本日にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表を控えていることもあり、前日は様子見の動きが強まりました。トランプ大統領が連日TwitterにてFRBの利上げを牽制する場面がありましたが、マーケットでは、トランプ大統領に指摘されて利上げを見送るようなことがあれば、FRBの信頼が揺らいでしまうとの指摘もあり、マーケットへの影響は限定的となりました。

ユーロに関しては、「イタリアは欧州連合(EU)と2019年予算案で合意した」との報道により一時1.14ドルを回復する場面が見られましたが、事前報道により織り込まれていたこともあり、1.14ドル台では利食い売りが優勢になりました。また、独・12月IFO景況指数が市場予想101.7に対して101.0と2016年9月以来の低水準を付けたこともあって、一旦は上値が抑えられています。

本日は、ソフトバンク上場ということもあり、注目されていましたが、公開価格(1,500円)を下回る1,463円で初値をつけた後も売りが殺到しており、歩調を合わせるかたちで日経平均株価も下落していることから、ドル円は一時112.195円まで下落しました。やや落ち着きを取り戻してはいるものの、FOMCまではドルを買い戻す向きも限定的になるため、本日の東京時間、ロンドン時間のドル円の上値は重い展開が想定されます。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、やはりFOMCが注目のイベントとして意識されそうです。12月利上げについては、ほぼ織り込まれていたものの、パウエルFRB議長による利上げサイクルの停止の示唆、および、トランプ大統領を筆頭としたホワイトハウスからの利上げ牽制などもあり、12月の利上げについても様々な憶測が飛び交っています。来年の利上げペースが最重要トピックスではありましたが、利上げがあるかどうかという点についても重要になりそうです。

今回は、FOMC声明文、政策金利見通し、パウエルFRB議長の記者会見と全てが重要なものになりそうです。まず声明文については、「さらなる段階的引き上げ」という文言を削除する可能性が高そうです。11月FOMC議事要旨にも同文言の削除の可能性が示唆されており、この文言が削除されることによりドル急落の動きにはならないと思いますが、一定のドル失望売りは十分考えられそうです。政策金利見通しについては、2019年の利上げ予想については、中央値が3回から2回に修正されそうです。こちらもある程度織り込まれているものと思われますが、失望売りを招くには十分な材料だと考えられます。

今回のFOMCにて考えうるパターンは4つあり、①利上げあり、金利見通し修正なし、②利上げあり、金利見通し修正あり、③利上げなし、金利見通し修正なし、④利上げなし、金利見通し修正ありです。可能性としては②と④が高そうですが、④の場合は利上げこそないものの、想定しうる動きとしては株価上昇・米長期金利低下・円下落、つまりドル円は上昇する可能性があり、①だと利上げはあるものの、株価下落・米長期金利上昇・円上昇となり、ドル円は下落しそうです。ただ、現実的には②の可能性が高く、②だと動意は限定的になりそうです。

112.20円付近が一定のサポートラインだが、戻り売りの方が堅実か

戻り待ちに戻りなしの動きになっています。112.20円付近では一定の底堅さも確認できますが、基調が弱いことを考えると戻り売りの方が堅実だと思われます。112.80円付近まで引き付けての戻り売り、損切りは113.30円、利食いは111.40円を戦略とします。

海外時間からの流れ

NYダウは、507ドル安と連日の大幅安となっています。FOMCを前に警戒ムードが強まっていることが要因ですが、完全にリスクオフの動きになっています。ホワイトハウスから12月利上げについて反対の意見が多く聞かれており、本日も引き続き同様の発言があるかもしれません。同様の発言があった場合は、シンプルにドル売りに傾く可能性が高いと考えられます。

今日の予定

本日の経済指標としては、英・11月消費者物価指数、米・FOMC政策金利発表、パウエル・FRB議長定例会見などが予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。