遺言を書くと相続税が節税になる?
平成27年7月7日、政府与党は、遺言を作成すれば、相続税の基礎控除額が上乗せになる「遺言控除」を新設する方針を発表しました。
現行の相続税が非課税なる控除枠(いわゆる基礎控除)は、平成27年1月1日より「3000万円+法定相続人の人数×600万円」となっています。この相続税改正により、従来よりも相続税を節税したいという資産家の要望が増加しています。
そのような中で、国は遺言を作成することで、相続税の基礎控除に一定額を上乗せする遺言控除という新しい施策を考えたのです。これは非常にビッグニュースとなり、各新聞紙面に大きく取り上げられました。
遺言控除でいくら節税になるのか?
そうすると気になるのは、遺言を作成することで、相続税がどれ位節税できるのかという点です。この点、具体的な相続税の控除額については、平成27年7月時点ではまだ確定していませんが、数百万円程度の控除額になると予想されています。
この数百万円は、相続税の額ではなく、財産からの控除額ですので、節税額としては、仮に500万円程度であれば、50万円~250万円ほどの節税額になります。それでも、遺言を作成するだけで相続税が節税になるということで、これまで遺言作成の腰が重かった資産家の方にとって、遺言を作成する大きな動機づけとなりそうです。
遺言を作る時代に突入?
相続対策と聞くと、遺言の作成がまず思い浮かぶ方も多いと思いますが、資産家の方でも遺言を作成している人の割合というのは意外に少ないものです。これは公正証書遺言を作成すると、費用がかかる、手間がかかる等の理由が多く挙げられます。以下の図は実際に全国で作成された公正証書遺言の作成件数の推移ですが、増加傾向にはあるものの、まだまだ作成件数は少ない状況です。今回の遺言控除が導入されれば、今後は、公正証書証書遺言の作成者が増えることは間違いないと思われます。
(提供:チェスターNEWS)