マイクロソフトのビル・ゲイツ氏やフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏など、ビジネス界の創業者が成功し、巨額の寄付を行うケースがアメリカでは目立っています。なぜ海外セレブは寄付に積極的なのでしょうか。
成功者による巨額寄付の例
アメリカの寄付文化を象徴するとも言えるニュースが、2018年3月に報じられたことをご存じでしょうか。
米フォーブス誌が発表した世界長者番付において、それまで4年連続で首位だったマイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏が2位に順位を落としました。その要因となった一つが、ゲイツ氏が慈善事業に自身が保有するマイクロソフト株や現金を寄付したことでした。番付順位に影響を与えるほどの額をゲイツ氏は寄付に投じたのです。
ゲイツ氏夫妻は自分たちの死後に保有資産を慈善事業に寄付することを宣言しています。フェイスブックの共同創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏とその妻も、保有する自社株の99%を慈善活動に充てる計画を明らかにしており、ビジネス界における成功者が巨額の寄付を行うという光景は、もはやアメリカにとって特別なものではありません。
ビジネス界ではほかに、米アマゾンCEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏や著名投資家のジョン・ドーア氏、経済界だけではなく、ジョージ・クルーニー氏やブラッド・ピット氏などハリウッドの著名人も巨額の寄付を過去に行ったことで知られています。なぜアメリカ人はここまで寄付に積極的なのでしょうか。
アメリカにおける寄付を取り巻く状況
アメリカにおいて寄付文化が根付いている理由はさまざまです。
社会に恩返ししたい、誰かを救いたい……。このような思いは寄付の根源的理由の一つになると言えるでしょう。欧州やアメリカでは「ノブレス・オブリージュ」という考え方が一定程度浸透しています。日本語では「高貴なる者の義務」などと訳され、社会的地位の高い人や裕福な人は社会に対する責任が大きい、という考え方です。
ただ、こうした想いや考え方だけが成功者に寄付という行動を起こさせるきっかけになるとは一概には言えません。ブランド力や信頼性の向上など、言ってしまえば、寄付の副産物とも言える効果に着目して寄付を行うという側面があることは否めないでしょう。
またアメリカにおいては寄付に対する税制上の優遇措置も充実しています。科学や教育、スポーツ振興、児童・動物虐待の防止などを目的とする団体に寄付をした場合は、所得税や法人税などの控除を受けることができることから、節税対策として寄付を行うケースもあります。
日本における寄付文化と今後
アメリカ人と比べて日本人はどうでしょうか。
日本ファンドレイジング協会がまとめた「寄付白書2017」によれば、2016年の名目GDP(国内総生産)に占める寄付額の割合は、アメリカが1.44%であるのに比べ、日本は0.14%に留まっており、10倍もの開きがあります。白書では日本とアメリカ以外の国の寄付額の割合も紹介しており、韓国は0.50%、イギリスは0.54%と、いずれも日本より高い割合を示しています。こうしたデータを考慮すると、日本では寄付文化が根付いているとは言えないでしょう。
しかし日本でも、ソフトバンクの孫正義会長が東日本大震災の復興支援に100億円の巨額寄付を行ったことなどが注目され、日本人の寄付に対する考え方に一石を投じました。楽天グループの三木谷浩史会長やファーストリテイリングの柳井正会長なども寄付に積極的なことで知られています。
日本においても国や地方公共団体、認定NPO(非営利組織)などに対して寄付をしたとき、所得金額から寄付金額を控除できる枠組みがあり、こうした著名人の取り組みがきっかけとなって寄付税制の活用が個人・法人の間で今後進むことも考えられるでしょう。(提供=JPRIME)
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