文部科学省「子供の学習費調査」によると、お子さん1人を公立小学校に通わせたとして、学習費総額(授業料・給食費・交通費・塾の月謝など)は約200万円。一方、私立の場合は4.5倍の900万円という結果が出ており、経済的負担は相当です。

ちなみに、小学校全体に占める私立の割合は、学校数・生徒数とも1%程度、私立小学校に通うのは極めて恵まれたお子さんです。そして慶應・聖心・学習院といったエスカレーター式の超名門は、その中でもヒエラルキーのトップに君臨し続けています。

これらトップ私立小学校で、コストに見合うリターンは得られるのでしょうか。この記事では慶應義塾幼稚舎・学習院初等科・聖心女子学院について比較しました。

慶應・学習院の学費は平均を上回る

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慶應義塾大学三田キャンパス(写真=PIXTA)

入学金を除いた毎年の授業料・施設費・教材費等の年額は、慶應義塾幼稚舎120万円、学習院初等科122万円、聖心女子学院初等科69万円です。私立小学校の平均が89万円ですから、聖心女子学院の低さが際立っています。

「このぐらいならなんとかなるかな?」と考えるのは、早合点です。お子さんが2人いれば、どちらかは公立という訳にもいかないでしょう。しかも教育費負担は、大学卒業までの16年間ずっと続きます。

文部科学省の調査(子ども2人世帯対象)によると、子供が小学生のうちは年収(可処分所得)に占める教育費の割合が2割と低く、逆に貯蓄率が高くなっています。それが大学生のころには教育費負担が5割を超え貯蓄率はマイナスに転じます。

つまり一般的な家庭では、子供が小学生のうちに貯蓄に励み、大学入学に備えているのです。私立小学校にお子さんを通わせる場合は、それが難しくなります。

ちなみに私立小学校に通う家庭の年収は、文科省の調査によると4割が年収1,200万円以上と言われています。公立小学校の場合は5%ですから、その差は歴然としています

「仲間」が最大の財産

そこまでのコストをかけて得られる最大の財産は「仲間」です。例えば大学同窓会の中でも慶應「三田会」は結束が強いと言われますが、中でも会員数約8,000人の「幼稚舎三田会」は別格の存在です。

小学校から16年間慶應で過ごしてきたこともあり、その仲間意識と母校愛で培われたインナーサークルには、中学から後に入ってきた慶應生も入り込む余地がありません。

一方、学習院初等科の同窓会「学習院初等科桜友会」には天皇陛下御自身が出席されるなど、格式の高さを誇っています

各校とも日本を動かすほど多くの著名人を輩出しており、卒業後も続くネットワークは、厳しいビジネス社会を生き抜くうえでもお互い支えとなるはずです。主な出身者を以下に挙げます。

・慶應義塾幼稚舎
嵐の櫻井翔さん・中曽根康孝衆議院議員(元首相孫)・岸信夫衆院議員・石原良純さん

・学習院初等科
今上天皇、常陸宮殿下、浩宮皇太子、秋篠宮殿下、麻生太郎財務大臣、鳩山由紀夫元総理

・聖心女子学院初等科
緒方貞子元国連難民高等弁務官、曽野綾子さん、安倍昭恵首相夫人

抜群の教育環境

学習院初等科は四谷の迎賓館と通りを隔てた場所に位置し、独特の風格を漂わせています。そして慶應義塾幼稚舎は広尾、聖心女子学院初等科は白金といずれも都心の一等地に学校を構えています。

恵まれた教育環境のもと、名門小学校の生徒たちは各校の教育方針に基づく充実したカリキュラムを受けることができます。ちなみにカリキュラムは、同じ慶應でも幼稚舎は運動力、横浜初等科は基礎学力に重点を置くなど、独自性を貫いています。

学校を選ぶうえで最も大切なこと

以降、功利的な側面にフォーカスを当ててお話してきましたが、では学校を志望するうえで最も大切なことはなんだと思いますか。それは、「学校の教育理念」なのかもしれません。

例えば聖心には親子数代の子弟も珍しくないですが、子どもを通わせたい大きな理由が、「他者への愛と寛容そして感謝の精神を学べること」だそうです。そして精神のベースは、「家族愛」です。家族を大切に思える子どもこそが、聖心に相応しいのです。

名門校にも、それぞれ特色があります。ただ名門だからというだけでなく、その学校の教育理念に共鳴できるか、そうした視点で選ぶべきでしょう。

文・J PRIME編集部

(提供:JPRIME

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