一つのカゴにすべての卵を入れておくと、落したときに一度に割れてしまいますが、別々のカゴに分けておけば一度に全部、割れることはありません。このたとえ話のように、投資の世界では、資産を一つの金融商品に集中させず、複数の商品に振り分けて投資する「分散投資」の考え方が大切だといわれています。ただ、複数の商品とはいったものの一体いくつのカゴに分ければいいのでしょうか。安定的に資産を増やすために、資産を4分割して考えるという方法を知っておきましょう。

資産の分け方ステップ1 まずは「投資先地域」で2分割

資産分散
(画像=Shutterstock)

分散投資に基づいた資産の分け方はさまざまですが、リスクヘッジ(損失低減)のために資産をバランスよく分散させて投資するという考え方は共通しています。そして、その中でもおすすめなのが資産を4分割して考える方法です。

この方法では、たとえばまず、資産の投資先を日本と海外で2分割してみます。日本に住んでいるということは、日本円には為替リスク(為替レートの変動に伴うリスク)がありません。そのため、手軽に投資できる国内の金融商品は押さえておきたいものでしょう。

その一方で、米国や欧州などの先進国、経済成長著しい投資の成果が上がりやすい国も見逃せません。為替リスクはありますが、大きなリターンを得るためには海外の金融商品への投資も有効です。以上のようなことから、まずは地域をベースに2つに分けます。

2大資産クラス、「株式」と「債券」にさらに2分割

次は資産クラスである種類で考えてみましょう。種類には株式、債券、投資信託など多様にありますが、多くの投資家がメインとして取引するのが株式と債券です。そのため、前述の2大資産クラスにさらに2分割します。

ちなみに株式投資とは、民間企業の株を買うことで会社の小さなオーナーとなり、その企業の成長に投資するというものです。投資した企業が収益を上げれば、その一部を株主配当として受け取ることができ、企業が成長すれば株価が上昇した分の値上がり益も得られます。ただし、景気が悪くなると企業業績への不安が高まり、株式市場に流入する資金も減りやすくなるため、株価が下がるリスクもあります。

一方、債券は国や企業などが投資家から直接、資金を調達する際に発行する借用証書のようなものといえるでしょう。その定番商品といえるのが、世界の国々が発行する国債です。債券に投資すると、借り手が破綻しない限り利息収入が安定的に得られ、満期になると償還されます。

株と債券に資産を2分割するメリットは、両者の値動きが逆相関に近い関係にあるからです。景気が良いときは株式など値動きが大きめのリスク資産が値上がりしやすいのですが、債券は反対に、景気が悪くなってしまい株式などの値上がり益や安定した配当を享受できなかったとしても、変動が小さいことから価格が安定しており、かつ一定の金利収入を得ることができます。つまり、景気が良くても悪くても、ある一定の安定した収益を得ることができるというわけです。

資産分散にさらに時間分散を取り入れる

世界的に株が下がれば日本株も下がり、それと同時に円高が進みやすくなり、外貨建て債券の利回りも下がる、といった悪循環が起きる可能性もあります。しかし、こうしたリスクを防ぐ方法もあり、それが長期間の積立投資です。

毎月決まった金額を積立投資する場合、投資対象となる株や債券が値上がりして割高になると、少ない量しか買うことができません。しかし、反対に値下がりして割安なときには、より多くを買うことができます。つまり、安いときにできる限り多く買うというドル・コスト平均法によって、中長期的な視点においてより安定した成績を残すことができるのです。

2017年から、拠出した掛金分が全額所得控除になる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入要件が大幅に緩和されました。また2018年からは、毎年最大40万円の投資金額で得た投資信託の値上がり益や分配金で得た収入を、最長20年間も非課税で運用できる「つみたてNISA」もスタートしました。

このような非課税制度を通じて国も長期積立投資を強力に後押ししています。こういった背景もあることから、資産分散と長期積み立て投資を組み合わせた、安定志向の長期投資をはじめるチャンスといえるのです。

(提供:フィデリティ投信