クレジットカードの署名欄にはどんなサインを書けばいいのか? そこでつい悩んでしまい、空欄のままにしている人もいるかもしれない。ICチップ内蔵カードの普及からサインをする機会自体が減ってきている中、改めてクレジットカドのサインについて考えてみよう。

クレジットカードのサインには2つの意味がある

クレジット,カード,海外,保険
(画像=dean bertoncelj/Shutterstock.com)

端末にタッチするだけの電子マネーに慣れ親しんでくると、その手軽さとの比較から、クレジット決済時にサインをするのが面倒に感じられる。

だが、サインはカードの所有者本人であることを示すもので、それにより後払いで商品を購入できるだけの信用に値する人物であることを証明している。そのため、それを考えると面倒などとはいっていられない。

ICチップ内蔵のクレジットカード(ICカード)の場合はサインに代わり暗証番号を入力するが、ICカード未対応の店舗では従来通りサインを求められる。

また、サインレス決済に対応するクレジットカードをその対応店舗で使う場合、端末へのタッチだけで決済可能だ。だが今のところ対応店舗が少なく、また少額決済しかできないため、いまだクレジット決済にサインはつきものといっていいだろう。

クレジット決済時のサインには、伝票に記された内容について了承したことを証明するというもう1つの意味もある。そのため、利用金額や支払い方法(一括か分割かなど)に間違いがないかどうか、伝票内容をよく確認してからサインしたい。

サインは本名でなくてもいいが……

クレジット決済時のサインには上記のような2つの意味があるため、署名欄にサインのないクレジットカードは店舗で受け付けてくれない。また、紛失時に署名欄が空欄だと、拾った人がそこにサインして使ってしまう可能性もある。そのため、新しいカードが届いたときは署名欄へ早めにサインをしておきたい。書き換えを防ぐためサインは油性ペンなどで書くのが一般的だ。

サインについては、フルネームがいいのか、また漢字表記か、ローマ字表記かと迷う人もいるかもしれないが、これについて決まりは特になく、極論を言えば何を書いてもいい。つまり、漢字表記でもローマ字表記でも、イニシャルでも図形でもかまわない。何なら、横棒を1本引いただけのサインや、本名とは違う名前をサインとして用いても問題はない。

しかし、サインの用途を考えると、イニシャルや単純な図形など他人が真似しやすいものや、本名以外の名前を用いるのはおすすめできない。前者の場合、紛失したり盗難にあったりしたクレカを悪用されるリスクが高まるし、後者では店舗で不審がられる可能性があるからだ。

また、ローマ字表記のサインも基本的にはおすすめできない。ほとんどの日本人はローマ字表記でサインする機会が少ないため、毎回、同じようなサインを書けないことがある。先に説明したように、サインはカードの所有者本人であることを示すものなので、クレジットカードの署名欄のサインと伝票に書かれたサインが一致していない場合、クレジット決済できないこともあるだろう。

おすすめは漢字のフルネーム

ではどういうサインがいいかというと、最適なのは、漢字のフルネームを普段しているように書いたものだ。漢字は画数が多く書き手の個性(クセ)が出やすいため、他人は真似しにくいというのが理由だ。

カードの署名欄に書くときは変に崩したり、肩肘張ってていねいに書こうとせず、普段しているように自然体で名前を書くと、支払い時の伝票にも同じように書けるだろう。

なお、万が一、カードの署名欄のサインを書き損じても、訂正したり上書きしたりしてはならない。そのような痕跡のあるカードは使用できなくなってしまうので、カード会社に事情を話して再発行してもらうことになる。使用しているうちに署名欄のサインが薄れてきた場合も、やはり上書きせず再発行してもらうこと。

カードの署名欄が空欄だと不正利用分が補償されないことも

盗難・紛失によりクレジットカードが不正利用された場合、通常ならカード会社の盗難保険などが適用され、不正利用分に関して会員の支払い義務は生じない。ただし、カードの署名欄が空欄だった場合は別で、その不正利用分についても会員の過失によるものと判断され、負担しなければならないことがある。

また、海外などでクレジットカードを使ったときによくあるのが、サインをした伝票の金額よりも実際の請求金額のほうが高いといったケースだ。

店舗側が不正をしているわけだが、これを避けるには利用控えや利用明細を大切に保管しておき、カード会社からの請求と照合すること。覚えのない利用が記載されていた場合、カード会社に連絡すると不正請求分の引き落としを止めてもらえる。

なお、家族だからといってカードの貸し借りはしてはならない。家族間でも不正利用がありうるため、ほとんどの店舗では受け付けてくれないし、カード会社の規約違反にもなる。

家族にカードを持たせたい場合は家族カードを申し込むこと。これならカードは家族名義となり、サインもその家族のものをすればいい。

クレジットカードのサインは実印と同じくらい大切なもの

カードのサインは本名でなくてもいいし、ローマ字表記でも、あるいは読めないような記号でも構わない。しかし、無用なトラブルを避けたいなら、他人が真似しにくいように漢字のフルネームを自然体で書いたものがよい、というのが結論となる。

印鑑が重視される日本ではサインの重みが実感されにくいが、海外では本人を証明するものとして実印と同じくらい大切なものであり、クレジットカードのサインもまた同様に大切なものと考えていいだろう。

クレジットカードのサインは数十万、場合によっては数百万円の金額の決済に直結するだけに、それをどう書くかということについては慎重でありたい。

文・モリソウイチロウ(ライター)/MONEY TIMES

【関連記事 MONEY TIMES】
40代で持ちたいクレカはゴールドより「プラチナカード」? その魅力、代表的なカード比較
経営者・エグゼクティブ向けクレカ「ダイナースクラブ」を持つためには?
「アメリカン・エキスプレス」はどんなブランドなのか
陸マイラーがトクするクレカ3選 還元率3%も?
ポイント還元率の高いクレジットカード11選 買い物、マイル、通信など生活をおトクに