「究極の個人情報」とも呼べる遺伝子を解析し、個人に最適化した病気予防策を見出す——。こうした遺伝子検査サービスの市場は既に世界で1兆円規模となり、日本国内でも数百社以上の事業者が参入しています。なぜここまで遺伝子検査サービスが広まったのでしょうか。効能や業界大手のサービス内容・価格に迫り、そのヒントを探ります。

黎明期から開始しているDHC、検査キットは5,400円から

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(画像=Likoper/Shutterstock.com)

日本における遺伝子検査サービスの黎明期にこの分野に参入した企業が、化粧品会社のディーエイチシー(DHC)です。2008年にサービスを開始しており、今年で事業10周年を迎えました。累計利用者数は40万人以上となり、同社は「日本で最大のデータベースを有する」と標榜しています。

DHCの遺伝子検査シリーズは4種類。肥満関連遺伝子を調査する「ダイエット対策キット」や発病傾向や体質など55項目について調べる「元気生活応援キット」などで、価格は5,400円から1万9,800円。検査結果を元に自社のサプリなどを提供しており、結果についての医師や薬剤師などに相談できる電話窓口も用意されています。

IT大手DeNAも参入、50分2,980円の助言プログラムも

創業者・南場智子氏の肝いりで2014年に遺伝子解析サービスをスタートさせたのは、インターネット関連企業のディー・エヌ・エー(DeNA)。子会社のDeNAライフサイエンスが同事業を担う形で、現在は「MYCODE」と呼ばれる遺伝子検査サービスと、遺伝子検査の結果を元にアドバイザーが助言を行う「生活改善プログラム」を提供しています。

MYCODEは、自宅で採取した唾液を専用キットに入れて郵送するだけでがんや生活習慣病へのかかりやすさなど最大280項目の検査が可能で、検査項目数などによって9,800円から3万3,800円の間で4つのプランが用意されています。

その結果を元に対面もしくはテレビ電話で助言が受けられる生活改善プログラムは1回50分2,980円。管理栄養士から食事などの改善案を聞くことができます。

遺伝子検査サービスの広がり

両社のサービスに共通して言えることは、遺伝子解析がその後の病気の予防や生活改善に役立つという点です。特に三大疾病の一つであるがんへのリスクを推計できることは大きいでしょう。

日本ではがん患者が増え続けています。国立がんセンターは2018年にがん罹患者数は101万人を予測しており、がん予防への機運が高まっていることも遺伝子解析サービスが利用者層の幅を広げた一因になっているのは間違いないでしょう。

また料金設定にも共通点があります。健康志向が高まる中、3,000円から5,000円程度から始められる手頃な料金設定が、日本国内における遺伝子検査ブームを後押ししたとも言えるでしょう。

遺伝子検査サービスのこれから

遺伝子検査市場は今後も拡大が続くとされています。英調査会社のクレデンス・リサーチ社は、2017年は1億1,710万ドル(約130億円)だった市場規模が2026年には6億1,120万ドル(約680億円)と5倍以上になると予測しています。

経済産業省による「遺伝子解析ビジネス等に関する調査」では、2015年度時点で日本国内において遺伝子検査ビジネスを展開している事業者は既に少なくとも369社に上っていることが明らかになっています。

一般向けの遺伝子解析サービスだけではなく、膨大な検査結果をビッグデータとしてAI(人工知能)解析し、難病治療や予防に役立てようという動きも出てきています。IT企業もこの領域を成長分野と位置付け、事業展開の本格化を目指しています。

遺伝子解析は技術の進化でさらに人間へ大きな恩恵をもたらしてくれることでしょう。(提供=JPRIME

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