新卒などで初めて会社に入社する人や、転職などで会社の社会保険に入るという人の中には、会社から年金手帳が送られてくるものだと思っている人もいるかもしれません。しかし、厳密には「厚生年金手帳」というものはなく、あなたの生涯の年金は、20歳になるともらえる「年金手帳」にて管理されています。この記事では、大事な年金を管理する年金手帳について説明します。

年金手帳ってなに?

厚生年金手帳
(画像=PIXTA)

年金手帳は誕生日の前日から数えて14日以内に「国民年金被保険者関係届書」を市役所などの国民年金担当窓口に提出することでお手元に届きます。すでに会社員として厚生年金に加入している方や、厚生年金加入者の親などに扶養されてる場合は提出不要です。

年金手帳には大きく分けて、以下の2つの役割があります。

・これまでの年金保険料の支払い記録

20歳を超えると、なんらかの公的年金に加入することが義務付けられ、会社員や公務員の場合は「厚生年金」に加入することになります。加入中は給与に応じた保険料を支払います。

老後に受け取ることができる年金は、この支払った期間・保険料に応じて決定されます。これを記録しているのが年金手帳です。年金手帳には、厚生年金と国民年金、両方のデータが管理されています。

・年金の給付を受ける手続きで使う

年金手帳の役割は、保険料の支払い記録だけではありません。実際に年金などの給付金を受け取る際にも必要になります。

受け取ることができる給付金は、老後の年金だけではありません。その他に障害年金、障害一時金、遺族年金などがあります。これらの給付金を受け取る際に、特段の理由が無い限り年金手帳の提出が求められます。このように、年金手帳はいざという時のお金を受け取るため、という大事な役割も持っています。

年金手帳を見てみよう

もし年金手帳が手元にある場合は、実際に何が記載されているか、一度中を開いて確認してみましょう。以下にチェックしておきたい項目を挙げます。

・基礎年金番号

年金手帳には、基礎年金番号という10桁の数字が記載されています。日本の公的年金は複数の種類がある複雑な仕組みですが、この基礎年金番号を使って個人を識別しています。

基礎年金番号は各年金統一の番号であり、転職などで加入する公的年金の種類が変わっても、継続的な管理ができる仕組みとなっているのです。

基礎年金番号は手帳の前半部分、氏名などの個人情報が書かれているページに記載があります。年金に関する手続きでは、この番号の提出がよく求められます。

・保険料の納付記録

個人情報のページから先は、実際に加入していた公的年金の記録が記載されています。会社員の年金である厚生年金の欄には勤務先の企業名・所在地とともに、加入期間が記載されています。

年金手帳が手元になくても記録は確認できる

会社員の年金である厚生年金の場合、基本的に勤務先企業が手続きの窓口になります。そのため、従業員の年金手帳を企業が預かっているケースがあります。気になる方は総務課や人事部など、年金を担当している部署に確認してみましょう。

・納付記録はお知らせでも確認可能

先述した年金に関する情報は、年金手帳以外でも確認が可能です。「ねんきん定期便」などの日本年金機構から送られてくるお知らせに納付状況が記載されています。そちらで納付状況を確認できます。

・「ねんきんネット」を利用すればウェブ上で納付記録が確認できる

年金手帳や日本年金機構からのお知らせが手元になくても、ウェブ上で納付記録は確認できます。日本年金機構のサービスである「ねんきんネット」を利用しましょう。ログインすれば、納付記録がいつでも確認できるようになります。

氏名や住所が変わったら変更手続きを

結婚して氏名が変わった、引っ越しをしたなどの場合は、変更手続きが必要です。厚生年金の場合は、会社に届け出を出すだけでOK。企業側で手続きをしてくれます。

年金手帳をなくしてしまった場合

勤務先企業が預かっておらず、手元にも年金手帳がない場合は、紛失の可能性があります。もし年金手帳を紛失した場合、どうすれば良いのでしょうか?

・必ず再発行を!

年金手帳を紛失した場合、必ず再発行をしましょう。先述の通り、年金給付金受け取りの手続きなど、年金手帳は非常に重要な役割を持っています。面倒でも再発行の手続きをしておきましょう。

・会社に伝えるか、自分で再発行手続きを

年金手帳の再発行手続きは、勤務先の企業に伝えるか、自分で年金事務所に行き、再発行の手続きを行います。日本年金機構の電話窓口「ねんきんダイヤル」に電話し、手続きをしても大丈夫です。

年金手帳は年金制度を支える大事な存在!

現役で働いているうちは縁遠いように感じる年金ですが、年金手帳は私たちと年金制度を結ぶパスポートのような存在です。

これまで納付してきた保険料も記録されており、将来の年金額の証左になりますから、もし手元にある場合は大事に保管しておきましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)/fuelle

【こちらの記事もおすすめ】
せこくない、苦しくない、続く「節約術」まとめ
これで10%オフ!デパコスのオトクな買い方3選
免税店でさらにお得に買い物する3つの裏ワザ
イオン系列の株主優待「徹底活用術」生活費を浮かせる3つのポイント
えっ、知らないの?ヨーロッパでオトクに買い物できる「デタックス」活用法