実質負担2,000円でお礼の品がもらえると人気の「ふるさと納税」。あくまでも寄附をする制度ですが、お礼の品が魅力的であるため、ふるさと納税をする人は増えているようです。しかし、最近では高額な返礼品などが問題視されており、見直しが検討されています。ふるさと納税を取り巻く状況や今後の方向性、また気になる寄附上限額などについて解説します。
ふるさと納税とは応援したい自治体に寄附ができる制度
自分が応援したい自治体に寄附ができる制度です。寄附をするとお礼の品として地域の特産品を受け取れたり、税金の控除を受けられたりするので、ここ数年、急激な右肩上がりで寄附金額が増えています。
では、どのようなお礼の品が用意されているのでしょうか。一例として寄附金額別に5つの自治体のケースを紹介します。
寄附金額1万円
北海道 根室市・・・北海道産紅ズワイガニむき身 1kg
福岡県 新宮町・・・あまおう 1120g
寄附金額2万円
茨城県 境町・・・和洋中三段おせち(2〜3人前)
鹿児島県 垂水市・・古民家の宿 1泊2日素泊まりプラン
山口県 平生町・・・瀬戸内シーカヤック スナメリ ウォッチングツアー
地域によってお礼の品は多種多様で魅力的です。自治体を応援したくなる内容ですね。
しかし、一部の自治体では、高額な返礼品や地域の特産品ではない品を返礼品として用意することで、寄附金を集めている現状があります。そこで、総務省が返礼品の規制に動き出しました。
今後ふるさと納税はどう変わる?
以前より総務省は返礼品の送付について、制度の趣旨に沿った「責任と良識ある対応」を各自治体に通知していました。それにより高額な返礼品などはずいぶん少なくなったものの、依然として見直しがされていない自治体は全体の10%ほど残っています。(2018年10月時点)
そこで、総務省は返礼品の金額は、寄附金の3割に抑え、地場産以外の返礼品は扱わないよう自治体に要請しました。しかし、その要請に従わない自治体もあり、その自治体のリストを公開するにいたりました。
さらに、制度の趣旨に沿わない返礼品を用意している自治体については、ふるさと納税の対象外とすることもできるよう制度の見直しを検討すると発表しています。ふるさと納税をする時は、ポータルサイトを利用する人も多いかと思いますが、ポータルサイトにもあたかもショッピングのように錯覚させるようなサイトづくりは控えるよう依頼している状況で、検討課題の一つのようです。
法改正を伴うことなので、今すぐ見直されるわけではありませんが、2019年の国会で改正案が提出され、早ければ4月から施行されることになります。
災害支援にも使えるふるさと納税
さて、このように課題が多いふるさと納税ですが、一方で有効活用されているのも事実です。例えば、災害支援です。ここ数年、台風や地震など自然災害で被害を受ける地域は数多くあります。これら被災地にもふるさと納税を利用して寄附が可能です。
ふるさと納税の税金控除には手続きが必要。便利なワンストップ特例制度とは?
ふるさと納税をすると税金が控除されますが、控除されるためには確定申告で手続きが必要でした。しかし、手続きの簡素化のため、確定申告を行わなくても控除が受けられるワンストップ特例制度が平成27年から新設されました。
ワンストップ特例を申請するには条件が2つあります。
1.寄附を行った年の所得について確定申告する必要がないこと
2.ふるさと納税先の自治体が1年間で5自治体以内であること
利用するには、ワンストップ特例制度の申請用紙と本人確認書類を、ふるさと納税を行った自治体に寄附の都度、送付します。
寄付金の上限額は年収によって異なる。年収別に上限を計算
さて、ふるさと納税をする際に、気になるのが寄附金の上限額です。税金が控除されるので上限額までの寄附であれば、実質負担は2,000円になります。上限額は収入によって変わるので、自分はいくらまで寄附できるのか気になるところです。
そこで、年収別の上限額を計算してみました。
<前提条件>
・40〜50代の会社員
・独身で、扶養している子どもや親はいない
・生命保険(2012年以降の契約) 年間保険料8万円超
・住宅ローンなし
<年収別、寄附金上限額>
年収350万円の場合、寄附金上限額は32,000円
年収450万円の場合、寄附金上限額は51,000円
年収550万円の場合、寄附金上限額は67,000円
年収650万円の場合、寄附金上限額は84,000円
(上記はあくまでも目安の金額です)
今年度のふるさと納税の申し込みは12月31日まで
今年も残り少なくなりました。2018年にふるさと納税を行いたいのであれば、期限は2018年12月31日までです。ワンストップ特例を利用するなら申請用紙を2019年1月10日までに寄附した自治体に必着で送らなければなりません。今年、ふるさと納税を行うなら早め目に手続きをしておきましょう。
文・前田菜緒(CFP・1級ファイナンシャルプランナー)/ fuelle
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