融資を受ければ少ないお金でも不動産投資を始められる

しかしながら、中古ワンルームマンションや1棟アパートを自己資金で購入することは至難の業です。この購入というハードルを下げてくれるのがローンというわけです。ローンを組めば、毎月のローン返済をしていくことになりますが、「購入のハードルを下げてくれる」という他にもメリットがあります。それは「運用効率」が上がるということです。「ローンを組む」ということは言い換えれば「他者(金融機関)よりお金を借りて自分のための収益を稼ぐ」ということです。

つまり「資金は他者、利益は自分」というわけです。もちろん、自分が購入した投資物件に抵当権を設定されたり、返済が滞れば督促を受けるリスクもありますが、長い時間軸で見れば、ローンを組むことによって自己資金がわずかでも、将来的には大きな資産が自分の物になるのです。具体的な例を挙げれば、100万円の頭金を用意して、1,000万円の投資物件(年間家賃80万円)を購入した場合、運用効率は80万円÷100万円=80%となります。もちろん年間家賃のほとんどは返済に回りますが、返済した分、担保に取られている投資物件の自分の実質的な持分が増えたと考えられるわけです。

現金一括購入と融資とどちらが良いの?

「ローンのリスクを負わない」「担保価値のある不動産を即座に手にすることができる」というメリットのある自己資金と、「購入のハードルが低くなる」「運用効率が上がる」というメリットのあるローンと、選択肢として両方ある場合にはどちらが良いのでしょうか。ここでデメリットについても考えてみましょう。自己資金で購入する場合のデメリットは「購入のハードルが上がる」「ローンに比べて運用効率が落ちる」ということです。

一方でローンを組む場合のデメリットは「ローンリスクを負う」「購入した投資物件については当初は実質的に抵当権者のもの」ということです。それぞれにメリット・デメリットがあるわけですが、ここで重要なことは、「ローンを組むか組まないか」ということではなく「どれくらいの割合をローンで賄うか」という考え方をした方がよいということです。半年で完済できるようなローンを組むなど、ローンの割合が極端に低ければ、ほぼ自己資金で購入したことと同じとなります。つまり時間軸で見た場合、どの時点でローンを完済し、投資物件が自分の物になるのかという考え方が必要というわけです。それにより、享受できるメリットの度合いも異なってきます。

長期のローンを組めることは魅力

さて、投資物件を購入する場合における資金準備方法としての自己資金とローンとの、それぞれのメリット・デメリットを見てきました。最終的には「ローン割合をどれくらいにすればよいのか」という内容を考える事が重要という話をしましたが、資産運用において長期ローンとは大変魅力的なものです。これはローンの部分で話をしましたが、資産運用の効率を上げることができるからです。全額自己資金で準備するか、ローンを組むか、どちらの選択肢もある場合には総資産の状況を見ながらローンを検討してみるのも良いでしょう。

例えば1戸目の中古ワンルームマンションは自己資金で購入するが、2戸目の中古ワンルームマンションはローンを組むという方法も検討に値します。ローンを利用することで収益が一気に2戸分になりますし、1戸目に抵当権が付いていない分、2戸目のためのローンは組みやすくなっているはずです。また、複数物件保有すれば空室リスクも薄まりますから、たとえローンを組んだとしてもそのリスクは小さくなります。長期のローンを組むことができるというのは数ある投資商品の中でも不動産投資にのみ存在するメリットです。このメリットは活かすという方法も考えることは資産運用において重要なことです。

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