相続税の申告期限は僅か10ヵ月!?
相続が発生して、お葬儀を終えて、ほっとしたのも束の間、故人が残した財産が基礎控除(3,000万円+法定相続人の人数×600万円)以上あれば、相続税申告の手続きを行う必要があります。
この相続税の申告期限は、以下の通りです。
「亡くなった日の翌日から10ヵ月以内」
相続税の申告期限に一日でも遅れてしまいますと、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生しますので、注意が必要です。
故人とは疎遠で相続発生の事実を知らなかった場合
では、こういった場合にはどうなるでしょうか?
亡くなったAさんには、離婚した前妻の子供Bがいました。
BはAさんとは絶縁状態で、離婚後は連絡をとったことがありませんでした。
当然Aさんが亡くなった事実を知らされることもなく、葬儀にも参列していません。
しかしAさんが亡くなった日から、1年が経ち、偶然、相続開始の事実を知りました。
このような場合にBさんは亡くなった日から10ヵ月以内に申告をしていませんので、相続税の申告期限に間に合わないことによる罰則があるのでしょうか?
回答
「相続税の申告期限は、正確な表現をすると、亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内」となりますので、本ケースではたとえ相続開始から10ヵ月以上が経過していたとしても、Bさんが相続の事実を知ったのが1年後でしたら、そこから10ヵ月以内となります。
相続税の申告期限の延長はできるか?
このように、相続税の申告期限は「亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内」と定められていますが、延長はできないのでしょうか?
例えば、申告日に大地震が起きて税務署に行けなかった、妊娠中であり陣痛が申告日にきてしまった等の特殊事情があった場合、10ヵ月厳守を求めることは酷であるため、そのような場合には、相続税の申告期限の延長が認められています。いくつかご紹介します。
- 災害が発生した場合には、災害終了から2ヵ月の範囲内で延長可能
- 相続人の廃除等により、相続人に異動が生じたとき
- 相続人となる胎児がいる時 等々
この他にもいくつかの相続税の申告期限の延長規程が設けられています。
記憶に新しいところでは、東日本大震災の際には、申告期限延長の特別措置がありました。
しかしながら、これらの法律で列挙されている事項以外の理由については、認められませんので、よほどの特殊事情がない限り、個人的事情は考慮してもらえないと考えておいた方がよいでしょう。
(たとえばよくあるご相談で、申告期限に病気になってしまった等がありますが、こういった個人事情は考慮されません)
このように相続税の申告期限には、法的な定めがあるため、期限内申告が行えるよう、余裕をもった相続税申告手続きを行いましょう。
<参考> 国税庁 相続税法基本通達 (相続税申告期限の詳細規程は、相続税法基本通達27の各項に記載されています)
(提供:チェスターNEWS)