もらってうれしいボーナスですが、その明細を見て「あれ?思ったより天引きされていて手取りが少ない……」と感じたことがある方もいるかもしれません。実はボーナスから引かれる厚生年金保険料は、制度改正や保険料率の引き上げの影響で、以前より高額になっています。その計算方法や賞与金額に対する保険料の目安をご紹介します。

昔はボーナスから厚生年金保険料を払わなくてもよかった!?

ボーナス,厚生年金,保険料
(画像=PIXTA)

2003年より前は、厚生年金保険料は主に毎月のお給料から引かれるものでした。給与に対する厚生年金の保険料率は17.35%でしたが、賞与に対しては1995年4月から2003年3月まで「特別保険料」として1%かかるだけだったのです。

この場合、同じ年収でも「月給30万円、ボーナス40万円で年収400万円」の人より「月給20万円、ボーナス160万円で年収400万円」の人の方が保険料負担は少なくて済みます。そのため、負担逃れのためにボーナスの比重をできるだけ大きく設定する企業が現れました。

それでは不公平だということで、2003年4月から総報酬制という制度が導入され、月給でもボーナスでも保険料率は同じになりました。自分が将来受け取れる年金額に、ボーナスから引かれた年金保険料が反映されるようになったのはこのときです。

これまで年金制度の維持のために、年々じわじわと保険料が上がり続けていましたが、2017年に18.3%になったところで保険料率の引き上げが終了しました。

また、2003年3月以前に支払っていた0.5%(労使折半により本人負担は半額)の特別保険料は将来受け取る年金に反映されませんでしたが、現在支払っている保険料は年金の受取額に反映されます。この点は、賞与に対して保険料を支払うメリットであるといえるでしょう。

賞与から引かれる保険料は、次のように計算することができます。

賞与(ボーナス)にかかる厚生年金保険料の計算方法は?

賞与に対する厚生年金保険料は「標準賞与額×保険料率」という簡単な式で計算することができます。「標準賞与額」とは、税引き前の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額のことです。賞与の支給1回当たり150万円(同じ月に2回以上支給された場合は合算)が上限になります。なお、ここでいう「賞与」とは、年3回以下の回数で支給されるものを指します。

厚生年金保険料は会社と本人が半分ずつ負担して支払う労使折半になるので、賞与から引かれる保険料は「標準賞与額×保険料率×2分の1」となります。例として賞与額に対する自己負担分を計算すると、下表のようになります。

標準賞与額 自己負担する厚生年金保険料
25万円 2万2,875円
50万円 4万5,750円
100万円 9万1,500円
150万円以上 13万7,250円(上限)

月給や賞与額を入力すると、自動で年金保険料を計算してくれるサイトもあり、手軽にシミュレーションをすることができます。

(参考:「高精度計算サイト - keisan - CASIO」

支払う保険料や税金を把握し、その内訳やメリットに興味を持とう

賞与を受け取ったら、よく明細をチェックしてみてください。厚生年金だけでなく、健康保険料や雇用保険料、所得税などが引かれているはずです。明細の見方がよくわからなければ、会社で給与計算を担当している部署に確認してみましょう。

支払った年金保険料の金額は、年に1回届く「ねんきん定期便」でも確認することができます。

「ねんきん定期便」では、加入実績に応じた年金額も知ることができますので、保険料を支払うモチベーションにつながります。

社会保険料や所得税は、給与から天引きされているので、細かい金額までは把握しづらいかもしれません。とはいえ、自分が稼いだ貴重なお給料から支払う保険料や税金ですので、何にどれくらい支払っているのかはきちんと把握するようにしましょう。

文・馬場愛梨(ファイナンシャルプランナー・心理カウンセラー)/fuelle

【こちらの記事もおすすめ】
せこくない、苦しくない、続く「節約術」まとめ
これで10%オフ!デパコスのオトクな買い方3選
免税店でさらにお得に買い物する3つの裏ワザ
イオン系列の株主優待「徹底活用術」生活費を浮かせる3つのポイント
えっ、知らないの?ヨーロッパでオトクに買い物できる「デタックス」活用法