる時代
(1)ワーク・ライフ・バランスの問題
ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と家庭生活をうまく調和させることをいう。家庭を持ちながら就労する男女が、ワーク・ライフ・バランスのとれた生活を送ることは難しいのが現状である。しかし以下のような背景から、ワーク・ライフ・バランスのとれた就労生活、家庭生活を普及・推進することが社会的に求められてきている。
第一には、就労する女性の増加と夫婦の役割分担の変容ということがあげられる。育児期にあたる20~30代の女性の労働力率は、1985年には25~29歳(49.2%)、30~34歳(48.2%)、35~39歳(58.0%)であったが、2003年にはそれぞれ73.4%、60.3%、63.1%へと上昇している(総務省「労働力調査」)。これに伴って、夫が働き、妻が家庭を守るという伝統的な夫婦の役割分担は変容しはじめている。伝統的な夫婦では、夫は仕事役割に特化し、妻は家事・育児役割に特化していた。夫婦は仕事役割と家事・育児役割にそれぞれ特化するものであり、その方が夫婦全体の効用が高くなるという指摘もあるが(Becker 1981)、女性の高学歴化等の他に男性の雇用の不安定化という要因も加わって、現在夫婦それぞれがゼネラリストになる、いい換えれば共働化する方向に向かっている(第一生命経済研究所 2003)。伝統的な夫婦の役割分担がスペシャリスト型であるならば、夫も妻も仕事と家事・育児の両方をこなすのはゼネラリスト型といえる(渡辺 1994)。夫は仕事役割、妻は家事・育児役割に特化していた場合は、個人単位でワーク・ライフ・バランスの問題は生じにくいが、夫婦双方が仕事と家事・育児の両方の役割を引き受けることになると、個人単位でも夫婦単位でもワーク・ライフ・バランスが必要になる。ワーク・ライフ・バランスの問題は、共働き夫婦、特に幼い子どもを抱えた共働き夫婦の増加に伴って拡大してきた問題である。
第二に、少子化対策として、ワーク・ライフ・バランスのとれた就労環境の整備が求められている。仕事と育児の両立が難しいことが、少子化の要因のひとつであるとも指摘されている(人口問題審議会 1998)。仕事と育児の両立が困難であれば、結婚・出産に伴って女性が就業を中断することは多くなり、それに伴って、多額の逸失利益(就業を継続していれば得られたはずの所得)が生じる。内閣府の試算によると、大卒女性(文系)が一生フルタイムで継続就業した場合と比べて、出産・育児のため退職し、フルタイムに再就職した場合の逸失利益は約8,500万円に上る。この逸失利益が膨大なために、就業を継続したい女性が結婚・出産を先延ばしすることが、少子化の大きな要因になっていることが指摘されている。
最後に、企業の人事管理の点からも、ワーク・ライフ・バランスを支える就労環境整備が必要とされている。従業員は、仕事優先のライフスタイルから、仕事と生活を両立できるライフスタイルを求めるように変化してきている(佐藤・武石 2004)。このような従業員の意識の変化に対応して、子育てを含めた従業員の仕事と生活の両立を支援することが、従業員から高い勤労意欲を引き出すための労働条件、つまり「新しい報酬」である(同書:69)。この新しい報酬は、ファミリー・フレンドリー制度ともいわれる。企業のファミリー・フレンドリー制度の具体的なものには、育児休業制度や短時間勤務制度、フレックスタイム制度などがあげられる(佐藤 2001)
(2)ワーク・ファミリー・コンフリクト
仕事と家庭生活の調和をうまくできないとき、就労者はワーク・ファミリー・コンフリクトを感じる。ワーク・ファミリー・コンフリクトとは、「ある個人の仕事と家族領域における役割要請が、いくつかの観点で、互いに両立しないような、役割間葛藤の一形態」(Greenhaus & Beutell 1985)である。すなわち、これは、職業上の役割と家庭における親や配偶者としての役割の両立がうまくできないことに対して、家庭を持ちながら働く者が感じる葛藤感である。コンフリクトには、仕事から家庭生活に対しての葛藤(ワーク・ファミリー・コンフリクト:WFC)と家庭生活から仕事に対しての葛藤(ファミリー・ワーク・コンフリクト:FWC)という2つの方向がある。
