第2次安倍内閣発足でJ-REIT市場が活発化する!?
今月3日、「元気で豊かな地方の創生」に全力で取り組むことを公約として掲げた第2次安倍改造内閣が発足しました。デフレ脱却を目指し、経済対策を最優先に取り組むということですので、日本の不動産投資市場もこれまで以上に活気づく可能性があり、大きな期待が寄せられています。
不動産を賃貸して得た利益を分配金として受け取ることができる金融商品「J-REIT」も、サブプライム問題や2008年9月に起こったリーマンショックの影響による世界的な金融危機に直面し、一時停滞局面ともいえる厳しい状況にありましたが、安倍政権による、いわゆる「アベノミクス」への期待などを背景に不動産取引が活発化し、日本銀行による力強い金融緩和政策なども功を奏して、回復基調を続けています。
ここでは地方創生のキーポイントになるであろう、日本の不動産投資市場の現状について紹介したいと思います。
J-REIT、緩やかな回復で時価総額は過去最高の8兆6200億円
日本の不動産投資市場の現状ですが、投資対象不動産価格に回復傾向が見られるなど、日本の不動産投資市場は活性化しつつあると言えます。ただ、それはJ-REITの配当額推移などを見る限り、2006年7月末~2007年5月末のときのように、J-REIT市場(東証リート指数)が1年以内に約60%も急上昇したミニバブル的な業績回復ではなく、不動産市況の回復スピードに比例して、緩やかに回復していくものと考えられます。
直近の出来事では、マレーシア航空機撃墜事件や中東情勢の緊迫化など不安要素もありましたが、アベノミクスによる資産効果により投資口価格は上昇し、7月末にはJ-REITの時価総額は8兆6200億円と月末ベースで過去最高を更新しました。新規上場がなかったため、銘柄数は46銘柄にとどまりましたが、1日当たりの売買代金は昨年の9月以降、連続して200億円を超えています。
日本の不動産投資市場、世界で2番目の規模
国別に見た投資用不動産の市場規模を見てみると、1位はアメリカ(25.4%)で日本は2位(10.1%)、3位が中国(7.0%)となっています。日本は公的債務も膨れ上がり、IMFによる主要国の実質GDP成長率の推移では、2014年のGDP成長率は2%弱、2018年までは1%台前半と予測されていますから、今後、大幅な経済成長を見込むのは難しく、7%前後で推移すると見られている中国やインドに比べれば、はるかに低いことがわかります。
そのような状態にありながらも日本が投資用不動産の市場規模で世界第2位なのは、日本の国債の9割以上が国内投資家によって保有されており、国債価格がすぐさま暴落する危険性が低いと考えられているからです。投資家たちは日本国内に資金がとどまり循環する限り、財政破たんの可能性は低いと考えているのでしょう。
また、東京は世界的にも有名な大手企業が最も集積している都市であり、2020年にはオリンピック・パラリンピックも開催される予定です。今後、オリンピック関連施設の建設や人口増加が予想される港区、中央区、江東区などではインフラ整備が加速するでしょうから、そういった意味でも投資家たちの関心を集めていくことになるでしょう。