売れない自社株式にも価値がある
企業オーナーが相続税で困るのは、自社株式の相続税評価です。例えば資本金100万円でスタートした小さな会社であっても、長年の利益の積み重ねで企業規模が大きくなれば、自社株式の評価が資本金の100万円ではなく、何億円にもなることがあるのです。
しかし自社株式は、市場で上場株式のように売却することが難しいため、自社株式の評価が高くなると、相続税負担が重くなり大変になるのです。
この記事では、いったん難しい税金の説明は抜きにして、誰が読んでも分かるような自社株式の評価方法の基礎概念を説明していきます。
評価方法は大きく分けて2種類
この自社株式の評価方法は大きく分けて2種類あります。
1.原則的評価方法
2.例外的評価方法
原則と例外の2種類です。
違いは、会社に対する影響度合い、つまり議決権割合によって異なります。株式会社は、議決権割合が多ければ、取締役の選任や解任等の重要な意思決定ができるため、会社に対して一定の影響を与えることができる場合には、原則的評価方法を使います。企業オーナー等は通常、原則的評価になります。
一方で、たまたま付き合いで買った外部の第三者で、1%しか株を持っていない場合には、会社に対して影響力をほとんど発揮できず、持っている株式の価値も低いため、例外的評価を使います。例外的評価方法は、配当還元方式といって、相続税株価が低くなるため、税負担は軽いのです。
原則的評価方法の考え方
それでは原則的評価方法で自社株式を評価していく際に、この評価は少し複雑であるため、通常は、税理士が行います。顧問税理士か、もしくは相続税を専門にしている税理士に自社株式の評価を依頼するとよいでしょう。
概念は2つの組み合わせです。
1.類似業種比準方式
2.純資産方式
この2つを組み合わせて評価を行います。
1の類似業種比準方式は、難しそうな名前ですが、概念は簡単で、自社と似たような業種を行っている同業他社の利益・配当・純資産の3つの要素と自社を比べて評価が決まる方式です。つまり同業他社より儲かっていれば、株価も高くなるというわけです。
もう一つ、2の純資産方式は、いわゆる資本の部の純資産の額によって株価が決まる方式です。これは長年の利益の蓄積が大きく影響します。今、利益が出ていなくても、過去に利益が出ていた時期が続いていた優良企業では、純資産の部が厚くなっていることが多く、自社株式の相続税評価額も高くなる傾向にあります。
この1と2の二つの評価方法を会社の規模におうじて(大・中・小)組み合わせることで、自社株式の相続税評価が算出されます。
自社株式の評価について、詳しく知りたい方は、税理士法人チェスターのHPにまとまっている記事がありますので、確認してみましょう。
(提供:チェスターNEWS)