ワーク・ファミリー・コンフリクトの研究は、米国では1970年代半ば以降増加した。それまでは、仕事と家庭は2つの分離、独立した世界としてとらえられてきたが、この時期2つの世界という神話は崩壊したといわれる(西川 1998)。その背景には、米国ではこの時期以降乳幼児を持つ母親の就労が増加し、また離婚の増加とともに働くシングルマザーが増えたことにより、多くの働く母親にとって仕事と家族のワーク・ファミリー・コンフリクトが現実的問題になったということがある(藤本・吉田 1999)。これに対して、日本におけるワーク・ファミリー・コンフリクトの認識は依然として不足しており、先行研究も少ない。
(3)研究目的と使用するデータ
わが国では、ワーク・ライフ・バランスのとれた就労生活と家庭生活の普及が社会的に求められてきているものの、就労者のワーク・ライフ・バランスの現状やワーク・ライフ・バランスを高める要因の研究は少ない。本稿では就労者のワーク・ファミリー・コンフリクトの規定要因を分析して、仕事と家庭生活の両立を支える条件を探る。
分析に使用するデータは、2004年10~11月に実施した「仕事と家庭生活に関するアンケート」のデータである。本調査の概要は以下のとおりである。このうち、夫婦とも雇用者で、かつ父母両方が回答した者を対象に分析を行う。
対象者 :東京都と千葉県の13の保育園に子どもを預けている父母
調査方法:保育園で配布、自宅で記入後に郵送で回収
標本数 :発送数1,571世帯、有効回収数420世帯(有効回収率26.7%)
2.夫と妻のワーク・ファミリー・コンフリクト
本稿では、Small & Riley(1990)を参考に、図表1にあげるワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)とファミリー・ワーク・コンフリクト(FWC)の質問項目を作成した。図表中の数値は、各質問について「非常にあてはまる」~「全くあてはまらない」の5段階で尋ねた回答のうち、コンフリクトが高い(「非常にあてはまる」 もしくは「あてはまる」)と答えた割合である。WFCは、夫・妻とも感じている割合が高い。一方、FWCを感じている割合は総じて低いが、妻は仕事と育児のFWC(エ~カ)を感じている割合が高くなっている。
次に、WFCおよびFWCの各項目の回答に対して、「非常にあてはまる」(5点)~「全くあてはまらない」(1点)を与えて合計した上で、これを2分した指標を作成した。このようにコンフリクトの高群と低群に2分した指標を作成したのは、次章以降の分析結果を簡略に提示するためである。作成した指標を、夫妻別に集計したものが図表2である。WFCが高群の割合は、夫が54.3%、妻が48.9%で、夫の方が若干多い。FWCが高群の割合は、夫が36.6%と少なく、妻が68.8%と多い。
3.ワーク・ファミリー・コンフリクトを規定する要因
(1)分析の視点と方法
続いて、就労環境、家事・育児、家族意識の要因に注目して、これらとWFC/FWCの関係を分析する。
就労環境については、労働時間の長さや労働時間管理の柔軟さとコンフリクトとの関係を分析する。先行研究では、労働時間が長いことや業務負担が重いことがコンフリクトを増大させるという結果がみられるため(Voydanoff 1988;Guelzow et al 1991;金井 2002)、この点を検証する。また、職場のファミリーフレンドリー制度が、コンフリクトを減らすという分析結果(Judge et al 1994)をふまえると、労働時間の長さだけではなく、フレックスタイム制度の有無や個人による時間管理の柔軟性がコンフリクトを低減させるとみられるため、この点を分析する。
家事・育児の要因としては、家事・育児の分担、保育園の延長保育の利用、保育園送迎の代替者の有無があるが、これらとコンフリクトの関係を分析する。家事時間がWFCやFWCを規定する要因であることを示す研究結果は多い(Voydanoff 1988;吉田・南 2001)。また、わが国の常用雇用の女性を対象に分析した稲葉(1999)によると、緊急時に子どもを預けることができる別居の親族がいることが、彼女らのストレーン(慢性的緊張状態)を低くしている。このことから、就労している妻が仕事のために育児ができない緊急時に、代わりに子どもを預けられる人の有無がコンフリクトに関係していることが推察される。保育園の延長保育の利用しやすさや保育園送迎の代替者の有無は、そうした緊急時に子どもを預けられる人や施設にあたる。
