こんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

小規模宅地の特例で共有がある場合についてパターン別にわかりやすく解説します。

小規模宅地の特例 共有の場合を徹底解説!(居住用編)

(前提)
被相続人:父
相続人:母、長男(別居、生計別)
土地:300㎡

共有とは、
二以上の者で一つのものを共同で所有することをいいます。土地、建物の場合には登記簿謄本の所有者の欄に二以上の者がいればその土地、建物は共有となります。なお、共有の反対で一人で所有している場合には単有といいます。

1. 生前に共有である場合

house
(画像=税理士法人トゥモローズ)

①土地の全部が特例適用対象の場合

小規模宅地の特例
(画像=税理士法人トゥモローズ)

適用対象面積:300㎡×50%=150㎡

こちらのパターンは基本中の基本なので難しくはないですね。父が所有していた持分に対応する面積の全てが特例の対象となります。

②土地の一部が特例適用対象の場合

小規模宅地の特例
(画像=税理士法人トゥモローズ)

適用対象面積:300㎡×1/2×60%=90㎡

2階部分は被相続人である父の居住用ではないため小規模宅地の特例の要件は満たしません。
したがって、建物の床面積で按分すると土地全体のうち半分のみが適用対象となり、さらに、そこに父の持分60%を乗じた面積が適用対象面積となるのです。

2. 生前は単有で共有相続する場合

①土地の全部が特例適用対象の場合

小規模宅地の特例
(画像=税理士法人トゥモローズ)

適用対象面積:300㎡×50%=150㎡

要件を満たす母の相続した部分のみが適用対象になります。長男は要件を満たさないため適用はできません。

②土地の一部が特例適用対象の場合 その1

小規模宅地の特例
(画像=税理士法人トゥモローズ)

適用対象面積:300㎡×1/2×50%=75㎡

2階部分は被相続人である父の居住用ではないため小規模宅地の特例の要件は満たしません。
したがって、建物の床面積で按分すると土地全体のうち半分のみが適用対象となり、さらに、そこに母が相続した50%の持分を乗じた面積が適用対象面積となるのです。

③土地の一部が特例適用対象の場合 その2

父母の居住用建物の敷地と空家である貸家の敷地の面積は各150㎡とします。

小規模宅地の特例
(画像=税理士法人トゥモローズ)

適用対象面積:150㎡×50%=75㎡

空家である貸家の敷地は特例の適用が出来ません。
したがって、被相続人である父の居住用建物の敷地150㎡のうち要件を満たす母が相続した部分のみ適用対象面積となります。

ちなみに、本件で共有相続でなく下記のような分筆相続とした場合には適用対象面積は150㎡とできるのです。
遺産分割の方法を変えるだけで小規模宅地の特例の適用額を2倍にすることができるので専門家にちゃんと相談しましょう。

小規模宅地の特例
(画像=税理士法人トゥモローズ)

なお、共有と土地の評価単位については、土地の評価単位を徹底解説!を是非ご参照下さい。(提供:税理士法人トゥモローズ)