上場株式等の相続税評価の見直し
金融庁から、平成28年度税制改正の要望書に、上場株式等の相続税評価の見直しという税制改正要望が出たようです(平成27年11月時点情報)。
これは例えば、不動産であれば、路線価や固定資産税評価額等の時価よりも低い金額を相続税評価額として採用することが認められているにも関わらず、時価の変動の大きな株式等について、評価額がほぼ時価通りの100%で評価されることについては、不公平感があるという視点からです。
不動産については、時価の8割程度に相続税評価額がなるように設定されていることからすると、株式についても時価の70%~80%程度で相続税評価が行えるような調整がされるとの予測が出ています。
証券業界はビジネスチャンス?資産家にとっても節税チャンス!?
まだ時価の何割に設定されるか等の詳細は不明ですが、仮にこの改正が実施されれば、証券業界にとっては大きなビジネスチャンスとなるでしょう。
また資産家にとっても、従来、相続税の節税対策としては不動産が一般的であったものが、より流動性の高い株式にまで広がるとなると、一気に投資意欲が高まり、株式市場が活性化されることが予想されます。
現行の上場株式の相続税評価方法について
現行の相続税法では、上場株式は、相続開始時点での最終価格(終値)によって評価しますが、課税時期の最終価格が、次の3つの額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
1 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
このように、時価の変動があったとしても、相続開始前3カ月以内のいずれかの月の平均までしか選択できませんが、仮に今回の上場株式等の相続税評価の見直しが決まれば、現行の評価方法よりも大きく評価を下げることができ、相続税の負担も少なくなるでしょう。
(提供:チェスターNEWS)