<意外と高い、大学生の景気や雇用不安への関心>

 昨今の大学生は社会問題への関心が薄いとも言われるが、大学生はどのような社会問題に関心があるのだろうか。図表1は、現在関心のある社会問題を、複数回答で大学新入生とその親に尋ねた調査である。

 これをみると、大学新入生は、景気、国際情勢、雇用不安に関心がある。一方、親は景気、介護・年金、雇用不安に関心があり、これらの問題に対する関心は大学新入生と比較すればかなり高い。ただ、大学新入生も景気や雇用不安といった、生活や将来の仕事に関することには関心があるようだ。実際、大学新入生が体験してきたし、またしているともいえる教育問題への関心よりもこれらの問題への関心は高い。

<若年世代の高い仕事への関心>

 学生の本分は学業であるが、それ以外の活動もまた重要である。内閣府では、学業以外で学生が体験すべき活動を複数回答で尋ねている。

 ここでは、「福祉施設等におけるボランティア活動」(46.9%)、「海外青年協力隊への参加などの海外ボランティア活動」(38.0%)、「将来の職業に関連した就業体験」(35.6%)の3回答が上位を占めている。また、以前からよく行われている「スポーツや趣味・教養などのサークル活動」(14.5%)や「アルバイト」(5.9%)といった回答はあまり高くない。

 上記であげた回答のうち、将来の職業に関連した就業体験とアルバイトを体験すべきという回答を年代別にみると、両方とも、学生を含んでいる15~19歳、20~29歳の割合が高いことがわかる(図表2)。実際、学生の親の年代といえる40~49歳、50~59歳と比較しても、学生を含む年代の方が体験すべきとの回答割合は高く、男性にその傾向が強い。特にアルバイトに関しては、お金がもらえるからという要因も考えられるが、若年世代の仕事への関心は高いようだ。

<就職は親に頼らず>

 では、大学生の最終段階である就職についてはどうであろうか。親は何とか子供にはいい就職をと願うものである。図表3は、就職に親のコネを生かしたい(生かしてやりたい)かを尋ねた調査である。これをみると、コネを生かしてやりたい(「最大限に生かしてやりたい」と「できれば生かしてやりたい」の合計)と考えている親は、26.7%で4人に1人がコネを生かしてやりたいと考えている。一方、コネを生かしたい(「最大限に生かしたい」と「できれば生かしたい」の合計)と考えている大学生は、男性が20.6%で女性は11.6%である。大学生である子供の方が親のコネを敬遠しており、女性にその傾向が強い。

 親からすれば、子はまだ大学に入学したばかりで世の中を甘く見ており、不景気や雇用不安の怖さを知らない、と批判するであろう。だが、年齢は子供でも仕事への関心はあるのだから、「親の心、子知らず」ではないのかもしれない。むしろ、親の子離れが進んでいないのかもしれない。(提供:第一生命経済研究所

親も驚く?子の仕事への意識
(画像=第一生命経済研究所)
親も驚く?子の仕事への意識
(画像=第一生命経済研究所)
親も驚く?子の仕事への意識
(画像=第一生命経済研究所)

研究開発部 矢口 和宏