「40歳を過ぎたいま、家を買うのは遅いのだろうか」――。そんな悩みを持つ人もいるかもしれないが、40代での住宅取得は決して遅くはない。
住宅取得者の平均年齢は40歳前後
まずは、実際のところ皆さんが何歳の時点でマイホームを取得しているのか、2つのデータから紹介しよう。
初めて住宅を取得する一次取得者の世帯主の年齢は、注文住宅が39.5歳、分譲戸建住宅(建売住宅)が37.4歳、分譲マンションが39.5歳で、中古戸建住宅が42.9歳、中古マンションが44.2歳となっている(国土交通省の『平成29年度住宅市場動向調査』)。
また、住宅金融支援機構の『2017年度フラット35利用者調査』では、注文住宅が42.4歳、建売住宅が39.0歳、新築マンションが42.7歳、中古戸建が42.2歳、中古マンションが41.5歳となっている。
つまり、住宅を取得する人たちの平均年齢は30代後半から40代前半で、特に中古住宅の取得者は40代が中心になっている。データ上では40歳を過ぎてしまったからといって、決して遅くはないということが分かる。
45歳までなら最長35年返済まで可能な場合が多い
気になるのは、40歳を過ぎれば年齢的に住宅ローンを組みにくくなるのではないか、退職後にローンを払えるか、といったことだろう。
その点も問題はない。民間の住宅ローンの多くは、年齢の規定が設けられている。あるメガバンクでは、融資申し込み時の年齢が満20歳以上71歳未満で、完済時の年齢が満81歳未満としている。ほとんどの金融機関がこれに準じる内容なので、40代であれば年齢的には住宅ローンを組むことは可能だ。
満81歳までに完済が条件だと、45歳までは住宅ローンの最長返済期間である35年返済が利用できる。40代後半だと利用できる返済期間が若干短くなるが、それでも49歳でも31年返済を選択できる。これが50歳になると30年返済まで、55歳だと25年返済と利用できる返済期間が短くなる。
住宅ローンは、返済期間が長くなるほど毎月の返済額が少なくて済む。たとえば、借入額3,000万円、固定金利1%でボーナス返済なしとすれば、返済期間35年なら毎月返済額は8万4,685円だが、30年だと9万6,491円に、25年だと11万3,061円、そして20年だと13万7,968円に増えてしまう。
20年と35年では毎月返済額に5万円以上の差がある。40代で長い返済期間を利用できるならゆとりを持って返済できるが、借入時の年齢が高くなるにつれ、返済期間が短くなるので月々の返済負担は重くなる。
無理のない範囲で返済期間を短くし退職後の負担を減らす
返済期間が長くなると、毎月の負担は減っても総返済額が多くなってしまう。35年返済で月8万4,685円を支払う場合、35年間の総返済額は8万4,685円×12ヵ月×35年=約3,557万円になる。
それが20年返済の場合、毎月返済額は13万7,968円に増えるものの、20年間の総返済額は13万7,968円×12ヵ月×20年=約3,311万円に減少する。35年返済に比べると246万円も負担が軽くなる計算だ。
それだけに、実際に住宅ローンを組むときには、無理のない範囲で返済期間を短くするのが得策。45歳で35年返済にすると、完済時には80歳になり、リタイア後の年金生活で住宅ローンの返済を続けられるのか不安が残る。35年返済が可能であっても、25年返済にして70歳までに終えるようにしておくのが無難だろう。
「返済期間を短くすると毎月の支払い負担が大きくなる」というなら
「返済期間を短くすると毎月の返済が厳しくなる」というなら、当初は35年返済で組んでおき、ゆとりができたときに一部繰上げ返済し、返済期間を短縮する方法がある。
また定年退職時に退職金で一括返済できるように準備しておく方法もあるので、頭に入れておくといいだろう。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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