新宿駅から乗車時間30分――そんな便利な場所でマンションを手に入れたいものだが、新築は価格が高くて手に入りそうもない。そこで、比較的価格の安い中古マンションに注目。資産価値の落ちない、リセールバリューの高い中古物件がある駅はどこなのだろうか。

JR中央線、京王線、小田急小田原線の3路線で比較

新宿駅,中古マンション
(画像=picture cells/Shutterstock.com)

新宿駅から延びる沿線のうち、ここではJR中央線、京王線、小田急小田原線の3路線に注目する。乗車時間30分以内に限ると、JR中央線は快速で29分の国分寺駅まで、京王線は特急を利用して28分の高幡不動駅まで、小田急小田原線だと快速急行で30分の町田駅までとなる。その範囲でリセールバリューの高いエリアはどこなのか、東京カンテイの『中古マンションのリセールバリュー&賃料維持率2017』をもとに見てみよう。

東京カンテイでは、2006~2008年に分譲されたマンションのうち、2017年の1年間に中古流通事例があった物件をピックアップ。その新築時の3.3平方メートル当たりの坪単価と中古流通時の坪単価を比較している。

新築時の坪単価が100万円で、中古流通時が90万円ならリセールバリューは90%、中古流通時が120万円ならリセールバリューは120%。リセールバリューの数値が高いほど、お値打ちということになる。

JR中央線で唯一リセールバリュー100%を超える――三鷹駅

JR中央線でリセールバリューが最も高かったのは、三鷹駅の109.7%。隣接する人気エリアの吉祥寺駅(97.6%)よりリセールバリューが高いという結果は意外だ。これはそもそも吉祥寺駅の新築価格が高くなり過ぎているため、中古価格と比較したリセールバリューが上がりにくいという背景がある。

また、三鷹駅は近年駅前の再開発が進み、2019年春には駅前に地上26階建ての超高層マンションが完成するなど、注目度が高まっている影響もありそうだ。

10年前の新築時の坪単価は吉祥寺駅284.5万円に対して、三鷹駅257.8万円だったが、現在の中古価格を見ると三鷹駅は282.9万円で、吉祥寺駅の277.5万円より高い。10年前に買って今売却したとしたら、坪当たり25.1万円、20坪(約66平方メートル)の住まいなら502万円も利益が出たことになる。

京王線の狙い目エリア 坪単価200万円前後————柴崎駅、国領駅

京王線高幡不動駅までの間で、リセールバリューが最も高いのは笹塚駅の104.8%。だがここは、中古マンションの坪単価277.8万円と京王線としてはかなり高いレベルにあって、手が出しにくい。

それよりは、リセールバリュー95.9%の柴崎駅、95.3%の国領駅あたりが狙い目かもしれない。その前後の駅の多くは70%台、80%台なので、この2駅は資産価値を維持しやすそうだ。

10年前の新築価格、現在の中古価格ともに坪単価200万円前後で、少し年収の高い層、また平均的な会社員でも、共働きで頑張れば十分に手に入りそうなエリアだ。

小田急小田原線でリセールバリューが105.8%と最高————新百合ケ丘駅

小田急小田原線町田駅までの範囲で、リセールバリューが最も高いのは新百合ケ丘駅の105.8%。10年前の新築時の坪単価は193.1万円だったのが、現在の中古流通価格は204.3万円だ。20坪(約66平方メートル)のマンションであれば、新築時に3,862万円で買ったものが、4,086万円で売れる計算だ。

小田急小田原線は、複々線化によるダイヤ改正で新宿駅までの所要時間が大幅に短縮されたこともあって、新百合ケ丘駅よりも遠い海老名駅が115.3%、厚木駅が98.2%など、リセールバリューを押し上げる要因になっているようだ。

文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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