事業承継において、経営者が後継者にいつ引き継ぎを完了させるのかを決めるのは大事な課題の一つです。経営交代を早めた結果、後継者が会社経営を行えなければ経営が傾く可能性もありますし、経営交代を先延ばしにして後継者が頼り切りになれば従業員たちが不安に思うかもしれません。そこで、事業承継における経営交代のタイミングについて考えてみましょう。
事業承継で経営交代のタイミングが大事な理由
事業承継時にはこれまでの経営状況や戦略、取引先、関係先、そして従業員のことなど、会社に関するあらゆることを後継者に伝え、経営者として育成を行います。後継者が先頭に立って指揮を取れるよう指導をするとともに関係者との良好な関係構築を行えるように意識することが大切です。
しかし、後継者や会社のことが心配でなかなか経営交代の時期を決断できない経営者もいるはずです。それではいつまでも後継者が成長しませんし、後継者を中心とした体制構築が不十分であれば会社自体うまく回っていかなくなります。そのため、ずるずると先延ばしにしないことが大切です。
事業承継はサクセッションプランを立て、経営交代時期を明確に
事業承継には早くても3年、後継者候補の選出を入れると5年、10年かかるとも言われています。そのため、経営者は経営交代までのサクセッションプランを立て、後継者と経営交代のタイミングを共有し、お互いにズレがないように事業承継を進めていくほうがよいでしょう。後継者にとっても、いつまでにどの程度何を習得しておかないといけないかが明確になるので、意識しやすいはずです。
しかし、サクセッションプラン通りに事業承継を行っても、後継者の理解・進捗状況を確認しなければ意味がありません。会社の経営状態を把握したうえでの指揮がとれ、取引先、関係先との関係が良好であることや、後継者としての覚悟が出来ている状況が見えたら、経営交代のタイミングだと考えるとよいでしょう。
経営交代後はしばらくサポート役に徹する
実際に経営交代をしたとしても、後継者がすべての課題に対する答えを持ち合わせているわけではありません。そのため、経営交代後しばらくは顧問や会長などの立場で会社に残ることを検討するのも一案です。会社に何か課題が生まれた時には課題解決のフォローをしたり、トラブル時には後継者にアドバイスしたりすることで、後継者が経験を積んでいけるようにします。
しかし、基本的には自分から積極的に手を出すのではなくて、後継者がどのような行動をするのかをよく見るようにしましょう。そして、行動がずれていると考えられる場合にはサポートして、正すのが後継者育成にも有用です。
従業員から相談を持ちかけられる場合もあるかもしれません。その時にもサポートはするものの、後継者が中心となって会社経営が行われるように縁の下の力持ちの存在として機能するように、自分のポジションを意識することが大切です。そうすることによって、徐々に後継者を中心とした体制構築が出来上がっていくはずです。
事業承継は経営交代がうまくいけば安心
このように、経営交代のタイミングを見定め、それに向かって経営者・後継者ともに一丸となり、事業承継を行えば、後継者中心の会社経営や組織経営が行われるようになるはずです。経営者・後継者がともに必死になっている様子をみれば、従業員たちも後継者のことを信頼してくれ、事業承継後売上が上る可能性もあります。
現に、30代40代の後継者に事業承継をした結果、会社の売上高が増加したというケースもありますから、スピード感を持って業務に取り組める若い世代に対して早めに事業承継を開始し、ある程度権限を移譲し、任せてみることが大切です。そうすれば、徐々に経営者としての立場を理解した行動ができるようになり、経営交代がうまくいくのではないでしょうか。(提供:企業オーナーonline)
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