年末になるにつれ、テレビCMなどでも話題になっている「ふるさと納税」ですが、実際にいくら自己負担が必要で、どれくらいの得があるのかイマイチわかりづらいもの。最低限の自己負担で効率よくふるさと納税を活用するためには、必ず「控除上限額(限度額)」を知っておく必要があります。年収や家族構成、居住地域などで一人一人額が変わるので、簡単に上限額を調べる方法や詳しい計算方法をご紹介します。

ふるさと納税の仕組み

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(画像=TK6753/Shutterstock.com)

寄付額に応じて、各税が減額される寄附金控除である

ふるさと納税とは、生まれ故郷に限らず、応援したい自治体に任意の額を寄附できる制度です。寄附額に応じて、そのぶん所得税や住民税の還付・控除が受けられます。さらに、ふるさと納税と聞くとつい御礼品に目が行きがちですが、寄附金の「使い道」を指定して寄附できるので寄附者の満足度も高い魅力的な制度です。

寄附金額の上限はないが、税控除の上限額は決められている

年間を通じて寄附する自治体の数や金額、回数に上限はありません。しかし、所得や家族構成に応じて税控除を受けられる上限額は決まっており、それを超えた分は住民税特例分からの控除対象外となってしまいます。超過分は所得税および住民税(基本分)30%の還付・控除を除いて70%が自己負担になり、純粋な寄附金として自治体へ納入されます。

つまり、この「控除上限額」を超えない範囲で寄附すれば、自己負担2,000円のみでふるさと納税を利用することができます。「結局2,000円かかるのか……」と思いがちですが、この2,000円に対して自治体が贈呈している御礼品ははるかに2,000円の価値を超えるものがズラリと並びます。

控除上限額は人によって異なる

毎月支払う税額が個人の所得に応じて違うように、当然ふるさと納税を利用した時の控除上限額も所得や家族構成によって異なります。簡単に上限額のシミュレーションができるサイトも多く、総務省のホームページでは、所得や家族構成に応じた納税額の目安が一覧表で確認できます。まずは上限額を確認し、寄附額を決定するのもひとつです。

控除上限額の計算方法

実際にふるさと納税の控除を受けると、今支払っている所得税や住民税から実際にどれくらい控除されるのか計算してみましょう。

まず、控除上限額とは、「所得税」「住民税(基本分)」「住民税(特例分)」からの3つの控除の合計金額です。年収400万円の独身者を例に挙げながら、各税について解説します。

所得税分

所得税からの還付は (ふるさと納税の寄附金額-2,000円)×(所得税の税率(0~45%)×1.021)で計算できます。

年収400万円の独身者の場合、控除上限額は4万2,000円なので、自己負担分2,000円を差し引いた4万円が、所得税と住民税からの控除(還付)対象になります。

年収400万円の所得税率は20%なので、4万円×20%=約8,000円が所得税から還付されます。なお、所得税率は課税総所得の額により変動します。

住民税分(基本分)

住民税は、基本分と特例分の2つに控除対象が分かれています。まず住民税(基本分)からの控除額は、(ふるさと納税の寄附金額-2,000円)×10%で計算されます。

年収400万円の独身者が控除上限額の4万2,000円を寄附すると、4万円×10%=4,000円が翌年6月以降の住民税から控除されます。

住民税(特例分)

住民税からの控除(特例分)は、(ふるさと納税の寄附金額-2,000円)×(90%-所得税率×1.021)で計算されますが、具体的な計算は自治体によって異なります。さらに、住民税(特例分)からの控除は、住民税所得割額の2割を超えない場合には上記の計算式ですが、これに該当しない場合は居住する自治体へ確認が必要です。

例として年収400万円の独身者が4万2,000円を寄附すると、約3万円が住民税から控除されます。

つまり、年収400万の独身者が上限額4万2,000円の寄附をした場合、「所得税控除」 約2,000円 + 「住民税控除(基本分)」4,000円 + 「住民税控除(特例分)」約33,900円 = 合計 約39,900円が控除額となり、残りのおよそ2,000円が自己負担になるという計算です。

同じ年収でも家族構成によって控除額は変わるので、自分の控除額をぜひ総務省の一覧表やシミュレーションサイトで調べてみましょう。また、控除上限額シミュレーションサイトでは、社会保険料や医療費控除、住宅ローン控除なども含めて総合的に控除額を計算できるものもあるので、活用すると便利です。

実際にはいつ控除される?

所得税分は、確定申告の際に指定した口座へ銀行振り込みにて還付されます。

住民税分は、基本分と特例分を合わせてふるさと納税を行った翌年の6月以降に控除されます。会社員の場合は、6月頃に勤務先で配布される住民税決定通知書で確認できます。

確定申告またはワンストップ特例制度も忘れずに

ふるさと納税による還付・控除を受けるためには「確定申告」か「ワンストップ特例制度の申告」が必要なので忘れないようにしましょう。寄附先が5自治体以下の場合や確定申告がもともと必要ない人は、ワンストップ特例制度を使うことで確定申告が不要になります。

今年度の期限は12月31日!まだふるさと納税をしていない人は早めに検討してみてくださいね。

文・木村茉衣(ファイナンシャルプランナー)/fuelle

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