家族意識としては、夫は仕事、妻は家庭という性別役割分業意識とコンフリクトの関係を分析する。性別役割分業意識とコンフリクトの関係ではないが、自分にとっての仕事役割の重要度が高いほどコンフリクトが高くなるという裵(2005)の指摘をふまえると、夫は仕事、妻は家庭という伝統的な性別役割分業意識が強いほど、夫はWFCを強く感じるという関係があるとみられる。
以下では、各要因別に、WFC/FWCを感じている者(高群)の割合を示す。なお、WFC/FWCには各種の要因が影響を与えているため、ある要因がWFC/FWCに与える影響の有無を判断する際には、他の要因の影響を取り除く必要がある。本稿では、WFCまたはFWCを被説明変数としたlogit 分析(分析結果は本稿末にある付属図表A参照)を実施しており、これをふまえて結果の解釈を示す。
(2)就労環境
就労環境については、労働時間、フレックスタイムの有無、労働時間管理の柔軟性について分析を行った。労働時間別にみたWFC/FWCを感じている割合が図表3である。夫は労働時間が長いほどWFCを感じている割合が高い。妻の場合、フルタイムで1日の労働時間が10時間以上の者はそれよりも労働時間が短い者と比べてWFCが高い。しかし、夫妻とも労働時間とFWCの間には有意な関係はみられない。
フレックスタイムは、就労者が始業時間と終業時間を柔軟に決められる制度である。しかし、夫妻とも、フレックスタイムがある方が、WFCまたはFWCを感じている割合が低くなることはない(図表4)*1。むしろ、夫については、フレックスタイムがある方が、WFCまたはFWCを感じている割合が高くなっている。
労働時間管理の柔軟性別にみたWFC/FWCを感じている割合が図表5である。労働時間管理の柔軟性とは、出・退勤時間、休暇の取得、残業、業務のやり方の4つを柔軟に決められる程度である。具体的には、「出・退勤時間が、自分で柔軟に決められる」「休暇を取りやすい」「残業(超過勤務)を断りやすい」「業務のやり方を、自分で柔軟に決められる」の各質問について、「全くそうである」(5点)から「全くそうではない」(1点)と回答した結果を合計した上で、平均値で柔軟性高/低の2グループに分けている。分析結果をみると、労働時間管理の柔軟性が高いほど、夫と妻のWFC/FWCは低くなる。この関係は、夫のFWCを除き、有意である。
労働時間の長さと労働時間管理の柔軟性が、夫と妻のWFC/FWCを強く規定する。労働時間の長さが夫と妻のWFCのみを規定するのに対して、労働時間管理の柔軟性は夫と妻のWFCおよび妻のFWCも規定しているため、夫婦のコンフリクト全体の低減という点では労働時間よりもその管理の柔軟性の方が影響は大きいといえる。フレックスタイム制度の有無によってWFC/FWCが変わらず、労働時間管理の柔軟性で変わるというのは、制度の有無よりも、その運用が問題であることを示唆する。
(3)家事・育児
夫婦の家事・育児分担、延長保育の利用しやすさ、保育園送迎の代替者の有無とWFC/FWCの関係を分析する。夫の家事・育児分担率別にみたWFC /FWCを感じている割合が図表6である。夫の分担率が高いほど夫のWFCと妻のFWCは低い。
また、妻が急な残業等で帰宅が遅くなるときの保育時間の延長しやすさ別にみたWFC/FWCを感じている割合が図表7である。保育時間が延長しにくいほど、夫婦のWFCとFWCは高くなる(夫のWFCについては有意差まではない)。
さらに、保育園送迎の代替者の有無別にみたWFC/FWCを感じている割合が図表8である。分析結果をみると、保育園の送迎者がいる方が、妻のFWCが低くなる傾向がみられるものの、総じて夫婦のコンフリクトは変わらない。
以上の結果から、家事・育児の面については、夫の家事・育児分担率が高いほど、夫のWFCと妻のFWCが低くなる傾向がみられた。また、延長保育の利用しやすさが、夫婦のWFC/FWCを低下させることが明らかになった。
(4)性別役割分業意識
