南極電商(002127、深セン中小企業板)は、南極人、CARTELOなどのブランド利用権、経営ノウハウ、モバイルインターネットマーケティングなどの提供が主要業務。上海市に拠点を置く民営企業である。

目次

  1. 下着のトップブランドになるまで
  2. 上場企業を買収して上場する「バックドアリスティング」を採用
  3. 2016年以降の業績推移
  4. 買収効果、相乗効果で業績は急拡大
  5. ブランドを核に、経営ノウハウを提供
  6. 「中国製造2025」が過剰に意識され、株価は売られすぎ

下着のトップブランドになるまで

中国株
(画像=ZUU online)

創業者は1964年生まれの張玉祥会長。1997年に上海兆林実業有限公司が発売した「軽くて、軟らかくて、暖かい“保温下着”」が爆発的なヒットとなったのを見て、保温下着の潜在需要の大きさに気付き、1998年、300万元の資金を投下して独自の保温下着である“南極人”の生産を開始した。この“南極人”は爆発的に売れ、4カ月後には1億元を超す売上となり、これが事実上の創業となった。

2000年に先行他社である上海兆林実業有限公司の“保温下着”の構造について、1ないし2層の薄い化学繊維シートが使われていることが発覚。消費者から強い不満の声が上がった。一方、同社は既に化学繊維から、米デュポン社との提携により開発した「綿+スパンデックス」に材質を変えていたことで、一気に名声が高まり、下着のトップブランドへと成長していった。

下着から始め、カジュアルウエア、ダウンウエア、セーター、ベッドカバーなどのホームテキスタイルへと製品の幅を拡大した。ダウンウエアについては、それまでファッション性に注目した製品がなかった点に着目、シティダウンウエアといったコンセプトで、デュポンや日韓の先進的な素材、YKKのファスナーなどを使い、おしゃれなダウンウエアを開発。中央テレビ局のゴールデンタイムでコマーシャルを流すなど積極的な広告宣伝を打ったことで「南極人」ブランドはダウンウエアで波司登に次ぐ規模のメーカーへと躍進した。こうして“南極人”は消費者の間で広く知られる有名ブランドの地位を獲得した。

上場企業を買収して上場する「バックドアリスティング」を採用

2008年に金融危機が発生、繊維産業は強烈な不況に見舞われた。同時に下着類の同質化が進み、それが経営不振に拍車をかけた。この逆境に際し、「保温下着からダウンウエアまで、売上規模は大きいものの、このままでは将来の成長は見込めない。イノベーションを進め、ハイテクの含量を増やし、ブランド効果を高めてこそ成長を続けることができる」と張玉祥会長は考えた。

そこで、これまで十数年かけて作り上げてきた製造から販売までの一貫生産体制を根底から分解し、ブランドを除き、すべてを売却。過剰な産業チェーンの整理統合を行った。

2012年には電子商取引が勃興し始めると、今度は電子商取引企業に転身、サプライヤーや卸売業者に対してワンストップ型の総合サービスの提供を開始した。2016年1月には、深セン中小企業板上場企業である江蘇新民紡績科技を買収する方法(バックドアリスティング)で上場を果たした。ちなみに、被買収企業の資産はすべて売却されているので、コード番号だけが同じで全く中身の違う企業がすり替わったような形となっている。

2017年7月、オンライン・トラフィックマーケッティングを行う時間互聯を買収した。同社は、VIVO、小米、テンセント(応用宝)、百度(携帯助手)、91アンドロイド市場、豌豆英をはじめ、EC取引業者(蘇寧易購、併多多、唯品会、網易考拉、毎日優鮮など)、ネットサービス業者(チータモバイル、一下科技、映客、掌閲、YY、美拍、捜狐など)、不動産仲介サービス業者、金融機関(融360、宜人財産、人人貸)など、800社以上の顧客を持っている。

2016年以降の業績推移