世の中はジョギングブーム……。そのブームは一過性のものではなく、「東京2020オリンピック・パラリンピック」や昨今の健康意識の高まりによって「定着」しつつあります。皇居周辺をはじめ、東京の街中ではカラフルなランニングウェアに身を包んだランナーたちを、平日休日問わず、よく見かけるようになりました。そんなランナーたちが最も憧れる国内のマラソン大会といえば、なんといっても「東京マラソン」でしょう。2018年で12回目を迎える東京マラソンは、チャリティイベントとしても今、注目を集めています。ここではマラソンと寄付について見ていきましょう。

難関大学も驚く!?一般エントリー枠は倍率12.1倍の狭き門

マラソンと寄付
(画像=Shutterstock)

東京マラソンは2017年からコースが大幅に見直され、ゴール地点が湾岸地区の東京ビッグサイトから、皇居を一望できる東京駅前・行幸通りに変わりました。

新コースになって、ますます人気が高まった東京マラソンですが、2018年大会の応募者は一般エントリー枠2万6,370人に対して31万9,777人。倍率12.1倍の超狭き門となっています。倍率12倍以上ともなると当然、応募しても当たるかどうかは運頼みといったところでしょう。しかし、それでも「確実に走りたい!」という人に、実はこれまでその希望を叶える方法があったのです。

それは寄付金を10万円以上納めたら無条件で出場できるというチャリティランナー枠での出場でした。つまり一般枠の抽選に落選したら、チャリティランナー枠に応募して寄付金を納めれば、出場枠を確保できるという制度でした。

2018年のチャリティ枠はたったの8日で締め切り

しかし、マラソンブームの過熱もあり、2016年大会からはチャリティランナー枠ですら3,000人の定員がすぐに埋まってしまい、100%確実に参加できる保証がなくなりました。さらに、2018年大会からはチャリティランナーの募集が一般募集の1ヵ月前に行われることへと変更されました。

応募方法が変更されたということは、東京マラソンに絶対参加したいランナーは、一般枠の募集を待たず、10万円以上の寄付金を最初から納める覚悟でチャリティランナー枠に応募することを意味します。

しかも、2018年大会のチャリティランナーの定員はそれまでより1,000人増えて4,000人になったにもかかわらず、申込みが殺到して応募がたった8日間で締め切られてしまいました。

チャリティイベントとして頭角を現す東京マラソン

マラソンをしない人にしてみれば、「10万円もの寄付金を納めてまでマラソンに参加したいなんて、お金持ちほどよく走る時代になったものだ」と思うこともあるでしょう。とはいえ、やはりそれでも走りたい、という大きな魅力が東京マラソンにはあるようです。

チャリティランナーの増加にともない、東京マラソンが集める寄付金総額は年々増加し、2015年大会からは3億円の大台に乗りました。そしてチャリティ枠が1,000人増員された2018年は4億円突破が確実だといわれています。

日本テレビ系列の「24時間テレビ」の寄付金総額が2017年は6.9億円と他の年と比べて少なかったようですが、それとは対照的に東京マラソンのチャリティイベントとしての価値はますます高まるばかりなのです。

マラソン=チャリティの世界標準に向けて助走を開始

「マラソン=チャリティ」という発想は、世界の有名なマラソンレースでは一般的になりつつあります。

バッキンガム宮殿前がゴールのロンドンマラソンの昨年の寄付金総額は5,940万ポンド(約90億円)。1日のチャリティイベントとしては、10年連続で寄付金額の世界最高記録を更新し続けています。それと同様にボストンマラソンの2016年大会の寄付金総額は3,060万ドル(約34億円)、シカゴマラソンも1,690万ドル(約19億円)でした。

欧米のマラソン大会では、単純に自腹を切って走るというのではなく、ランナーが寄附金の集め手となり、インターネット経由で寄付を呼びかける「クラウドファンディング」も定着しています。

チャリティイベントとしての東京マラソンは、他のレースと比べるとまだ始まったばかりといえるでしょう。「マラソンといえばチャリティ」という世界標準に追いつくには、今後さらに寄付金総額を伸ばしていく必要があるようです。

(提供:フィデリティ投信