性別役割分業意識については、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」「夫婦は、仕事も家事・育児も平等に行うべきだ」「家事・育児は、夫婦のうち手があいている方がやればよい」の3項目に対して、「そう思う」(4点)から「そう思わない」(1点)までの4段階の回答結果を合計した上で、これを2区分した指標を作成した。この指標別にみると、伝統的な意識を持つ妻は、そうでない妻よりも、WFCが高い(図表9)。伝統的な意識が高い妻は、仕事もした上で家事・育児も自分が担わなければいけないという気持ちが強いため、WFCが高くなっているものと考えられる。
4.ワーク・ファミリー・コンフリクトとストレスの関係
夫と妻のWFC/FWCが、本人のストレスに及ぼしている影響を分析する。「(a)ふだんは何でもないことをわずらわしいと感じたこと」から「(h) 悲しいと感じたこと」の8項目各々に対する回答に、「まったくなかった」(1点)から「ほとんど毎日」(4点)を与えた上で、全項目を合計してディストレス(抑うつ)をはかる尺度を作成した*2。WFC/FWC別に、ディストレス尺度の関係を分析した結果が図表10である。夫・妻とも、WFC/FWCが高くなるほど、ディストレスが高くなっている。仕事と家庭生活の調和がうまくできないことは、ストレスを高める大きな要因になる。
5.仕事と家庭生活の両立を支える条件
(1)<柔軟さ>がコンフリクトを低くする鍵
分析の結果、労働時間、時間管理の柔軟さ、夫の家事育児分担、延長保育の利用しやすさ、および伝統的な仕事と家庭の分担意識が、夫婦のWFC /FWCを規定していることが明らかになった。したがって、仕事と家庭生活の両立のためには、まず労働時間や家事育児分担の絶対的な長さ・割合が問題であるといえる。
また、それにも増して、労働時間管理や保育時間の<柔軟さ>があることが、WFC/FWCを下げるための大切な条件であることが明らかになった。すなわち、平均的には労働時間が長くても、時間管理の柔軟さがある働き方であれば、就労者のコンフリクトは大きく低減する。ただし、フレックスタイム制度があるだけではコンフリクトは低下せず、労働時間管理の柔軟性があればコンフリクトが低下することは、制度の有無よりも、その運用が問題であることを示唆する。保育時間についても、急な残業等のときに延長保育を利用しやすいことが、コンフリクトを低減させる。
(2)就労者のワーク・ライフ・バランスを高める制度
就労する女性の増加や少子化対策としての子育て支援の必要性を背景に、ワーク・ライフ・バランスのとれた就労環境の整備が求められる時代になってきている。ワーク・ライフ・バランスの環境整備は、働きながら育児をしている男性にとっても、女性にとっても必要である。研究結果をふまえると、ワーク・ライフ・バランスを高めるための方策として次の2つが大切であることが示唆される。
第一には、職場における労働時間の問題の解決である。男女とも労働時間が長いことは、仕事と家庭生活のコンフリクトを増加させる大きな要因である。本分析の対象者である育児期の夫婦の場合、夫の労働時間と通勤時間の合計は1日13時間以上、妻は10.4時間である。特に夫の労働時間は長い。仕事と家庭生活の両立のためには、労働時間の短縮が求められる。また、就労者の出退勤時間や業務の進め方の裁量を高めることは、彼らのコンフリクトを大きく低下させることにつながる。現在、次世代育成推進法により企業には従業員の両立支援のための就労環境整備が求められている。両立支援は従業員から高い勤労意欲を引き出すための新しい報酬でもある。企業の両立支援への積極的な取り組みが待たれる。
第二の方策は、保育サービスの充実である。本調査結果によると、分析対象者の平均的な保育時間は1日あたり9.1時間にのぼるが、それでも正社員の妻の半数が残業等で保育園の送り迎えができないことがあると回答している。そうした場合に、延長保育を利用しやすいことが、夫婦のコンフリクトを低減する。就労する女性の増加に伴って保育園の定員数を増やすことが必要であることは既に指摘されるところであるが、本分析結果からは、仕事と家庭生活の両立を支援するためには延長保育を利用しやすくすることも必要であることが強く示唆された。(提供:第一生命経済研究所)
【謝辞】 本稿は、調査を実施した保育園、および保護者の協力の上に成り立っている。特に、せいがの森保育園の藤森平司園長と東京私立保育園連盟からは多大な支援を受けた。 記して謝意を表す。
