ビール業界に「変化」が見られる。1月16日、国内のビール大手5社が発表した2018年のビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の「課税出荷数量」は前年比2.5%減の3億9390万ケース(1ケース大ビン20本)で14年連続の減少となった。
注目されるのはメーカー別のビール系飲料のシェアだ。トップはアサヒグループホールディングス <2502> で37.4%を占めるが、前年比で1.7ポイント縮小。2位はキリンホールディングス <2503> で34.4%、前年比で2.6ポイントのシェアを拡大している。以下、3位のサントリーは16.0%で変わらず、4位のサッポロホールディングス <2501> は11.4%で0.7%縮小、5位のオリオンビールは約0.9%で変わらずとなっている。
ビール系飲料の出荷が年々減少する中で、キリンだけがシェアを拡大し、トップのアサヒに3.0ポイントと迫っている。ちなみに、キリンの株価は2018年4月に3199円の高値を付けたあと、12月の安値2163円まで32%下落したが、その後は反転上昇し年明け1月22日の高値2554円まで18%戻している。一方、アサヒの株価も昨年高値から34%下げたものの、安値からの戻りは11%にとどまっておりキリンに比べると上値の重さは否めない。
今回はビール業界全体を取り巻く環境と、キリンがシェアを伸ばしている背景、さらに今後の注目ポイントについてお届けしたい。