遺言書を作成することで、築いてきた財産を大切な家族に遺すことができます。しかし、作成方法を誤れば、遺言書が無効とされてしまう危険性があります。遺言書作成の注意点やポイントについて解説するので、正しい知識を身につけて遺言書を作成しましょう。

遺言書を作るなら公正証書遺言がおすすめ

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(写真=Piotr Adamowicz/Shutterstock.com)

自分の死後、所有財産をどのように分割するかについて記載した文書を遺言書といいます。遺言書がなければ、遺族が遺産分割協議をして財産を分割することになります。しかし、遺産分割協議には何かとトラブルがつきものです。

兄弟姉妹の仲が良かったとしても、それぞれの配偶者が意見するうちに仲がこじれてしまうケースは数多くあります。財産が現預金だけであれば分割は比較的簡単ですが、不動産や有価証券などがある場合、平等に分割するのは難しくなります。

トラブルの多くは、遺言書を遺しておくことで未然に防ぐことができます。財産の所有者であるあなたの遺志を知れば、遺族間で余計な争いをすることもなく、遺産を分割をすることができます。大切なご家族に争いの種を残さないためにも、生前に遺言書を準備しておきましょう。

遺言書は作成方法の違いから、3種類に分けることができます。1つ目は「自筆証書遺言」です。遺言者が文章などを含めて自作し、自著捺印して保管しておくものです。最近では、インターネットに無料のテンプレートが公開されていますが、こういったものを活用して作成したものも含みます。自筆証書遺言のメリットは何といっても費用がかからないことですが、その分死後に無効とされてしまうリスクもあるため、あまりおすすめできません。

2つ目は「公正証書遺言」です。自筆証書遺言とは異なり、作成後に公証役場で証人・公証人の立ち合いのもとに自著捺印します。公証役場で手数料を支払う必要はありますが、信頼性の高い作成方法で、無効とされるリスクも低いです。専門家の目を通すため、後で内容について問題が生じる心配がありません。

3つ目は「秘密証書遺言」です。自作し封をした状態の遺言書を公証人に確認してもらいます。この方法は、自筆証書遺言と公正証書遺言の間をとった作成方法ですが、あまり一般的ではありません。公証人役場で手数料が発生するものの、封をした状態では内容を確認してもらうこともできず、メリットよりもデメリットが大きいことが多いためです。

せっかく遺言書を作成したのに、無効とされてしまっては意味がありません。遺言書を作成する時は、公正証書遺言で作成し、きちんと専門家の目を通すことをおすすめします。遺言書の効力について相続人間で裁判になると、大切な財産を意図した相手に遺すことができないばかりか、裁判の負担を長年に渡って遺族に強いることになります。専門家に相談し、公正証書で作成すれば無用なトラブルを防ぐことができます。

遺留分を踏まえて遺言書を作成する

遺留分とは、配偶者や子、父母や祖父母などの直系尊属に認められている、最低限度の財産を相続する権利のことです。遺留分は法律で守られている権利なので、遺言書であっても覆すことはできません。

例えば、血縁関係のない人にすべての財産を遺すと遺言書に記載したとしても、配偶者や子は遺留分を請求する権利があります。遺留分は、父母や祖父母などの直系尊属のみが相続人の場合は遺産総額の3分の1、それ以外の場合は遺産総額の2分の1と定められています。遺言書を作成する時は、遺留分についても理解した上で作成することが大切です。

遺言書の書き方

遺言書では、すべての財産について記載する必要はありません。自分が書き遺しておきたい財産についてのみ言及することも可能です。また、具体的にどの財産を誰に遺すかを指定する方法の他に、分割割合だけを指定する方法もあります。

遺言書にすべての財産について記載する場合も、もし記載した財産以外の財産が出てきた場合の取り扱いを定めておくようにしましょう。「配偶者が相続する」「長男が相続する」「法定相続分で分割する」といった内容を定めておけば、遺族の混乱を防ぐことが出来ます。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)

(提供:JPRIME

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