今は、多様な働き方ができるようになり、これまで培ってきたキャリアや自分らしいライフスタイルに合わせて、契約社員という有期雇用形態で働く人が増えています。

契約社員が正社員と違う点は、1年などと雇用期間が決まっていることです。そのため、契約期間が終わるときに更新するかしないかを労使共に選択しなければなりません。

そこで今回は、契約社員が契約を更新しない場合、会社から更新しないと言われた場合、その他のポイントについて紹介していきます。

契約更新をしたくない場合

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(画像=TheVisualsYouNeed/Shutterstock.com)

契約社員として会社と有期雇用契約を結ぶことは、会社と個人がお互いに「この労働条件でいつからいつまで労働する」という約束を取り交すことです。そのため、まずは契約内容を忘れないようにしておくことが大切です。

1.更新の拒否は自己都合になる?

契約期間の終わりが近づくと、会社から契約更新を求められることもあるでしょう。そのときに断われば自己都合の退職となります。

自己都合になるのかで気になるのが、「失業保険の給付制限」です。契約社員の場合、働いた期間が1年以上3年未満での契約満了の退職であれば、自己都合であっても給付制限はありません。

2.更新しない旨はいつまでに伝えればいい?

契約期間が終了し、契約を更新せずに退職したい場合、原則として1ヵ月以上前に申し出るのが一般的です。しかし、次の更新はしないと決めているのならば、早めに会社に意思を伝えておきましょう。

伝える時期は会社によってもルールが違うため、事前に就業規則や労働契約書に目を通しておくと安心ですね。

会社から契約更新しないと言われた場合

契約社員はあらかじめ会社との合意で働く期間が決まっているため、契約期間が終われば自動的に労働契約が終わることになります。

3.突然更新しないと言われてしまった。通達は30日前までじゃないの?

契約期間が満了になると、会社は契約社員に対して契約更新をしないと告げることができます。

しかし契約が3回以上更新されている場合、1年を超えて継続して働いている人については、会社は30日前までに契約社員に対して、契約更新をしない旨を予告しなければならないと決められています。

このように、厚生労働省は有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準をもとに、契約社員を保護するさまざまなルールを定めています。

4.長年働いたのに契約更新しないと言われた……

これまでは、何度も契約が更新されていたとしても、業績が悪化したなどの会社側の都合で契約が更新されないこともあります。

しかし、これまでに自動的に何度も契約が更新されていて、実際には無期契約をしているのと変わらなかったという場合や、契約社員が「次回も契約が更新されるだろう」と思ってしまう理由があったという場合においては、特に納得できる理由がないまま契約が更新されないというのは認められていません。

とはいえ、思いもよらず職を失うことになってしまい、生活に支障が出ては大変です。早めに会社に打診しておいて、契約更新されなかった場合の対処法を考えておく必要もあるでしょう。

5.雇い止めに納得できない!どうすればいい?

雇止めとは、会社が有期労働契約の更新を行わないと決めることで契約期間が満了となり、雇用契約が終わることです。

しかし、契約社員として有期労働契約を結んでいる場合であっても、働く人を保護するために会社は簡単に解雇できないことになっています。

雇止めを言い渡されて納得がいかない場合は、会社に遠慮して泣き寝入りする必要はありません。会社に説明を求めたり、労働基準監督署などに相談したりすることも一つの方法です。

その他、契約社員の更新時の疑問

6.更新時期なのに、会社から話がないけれど……

契約期間満了日の30日前になっても会社が何も言ってこないために「次はどうなるのだろう」と心配しているのであれば、契約更新の有無について自ら確認しましょう。もしかすると、担当者が忘れているのかもしれません。遠慮する必要はないので、勇気を出して相談してみてください。

7.更新時、契約条件の交渉はできるの?

仕事ぶりや業務成績次第ではもちろん交渉可能です。

同じ会社で労働契約を結んでいる場合、契約社員だからという理由で正社員と比べ不当な労働条件のもとに働かされることは禁止されています。賃金や労働時間などの基本的な労働条件だけではなく、労働契約内容の災害補償や服務規則、福利厚生など全ての待遇が含まれているので、まずは交渉してみましょう。

8.5年以上働くと無期契約社員になれる?

2013年4月1日に施行された改正労働契約法によって、通算5年を超える有期労働契約を結んだ契約社員が会社に申し込みを行うと、無期労働契約に転換することができるようになりました。

ただし、その際には次の3つの条件をクリアしていることが必要です。
・使用する事業主が同一である
・契約の更新回数が最低でも1回以上
・有期労働契約の通算期間が5年を超える

これは、2013年4月1日以降に開始した有期労働契約からカウントされます。該当する場合で無期契約社員を望むのであれば、できるだけ書面で申し込みをしましょう。

雇用期間が定められている契約社員にとって、契約更新はとても大切なもの。更新にまつわる細かなルールは会社によって違うので、思わぬトラブルを避けるためにも、まずは契約時の書類をよく確認しておくようにしましょう。

文・小川あきこ(ファイナンシャルプランナー)/fuelle

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