社員が口にしない言葉をミッションに掲げても意味がない

ビズリーチ,南壮一郎
(画像=THE21オンライン)

即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト『ビズリーチ』、挑戦する20代の転職サイト『キャリトレ』など、これまでになかった転職サービスで人材業界を席巻しているビズリーチ。2009年の創業から10年足らずで、業界屈指の企業に急成長した。そんな同社は、創業2~3年目の時期に、経営理念を明文化したという。経営理念は、企業の成長とどう関わっているのだろうか? 創業社長の南壮一郎氏にうかがった。

ビズリーチ,南壮一郎
(画像=THE21オンライン)

楽天イーグルスで学んだ言葉の大切さ

南氏が、ミッション・バリュー・クレドなどの「ビズリーチウェイ」を明文化しようと考えたのは、創業2~3年目、社員数がまだ30名程度の頃だった。

「会社がだんだんと組織化される中で、今後の成長を促進するには、そろそろ、『この会社が大事にしていることは何か』を明文化したほうがいい。会社という船が向かう方向や、『なぜこの船が存在しているのか』という理由を旗として示して、誰もが見えるように高く掲げることが必要だと考えました」

そう考えたのは、前職の楽天イーグルスの初代球団社長・島田亨氏の影響だという。

「島田さんは、『The Baseball Entertainment Company~私たちは、野球を通じて感動を創り、夢を与える集団である』という会社の経営理念や、行動指針など、言葉を非常に大事にしていて、事あるごとに話していました。

私自身は、転職当初は『経営理念なんてそんなに重要かな?』と懐疑的だったのですが、球団で3年間働くうち、考え方が変わりました。自分たちが信じている根っこの思想を言語化することは、社員が向かう方向性を合わせるうえで、とても大切だと感じるようになりました」

きれいごとではなく普段使っている言葉を

ミッションやクレドをまとめるにあたり、南氏は社員から、「普段、会社でよく使っている言葉」を公募したという。

「ミッションやクレドは、綺麗事や格好良い言葉になってしまうこともあると思うのですが、それは避けたかった。日々、会社の中で皆が使うことが重要だからです。普段使っている言葉でないと、社員に使ってもらえないし、定着もしないと思いました。

公募した言葉をまとめて、半年ほどかけて話し合い、最終的に創業メンバーの佐藤(和男氏)と二人でまとめました」

こうして定めたビズリーチウェイは、1度の改定を経て、現在のものになっている。