クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険はいざというときの心強い味方。海外旅行に行く際に、保険を忘れてしまった人の備えとしても役に立つ。だがそのメリットを最大に生かすには、その補償内容についてもしっかり把握しておきたい。ここでは、海外で頼れるカードとその補償内容のポイントを紹介しよう。

海外旅行中のケガ・病気の治療費用は高額になる

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(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

海外では日本の健康保険が適用されず、また治療費も日本に比べると高額になる傾向がある。特に高額なのがアメリカ。たとえば、ハワイのホノルルで盲腸の手術をして入院すると250万円を超える費用がかかることもある。

そのため、海外旅行時には、万が一のときの治療費などが補償される海外旅行傷害保険への加入をした方が安心だ。ただ旅行のたびに保険の手続きをするのは面倒。そこで役に立つのが、海外旅行傷害保険を付帯したクレジットカードだ。カードを選ぶ際にポイントとなるのが、障害・疾病の治療費の補償限度額だ。

頼れる海外旅行傷害保険の条件

そのほかに重要なのが、病院で治療を受けるときにその場で現金を支払う必要のないキャッシュレス診療に対応しているかどうかだ。クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険の中には、現地での支払いはまず本人が行い、帰国後に保険金が下りるタイプのものがあるが、これでは治療費が数百万円になったとき対処できない。そこで「海外で頼れる」ということを第一に考えるなら、このキャッシュレス診療は必須といっていいだろう。

さらにクレジットカード付帯の保険には、そのカードを利用して旅行代金の全額または一部を支払ったときにのみ適用される“利用付帯”タイプと、カードを所持しているだけで保険が適用される“自動付帯”タイプがあることも知っておきたい。

年会費無料で海外旅行傷害保険が付帯する「リクルートカード」

キャッシュレス診療対応の海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードを年会費無料で作りたいという人は、「リクルートカード」を。このカードは、1.2%というポイント還元率の高さでも知られていて、カードブランドをMasterCard、Visa、JCBから選ぶことが可能だ。このうちJCBブランドには、旅行代金をクレジット支払いすることで、死亡・後遺傷害最高2,000万円、傷害治療費用100万円限度(1事故)、疾病治療費用100万円限度(1疾病)、救援者費用等100万円限度などが補償される海外旅行傷害保険が付帯する。

キャッシュレス診療にもしっかり対応しており、医療機関への手配も行ってくれるので、万が一のときにも頼りになるだろう。

年会費無料で海外旅行傷害保険の自動付帯を求めるなら「REX CARD」

「REX CARD」は、年会費無料で作れて、キャッシュレス診療対応の海外旅行傷害保険が付帯する。MasterCardかVisaからカードブランドを選べ、1.25%というポイント還元率の高さも特徴だ。

リクルートカードの海外旅行傷害保険が利用付帯であったのに対し、こちらは自動付帯となり、所持しているだけで保険が適用される。また、キャッシュレス診療にも対応しているので、万が一のときにも頼りになるだろう。

補償内容は、死亡・後遺傷害最高2,000万円、傷害治療費用200万円限度、疾病治療費用200万円限度、救援者費用等200万円限度ほかなっている。

年会費無料で疾病治療保険を充実させるなら「エポスカード」

REX CARDと同じく年会費無料、キャッシュレス診療、自動付帯という条件を満たし、さらに疾病治療費用の限度額がより高く設定されているのが「エポスカード」だ。カードブランドはVisaとなり、マルイでの特典が充実していることから、マルイをよく使う人なら持っておいて損はないクレジットカードでもある。

補償内容は、死亡・後遺傷害最高500万円、傷害治療費用200万円限度(1事故)、疾病治療費用270万円限度(1疾病)、救援者費用等100万円限度ほかとなっている。

死亡・後遺障害の金額は低いが、死亡や後遺障害の残るような事態になるよりも、食あたりや急な発熱などで病院に駆け込むほうが可能性としては高いことから、疾病治療費用が充実しているのは大きなメリットといえるだろう。

同行の家族にも保険の適用を望むなら「セゾンゴールド・アメックス」

年会費有料のクレジットカードの中には、付帯する海外旅行傷害保険に、旅行に同行している家族の分まで保険が適用される家族特約付きのものがある。家族と海外旅行に行くならこの特約は欠かせない。

カードブランドがアメックスとなる「セゾンゴールド・アメックス(セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード)」は年会費として1万円(税別・初年度は無料)がかかるが、キャッシュレス診療、自動付帯に加えて家族特約も付帯する。

補償内容は、死亡・後遺傷害最高5,000万円(家族1,000万円)、傷害治療費用300万円限度(家族300万円)、疾病治療費用300万円限度(家族300万円)、救援者費用等200万円限度(家族200万円)ほかとなっている。

このカードには国内空港ラウンジ無料サービスのほか、海外空港ラウンジ優待などの特典も付帯しており、その部分でも海外旅行に行くさいには適したクレジットカードだといえる。

リーズナブルな年会費で手厚い補償の「ミライノ カード GOLD」

家族特約付きの海外旅行傷害保険が付帯するクレジットカードを持ちたいけれど、年会費は安く抑えたいという人は「ミライノ カード GOLD」をチェックしてもらいたい。

カードブランドがJCBとなるこのカードは年会費3,000円(税別)とリーズナブルな設定ながら、付帯する海外旅行傷害保険にはキャッシュレス診療、自動付帯、家族特約付きという条件がそろっている。なお、年間100万円以上の利用で次年度が年会費無料となるため、使い方次第では初年度を除き、年会費実質無料で使い続けることができる。

補償内容は、死亡・後遺傷害最高5,000万円(家族1,000万円)、傷害治療費用500万円限度(家族250万円)、疾病治療費用500万円限度(家族250万円)、救援者費用等300万円限度(家族150万円)ほかとなっている。

一般的なゴールドカードに付帯していることの多い空港ラウンジ無料サービスなどはないものの、手厚い補償金額となっている点が特徴的なカードだ。

補償金額は複数のカードの分を合算できる

ここでは5つのカードを紹介したが、傷害・疾病治療費用に関しては1,000万円ほどの補償があったほうが安心できるため、1枚だけでなく複数のカードを併せて所持したい。

実は、傷害・疾病治療費用などの補償については、所持するカードすべての補償金額を合算した金額が限度額となるため、複数のカードを持つほど補償金額を増やすことができる。たとえば、旅行代金は利用付帯のカードで支払って保険が適用されるようにすれば、後は自動付帯のカードの保険の補償金額がそこにプラスされることになる。

上記で紹介したクレジットカードでいうと、利用付帯のリクルートカードで旅行代金を支払えば、REX CARDとエポスカードとミライノ カード GOLDについてはただ所持しているだけで、疾病治療費用の補償限度額は、100万円(リクルートカード)+200万円(REX CARD)+270万円(エポスカード)+500万円(ミライノ カード GOLD)=合計1,070万円となる。

このうちミライノ カード GOLDについては年間100万円をクレジット支払いしていれば年会費無料となるので、結果的に、どのカードにも年会費をかけることなく必要十分な海外旅行傷害保険の補償を受けられることになる。空港ラウンジ無料サービスが必要なら、どれかのカードの代わりにセゾンゴールド・アメックスを選ぶといいだろう。

このように、利用付帯と自動付帯の違いや、補償金額の合算について知ることにより、クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険を賢く使いこなすことができるはずだ。

文・モリソウイチロウ(ライター)/MONEY TIMES

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