2018年12月13日(木)Market TalkのSummary

・来年の日米中の景気について

日本については去年12月が景気のピークで、今年1年災害等もあり景気が低迷したといわれている。だが足元、街角景気や景気動向指数は持ち直してきていること、この間の法人企業景気予測で企業業績が2か月連続で改善するという結果が出ていること、この冬のボーナスは過去最高になるという調査がでていることなどから、日本の景気はだいぶ持ち直してきていると思う。来年になると景気対策もどんどん出てきて、もっと景気が加速していくのではないか。

中国についても景気対策が打たれて既に一部の指標で改善が見られている。来年はもっと良くなって明確に改善が明らかになってくるだろう。

米国も賃金の伸びが3%台で安定するようになった。一方でインフレは高まっておらず実質賃金が上がっているので消費者マインドは強い。

このように来年は日米中とも景気は悪くならないどころか、むしろ良くなるであろう。

・日欧EPAに関して日本株への影響は如何でしょうか?

ヨーロッパの製品ですごいものは何かと考えると、まず思いつくのはドイツの自動車だが、自動車はすでに関税はゼロ、あとは農産物ぐらいか。貿易面では問題になってくるかもしれないが、日本株への影響はそれほど大きくないと考えてよいのではないか。

今朝のNY市場はプラスで引けましたが、引けにかけて上げ幅が縮小しました。米中関係の緊張が少し緩和したとはいえ、株価が底を打ったとはまだ言えないですか。

ほぼ底を打ったと考えてよいのではないか。先週のレポートをご参照。

・原油、為替の今後の見通しは?

原油についてはとりあえずOPECの協調減産で落ち着いてきているのではないか。原油が下がっていた理由のひとつに世界景気に対する過度な懸念があるが、最近は過度な悲観論を言う人が少なくなってきているように思う。逆に景気が加速するという人も出てきて、そうなればそんなに弱くはならないだろう。為替については米利上げ打ち止め感と世界景気が減速しないということの綱引きで水準はあまり変わらないのではないか。

・Jリートの見通しは?

物件価格のピークアウト感は出ているが、引き続きオフィス需要は強い。来年にかけて日本は史上最長の景気拡大に入り、来年は景気対策でますます景気が良くなってくる。景気に連動して賃料が決まるとすると賃料が下がる要素はあまりない。一方物価はどうかというと、今後携帯通信費が下がる、ガソリン価格も安くなっている等から考えるとインフレはまだ全然上がってこないと考えられる。Jリートの賃料は堅調で他の物価が下がっている、日銀の金融政策で金利はゼロであることから考えるとJリートは魅力的な資産になってくるだろう。

今年大きく下落して半値になった東京エレクトロンですが、今後の見通しは?

ここまで下がれば十分だろうと思う。半導体は今後も色々な分野で必要となっていく。今は半導体製造装置の需要が一時的にストップしているだけなので、今後また切り返してくるだろう。

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広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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