超富裕層が家族や一族の資産管理・運用を行う「ファミリーオフィス」の収益や運用資産残高(AUM)、保有資産が急激に増えています。2017年の投資ポートフォリオは平均15.5%と、2016年(7.0%)、2015年(0.3%)から大幅に拡大しました。

UBSが世界のファミリーオフィスの最新動向を調査した「国際ファミリー・オフィス・レポート2018」から、ファミリーオフィスの投資戦略や投資対象などを見てみましょう。

ファミリーオフィスの約8割「過去1年で家族の資産が増えた」

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(画像: anek.soowannaphoom/Shutterstock)

調査はUBSが世界331社のファミリーオフィスを対象に、2018年2~3月にかけて実施したものです。回答者の75%がシングル・ファミリーオフィス(SFO)で、そのうち21%が家族経営の事業、54%が独立した事業を営んでいます。残りの13%はプライベートのマルチ・ファミリーオフィス(MFO)、12%は商業的なMFOです。

ファミリーオフィスの所在地は38%が欧州、34%が北米、17%がアジア太平洋圏、10%は南米やアフリカ、中東といった新興市場です。3分の2が2000年以降に設立されたもので、33%が国内・国外に2社以上のファミリーオフィスを所有しています。

1970年代以前に設立されたファミリーオフィスの運用資産残高(AUM)は、それ以降に設立されたファミリーオフィスのAUMよりも平均3分の1多く、それぞれ9.92億ドルと6.32億ドルです。

ファミリーオフィスの増加とともに、AUMや保有資産も増えています。ファミリーオフィスのエクゼクティブの48%が「過去1年でAUMが増えた」、77%が「従事する家族の資産が増えている」、55%が「事業収入が増えている」と回答しました。

不動産投資とエクイティが主流

ファミリーオフィス間では近年、より高リスクで流動性の高い投資対象を好む傾向が強まっており、ポートフォリオにおけるエクイティの割合が増えています。

2017年の世界経済は2011年以来最高のパフォーマンスとなり、新興市場のエクイティのリターンは平均38%、先進国市場でも23%と好調でした。長年にわたりファミリーオフィスの「定番」であるプライベートエクイティのリターンも、前年比5ポイント増の18%を記録しました。

興味深いのは、地域によってファミリーオフィスのポートフォリオに大きな違いが見られる点です。北米では先進国市場エクイティ(27%)、先進国債券・プライベートエクイティ直接投資(各14%)、不動産直接投資(13%)が最も人気ですが、アジア太平洋圏では不動産(18%)、プライベートエクイティ直接投資(15%)、新興市場エクイティ(14%)という割合で、他の地域よりも現金の保有率(12%)が高いのが特徴です。欧州ではプライベートエクイティや不動産、ヘッジファンドなどオルタナ投資が半分を占めています。

北米・アジアは「成長」重視、欧州は「維持」派

ポートフォリオの違いは、各地域の投資戦略の違いを反映しているのかもしれません。例えばアジア太平洋圏や北米では「成長」を重視した投資戦略が主流であるのに対し、欧州では「維持」に重点を置いています。

2016年に失速した不動産投資への関心も再燃しています。特に不動産投資に積極的な欧州のファミリーオフィスは、不動産の配分を23%に増やしています。全ファミリーオフィスのポートフォリオに占める割合は2.3ポイント増の17%。リターンは12%でした。

ヘッジファンドは2013年以来の好成績で7.3%を記録したものの、ファミリーオフィスのポートフォリオに占める割合は5.7%と4年連続で下落。

加速傾向にあるのはサステナブル投資やインパクト投資です。38%が既にクリーンエネルギーやヘルスケアといったサステナブル投資を行っており、およそ半分が「今後1年で投資を増やす」と回答。ほぼ70%が自ら設立した財団を運営し、2017年は平均5億ドルを慈善活動に寄付しています。ファミリーオフィスの世代交代とともに、こうした社会貢献を目的とする投資がさらに増えることが予想されます。

文・アレン琴子(英国在住のフリーライター)

(提供:JPRIME

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