創業時には通常、過去における事業の実績などがないため、メガバンクや都市銀行などから融資を受けるのは困難と言われる。しかし、政府系金融機関などでは創業時の資金を無担保かつ低金利で借りられる可能性がある。今回は、創業時におすすめの資金調達方法を紹介したいと思う。

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(写真=PIXTA)

起業時の定番! 日本政策金融公庫の新創業融資

サラリーマン時代にコツコツと貯めてきた自己資金で起業することはもっとも堅実な方法だ。しかし、店舗や事務所の開設など、最初にある程度まとまった資金が必要な場合もある。また、黒字になるまでに時間がかかるビジネスでは、当面の運転資金や生活資金をカバーできるだけの余裕も必要になる。

創業時の資金調達方法としては、日本政策金融公庫による融資が定番の方法といえる。日本政策金融公庫は政府系の金融機関である。そのため、これまでに実績がない起業家に対しても資金を融通することで日本経済の成長や発展に貢献するという使命を持っている。

例えば、日本政策金融公庫の国民生活事業では、新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人を対象に「新創業融資」と呼ばれる制度を用意している。この制度では、最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円)まで無担保かつ無保証で融資が受けられる。

もちろん、満額まで借りられるケースは限られているが、不動産などの担保物件を提供できない人や借入の保証をしてくれる人を見つけられない人にとっては力強い味方となる。

都道府県が窓口になる創業融資という制度も

金融機関でお金を借りる場合、「プロパー融資」と「保証付き融資」という2つのタイプの貸出方法がある。これらの分類は融資にかかる回収不能のリスクを誰が負担するのかを意味している。

プロパー融資というのは、純粋に金融機関がリスクを負って債務者に融資を行う方法である。これに対して保証付き融資というのは、信用保証協会が融資に対して保証を行う方法である。保証付き融資では、仮に債務者が借入の返済をできなくなったとしても、信用保証協会が代わりに支払をしてくれるため、金融機関はまるまる損害を被らずに済むのだ。

こうした信用保証の枠組みを活用して、都道府県、金融機関、信用保証協会の三者が連携して創業者の支援を行う「創業融資」という制度がある。

例えば、東京都の創業融資の場合、東京都内で近々個人開業あるいは会社設立の方法で創業する計画のある者や創業してから5年未満の中小企業者などが対象となる。融資金額は運転資金と設備資金合わせて最大2,500万円となっている。

通常、信用保証協会の保証を受けるためには信用保証料を支払う必要がある。例えば、金融機関からのローンで保証料を金利と一緒に支払っている場合にはあまり意識されないこともあるが、実は債務者が保証料を負担している。

都道府県の創業融資では、この信用保証料に対して2分の1など一定割合の補助が受けられるという利点がある。また、地域の商工会議所や商工会から創業支援を受けているなど、一定の要件を満たすことで金利が優遇される「創業支援特例」という特典も用意されている。

審査上も優遇される創業融資は有効に活用しよう

以上のように、創業融資は事業実績がなくてもお金を借りられ、様々な優遇も受けられるというお得な制度である。

一般に、業況が厳しいときほど、融資が必要であるにもかかわらず、審査は通りにくくなるものだ。取引のない金融機関に初めて融資の申込をする場合などは特に審査は厳しくなる。

そのため、創業時に融資を受けておくことは資金繰りの面で好ましいだけでなく、金融機関と取引実績を作っておくという意味でも有用だ。そのような効用も考えた上で日本政策金融公庫や都道府県の創業融資はうまく活用したいものである。