人口減少が始まり、やがて総世帯数も減り始める一方、総住宅数が総世帯数を大きく上回り空家が増えています。そんな日本だけに賃貸住宅のニーズは縮小、不動産投資のうまみはなくなるのではないかという見方もあるようですが、実はそんなことはありません。場所と物件選びを誤らなければまだまだ大きなメリットがあるのです。
空家率が高まっているだけに物件選びが重要に
総務省統計局の『住宅・土地統計調査』の最新版、2013年度の調査によると、わが国の住宅総数は約6,063万戸で、うち約820万戸が空家になっていて、空家率は13.5%に達しています。
しかし、都県別にみると空家率の差は大きく、首都圏の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県は10%台から12%台ですが、最も高い山梨県は22.0%、長野県は19.8%、和歌山県は18.1%などと20%前後に達している県もあります。
現在だけではなく、今後を考える場合、人口や世帯数の見通しが重要になってきます。特に、世帯数の動向は住宅ニーズに直結しており、その増減見通しを把握しておくことが重要になります。今後も世帯数が増え、住宅へのニーズが継続するエリアで不動産投資を行うのが成功への第一条件といっていいでしょう。
東京都の世帯数は2035年までほとんど減らない
国立社会保障・人口問題研究所では、定期的にわが国の人口や世帯数の推計を行っています。その最新のデータである『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』によると、わが国の世帯数は下記に記載した内容での推移が見込まれています。
【世帯数推移見込み(全国)】
・2015年:約5,290万世帯
・2020年:約5,305万世帯
・2025年:約5,244万世帯
・2030年:約5,123万世帯
・2035年:約4,956万世帯
2020年までは増加。15年から35年までの20年間で世帯数は6.4%の減少見込み。
次に東京圏だけでみてみましょう。
【世帯数推移見込み(東京圏)】
・2015年:約1,618万世帯
・2020年:約1,646万世帯
・2025年:約1,648万世帯
・2030年:約1,627万世帯
・2035年:約1,587万世帯
2025年までは増加。15年から35年までの減少率はわずか1.9%にとどまります。
さらに東京都だけでみてみましょう。
【世帯数推移見込み(東京都)】
・2015年:約666万世帯
・2020年:約679万世帯
・2025年:約681万世帯
・2030年:約675万世帯
・2035年:約661万世帯
東京圏同様、2025年までは増加見込みです。その後30年、35年は減少しますが、15年から35年の増減率はわずかに0.8%のマイナスで、ほとんど横ばいにとどまります。実質的に東京都は35年まで世帯数がほとんど減らないと考えていいでしょう。
単身向けのマンションニーズが高まる
大切なことは世帯数が横ばいのなかで、世帯人員は減少し、単身世帯が急速に増加するという点です。同じく国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、東京都の単独世帯数は下記のように推移すると見込まれています。
【単身世帯数推移見込み(東京都)】
・2015年:約303万世帯
・2020年:約308万世帯
・2025年:約310万世帯
・2030年:約309万世帯
・2035年:約304万世帯
2015年の約303万世帯が、25年には約310万世帯に増え、以降は若干減るものの、35年まで300万世帯以上を維持する見込みです。単身向けのワンルームマンションについては、当分の間強いニーズを期待できます。
人口減少時代であっても、ニーズの強いエリアの物件を選択すれば不動産投資を成功させることができるはずです。(提供:アセット online)