少子高齢化の進展に伴い、これまで種々の高齢者対策(ゴールドプラン)、少子化対策(エンゼルプラン)が進められてきた。

 1990年に始まったゴールドプランは2000年4月にスタートした介護保険制度で(介護の社会化の始まりと言われる)、形としては一応の整備ができたというところまできたと言えるであろう。それを踏まえ同年にはゴールドプラン21が発表され、新たな高齢者福祉が実施されている。

 スタートから3年が経過した介護保険は、この4月から介護報酬の見直しが実施され、2年後には制度全般の見直しが行われることになっている。いろいろな問題点はあるが総じて言えば順調に行っているといえる状況であろう。この3年間で特徴的な動きの一つとして施設系の開設ラッシュがあげられる。「特定施設入所者生活介護」の指定を受けた新型の有料老人ホームが急増し、入居状況も好調のようだ。

 従来、有料老人ホームというと入居時に一時金を数千万円~1億円支払い、月々もそれなりの負担がかかって一般的にはなかなか入居が困難なものが多かった。介護保険スタート後オープンしている、いわば介護型有料老人ホームと言われるものは一時入居金は数百万円程度(最近では、ほとんどかからないものも出てきている)、月々の自己負担額も介護保険適用で20万円~30万円というタイプである。旧来からある有料老人ホームのように設備が豪華というわけではなく、企業のリストラで売りに出された社宅や独身寮を改装したといった程度のものも多いが、個室のほか食堂やレジャー室などを備え要介護状態に応じた介護が受けられる。

 以前は手当てが必要な状況でも病院からは退院を迫られ、かといって在宅の介護は困難、特別養護老人ホームは待機待ちということで途方にくれることもあったが、このような状況の時非常に有用である。これによって特別養護老人ホームも申し込み順ではなく必要度の高い人から、といったやり方がとりやすくなった。

 在宅介護中心が介護保険発足時の思想ではあるが、施設系にも相当のニーズがあるということであろう。今後の課題は各種規制のからみもあり、今はどこも同じような施設が多いが、もっとバラエティに富んだ形ができて良いと思う。従来型の有料老人ホーム、小型のグループホーム、ケアハウス、医療型施設等々、また立地面でも大都市、都市近郊、リゾート地等々状況に応じ選択できるようになればと思う。

 以前フロリダのディズニーランドに行った時、車椅子の高齢者が多数楽しんでいるのに驚かされた。他の入園者も慣れたものでレディーファーストならぬ車椅子ファーストでスムーズに乗り物に乗り込んでいた。日本でも街や駅、施設のバリアフリー化が進んでいるがまだまだ不十分だし、周りの人の協力も含め動きがスムーズにはいっていない。動けるうちは外に出て楽しめる雰囲気を作っていくことが社会的にみて大事であろう。

 一方、少子化対策(エンゼルプラン)についてみるとゴールドプランから5年遅れの1995年にスタート、現在2000~2004年の新エンゼルプランを実施中である。取り組みの強化をめざして2002年には「少子化対策プラスワン」がまとめられ、さらに新エンゼルプラン後の活動目標をまとめた「次世代育成支援対策推進法案」が現在国会に提出されている状況にある。

 これまで保育園の拡充を中心に進められてきたが、まだまだ不充分な段階にあるうえ、これだけではとても解決の方向は見いだせないということで男性を含めた働き方の見直しや社会保障による次世代支援(経済的支援の拡充)など幅広な対策が打ち出されつつある。さらに新法案では自治体や企業における行動計画の策定が義務づけられ、共働き世帯が専業主婦世帯を上回る中、総合的な支援策の必要性がようやく認識され、検討される段階まできたというところであろう。

 よく言われるゴールドプランとエンゼルプランの支出額は50:1という数字の適否はともかく、次世代育成支援対策への早急な取り組みが望まれるところである。

 さて今回の論文はずっと「死」をライフデザインの中に組み入れて考えることを主張し研究している小谷副主任研究員の「死のイメージと死生観」、保育問題をライフワークとしている前田正子さん(前主任研究員、現横浜市副市長)の「子育て支援策のゆくえ」である。少子高齢化社会を考える参考にしていただきたい。(提供:第一生命経済研究所

第一生命経済研究所 代表取締役社長
石嶺 幸男