【注釈】 *1 図表Aのlogit 分析において、時間管理の柔軟性の変数に代えてフレックスタイム制度の有無を変数として使用した場合も、フレックスタイム制度の有意な影響はみられない。 *2 具体的な項目は、第一生命経済研究所(2003)で使用したものと同一である。
【参考文献】 ・稲葉昭英,1999,「なぜ常雇女性のストレーンが高くないのか?」石原邦雄編『妻たちの生活ストレスとサポート関係-家族・職業・ネットワーク』東京都立大学都市研究所,53-85. ・金井篤子,2002,「ワーク・ファミリー・コンフリクトの規定因とメンタルヘルスの影響に関する心理的プロセスの検討」『産業・組織心理学研究』15(2):107-122. ・佐藤博樹,2001,「日本における『ファミリーフレンドリー』施策の現状と課題」『季刊家計経済研究』2001年春号:11-17. ・佐藤博樹・武石恵美子,2004,『男性の育児休業-社員のニーズ、会社のメリット』中央公論新社. ・人口問題審議会,1998,『人口減少社会、未来への責任と選択-少子化をめぐる議論と人口問題審議会報告書』ぎょうせい. ・第一生命経済研究所,2003,『ライフデザイン白書2004-05 ~新しい生活価値観が変えるライフデザイン』矢野恒太記念会. ・西川一廉,1998,「米国におけるワーク・ファミリー関係研究(1)-ワーク・ファミリー・コンフリクトをキーワードとして(1)」『桃山学院大学社会学論集』31(2):17-47. ・藤本哲史・吉田悟,1999,「ワーク・ファミリー・コンフリクト-ふたつの研究潮流と経営組織における問題点」『組織科学』33(2):66-78. ・裵智恵,2005,「日本と韓国における男性の『ワーク・ファミリー・コンフリクト』」渡辺秀樹編『現代日本の社会意識-家族・子ども・ジェンダー』慶応義塾大学出版会,63-84. ・ 吉田悟・南隆男,2001,「『家族領域から仕事領域への葛藤』の規定要因と女性の就業行動との関係」嶋崎尚子編『NFR98第二次報告書No.2-家族と職業』日本家族社会学会全国家族調査研究会. ・渡辺秀樹,1994,「現代の親子関係の社会学的分析-育児社会論序説」社会保障研究所編『現代家族と社会保障 結婚・出生・育児』東京大学出版会,71-88. ・Becker, G. S., 1981, “Division of Labor in Households and Families,” A Treatise on the Family, Harvard University Press. ・Greenhaus, Jeffrey H. and Nicholas J. Beutell, 1985, “Sources of Conflict between Work and Family Roles,” Academy of Management Review, 10(1):76-88. ・Guelzow, M. G., Bird, G. W. and Koball, E. H., 1991, “An Exploratory Path Analysis of the Stress Process for Dual-Career Men and Women,” Journal of Marriage and the Family , 53:151-164. ・Judge, T. A, Boudreau, J. W. and Bretz, R. D., 1994, “Job and Life Attitudes of Male Executives,” Journal of Applied Psychology, 79(5):560-568. ・Small, Stephen A. & Dave Riley, 1990, “Toward a Multidimensional Assessment of Work Spillover into Family Life,” Journal of Marriage and the Family, 52:51-61. ・Voydanoff, Patricia, 1988, “Work Role Characteristics, Family Structure Demands, and Work/Family Conflict,” Journal of Marriage and the Family, 50:749-761.
研究開発室 副主任研究員 松田 茂樹