米国の好調な経済指標にも関わらず、先週の株式市場は下落が続いた。金曜日のS&P 500は、週初めの高値を打ち消して2月来の安値をテストした。 ダウ平均株価も500ポイント下落した。

米中貿易問題がプラス方向に進展しない限り、投資家は株式を買う理由はないだろう。10月以来株価の下落が続いており、全ての米国の主要指数は調整局面に入っている。

今週のリスク回避姿勢が後退する兆候は見られない。実際、投資家は年末休暇を前に、買い持ちを避ける可能性が高い。

しかし、個々の銘柄の固有ファンダメンタルズは、依然として株価の押し上げ要因となるだろう。以下が今週に大きく動く可能性の高い3銘柄である。

1.ジョンソン・エンド・ジョンソン

金曜日は米ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(NYSE:JNJ)のポジションを持つ投資家にとって、つらい1日であっただろう。同社がベビーパウダー製品にアスベストが含まれていたことを数十年間把握していたとのロイターの報道を受けて、同株は10%以上下落した。

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(画像=Investing.com)

7月に陪審は、同製品によって卵巣がんを発症したと主張する女性に対して、46.9億ドルの損害賠償支払いを命じた。今回の件は今に始まったことではないと考えられ、同社への訴訟が相次いだ場合、同社に法的責任が重くのしかかるだろう。

今回の報道は明らかに同株への悪材料であり、金曜日の同株は133ドルで取引を終えた。しかし、ウェルズファーゴのアナリストLawrence Biegelsen氏によると、訴訟件数が倍増した場合でも、賠償金はたったの65億ドルであるとのこと。

したがって、我々の見解では、市場の反応は過敏であり、今週に同株は反発するだろう。今回の急落を受けて同株は割安となっているため、長期投資家にとっては安定した配当を得る絶好のエントリーポイントである。

2.マイクロンテクノロジー

半導体企業のマイクロン・テクノロジー(NASDAQ:MU)は、12月18日火曜日の市場閉場後に、2019年第1四半期の決算報告が予定されている。アナリストは1株当たり純利益(EPS)を2.94ドル、売上高を80.2億ドルと予想している。

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(画像=Investing.com)

多くの悪材料が同時に同社を襲っている。半導体への需要減退や、米中貿易問題、また同社固有の悪材料としては、中国当局による同社への調査の強化などが挙げられる。英紙フィナンシャル・タイムズによると、中国当局は同社含む3社が独占禁止法を違反している「多くの証拠」を押さえているとのこと。

同社の第1四半期決算報告と電話会見(カンファレンスコール)では、半導体セクターの深刻化する問題と来年の見通しを知ることができるだろう。金曜日の同株は34.20ドルで取引を終え、64ドルを上回っていた5月以来で約半分の時価総額が失われている。

3.ナイキ

スポーツ用品大手のナイキ(NYSE:NKE)は、12月20日木曜日の市場閉場後に2019年第2四半期の決算報告が予定されている。アナリストはEPSを0.46ドル、売上高を9.17ドルと予想している。

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今年のナイキは躍進を遂げた。金曜日の同株は72.53ドルで取引を終えた。同社の北米での売上が回復したため、9月には過去最高値である86ドルを記録した。同社の米国売上高が減少した第3四半期の後、好況な米国経済や、減税、賃金上昇によって消費者はショッピングモールへ戻ってきたのである。

国内市場の回復に加えて、同社は売上高の半分以上を生み出す海外市場で高いブランド力を確保している。しかし、中国経済や世界経済への懸念が同株への下押し圧力となっており、9月以来で16%の時価総額を失っている。

次回の決算報告では、貿易戦争の中でも堅調な売上高と純利益成長率を示すことになるだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル