投資信託で資産形成を目指す際には、ファンドごとに設定されている運用方針を把握するだけでなく、運用効率に影響を与える「手数料」の比較も大切なポイントです。将来のリターンに影響するともいわれる手数料について、投資家としてしっかり知っておきましょう。

投資信託は1本ごとに運用方針も手数料も異なる

手数料
(画像=Shutterstock)

投資信託の手数料は主に、「購入時手数料」、「信託報酬」、「信託財産留保額」の3つがあります。それぞれファンドごとに運用方針が異なるのと同様、手数料も異なるので、運用する際は1本1本確認することが大切です。

まず、「購入時手数料」はファンド購入時に、販売にかかるコストとして販売会社に支払います。ただし、最近では購入時手数料が無料の「ノーロード」といわれるファンドも増加傾向にありますから、購入時にその言葉をチェックしてもいいでしょう。運用会社による直接販売(直販)型の投資信託のケースではノーロードが一般的といえるでしょう。

次に「信託報酬」ですが、これは投資家がファンドを保有している運用期間中に発生するコストです。保有期間によっては、手数料の中で最も大きなウエイトを占めます。調査・分析・売買・分配手続きなど、ファンドを運用するために必要なコストとされています。この手数料は、ファンドの純資産額に対する年率で設定され、運用成績に関係なく投資信託の資産から自動的に差し引かれます。

ファンドを途中解約する場合は、「信託財産留保額」が必要なファンドもあります。これは、解約に対し株式や債券を現金化するコストが発生することから、継続保有している他の投資家とのコスト面の公平さを確保するためといえます。解約に関しては、運用期間中に解約できるオープンエンド型(日本国内で一般的に販売されているファンドはほとんどがこのタイプ)と、償還日まで解約できないクローズドエンド型があるので、この点にも注意しましょう。

長期保有で重要な信託報酬はファンドのタイプによってコストに差あり

購入時手数料と信託財産留保額は一度だけ支払うコストですが、投資信託のように長期保有して資産形成を目指す場合は、毎営業日ごとにかかってくる信託報酬の比較が重要なポイントとなるでしょう。

信託報酬は保有期間中ずっと投資家が負担するコストです。そのため、長期保有するほど信託報酬の分だけ資産に影響するため、結果として運用効率にも大きな影響を与えるでしょう。信託報酬は、ファンドマネージャーやアナリストなど運用の専門家へ支払うコストです。一般的には商品のタイプによって大きなコスト差が生じることになります。

たとえば、「アクティブ型運用」は目標とした指数(ベンチマーク)を上回る収益獲得を目指すため、銘柄の詳細な調査・分析などに多くのコストが必要といわれています。これに対して「パッシブ型運用(またはインデックス型運用)」は、一般的にはベンチマークとする株価指数の構成銘柄や、それに近い構成になるように機械的に組み入れます。そのため、調査・分析などに多くのコストを必要とせず、アクティブ型に比べて信託報酬が低く設定される傾向にあります。

手数料よる目減りを小さくして運用効率を高める

運用成績が良好であれば気にならないかもしれませんが、手数料は軽視できません。そのため、手数料を総合的に把握し資産の目減りを小さくして運用効率を高めることは大切なポイントといえるでしょう。ただし、手数料の安さに注目するだけでなく、自分に適した運用方針の投資信託を選ぶことが最も重要ということを忘れずに、ファンド選びをしましょう。

(提供:フィデリティ投信