保険への加入チャンネルとして多くの人に選ばれている、保険代理店。保険料がお得なダイレクト型保険があるが、あえて代理店経由で保険に加入することには様々なメリットがある。ただし、満足できる保険を選ぶには、良い代理店を見分けることが大切だ。

保険代理店とは?ダイレクト型とは何が違うのか

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(画像=g-stockstudio/Shutterstock.com)

保険代理店は、保険会社との委託契約に基づき、保険会社の代理人として顧客との間で保険契約を締結する。またこれ以外にも代理店は、以下のような業務を行う。

・保険商品の説明、勧誘、見積もり
・保険対象の確認
・保険料の領収
・各種変更手続きや解約手続きの受付
・事故受付や保険会社への連絡
・保険金請求手続きのサポート

ダイレクト型保険との違いとは?

テレビCMやネット広告などでおなじみの、ダイレクト型保険。これと代理店型保険との決定的な違いは、「対面販売ではない」ことだ。

保険代理店では、営業担当者から商品の説明を受け、対面で契約申込みの手続きをする。これに対してダイレクト型保険は、電話やメールでやり取りをし、申込み手続きもインターネットや郵送にて行うのだ。

保険代理店で保険に加入するメリット

保険代理店で保険に加入するメリットとしては、以下の点が挙げられる。

家族の保険を一元管理することができる

現在加入している保険について、家族単位で考えてみたことはあるだろうか。自身の自動車保険・生命保険・医療保険、妻の傷害保険・医療保険、子供の自転車保険・医療保険・学資保険、自宅の火災保険……というように、様々な種類の保険に加入している世帯がほとんどだろう。

家族の保険をすべて自分で管理するのは、かなり骨が折れる作業だが、一つの代理店で保険に加入していれば、家族全員の保険を一元管理できる。

例えば、傷害保険と医療保険に加入している妻がケガをして入院した場合、代理店にその旨を報告するだけで両方の保険について保険金請求手続きを進めてもらうことができる。もちろん、最終的なやり取りは契約者と保険会社で行うことになるが、請求漏れを防げたり、最初の窓口を一本化できたり……といった意味で、代理店には大きな存在価値があると言えよう。

子供の成長やライフステージの変化に応じた提案を受けられる

必要な保険は、子供の成長やライフステージによって変化する。そのため保険は、定期的にその内容を見直さなければならない。代理店の営業担当者は、顧客の家族構成や年齢についても把握しているため、子供の成長やライフステージの変化に合わせて保障内容の見直しや新たに必要な保障について提案をしてくれる。

手厚いアフターサービスを受けられる

保険代理店の中には、事故発生時に現場へ駆けつけたり、保険会社との間に入り保険金請求などのサポートをしたり、自動車整備工場や工務店と連携して自動車や家の修理のサポートをしたり……というように、契約後も手厚いサービスを提供しているところがある。こういった点も、代理店で保険に加入するメリットの一つと言えるだろう。

保険代理店で保険に加入するデメリット

代理店で保険に加入することには、デメリットもある。

ダイレクト型保険に比べて保険料が高い

保険代理店では、保険料に代理店手数料が上乗せされている。よって、ダイレクト型の保険に比べると同じ保険でも保険料が高くなる傾向にある。

良い代理店を見分ける必要がある

代理店を利用することには様々なメリットがあるが、どの代理店でも同じようなサービスを受けられるのかというと、残念ながらそうではない。ひとくちに代理店といっても、扱っている保険会社の数や保険種目、顧客数や経験、営業担当者のプランニング能力、提供しているアフターサービスなどには差がある。そのため、よりニーズに合った保険を選んだり、満足度の高いサービスを受けたりするためには、「良い代理店かどうか」を顧客側が見分けなければならないのだ。

良い代理店を見分けるためのチェックポイント

良い代理店かどうかを見分けるには、以下のポイントをチェックしてみるといいだろう。

話をしっかり聞いてくれるかどうか

保険のプランニングでは、顧客のニーズを把握することが最も重要といっても過言ではない。そのためには、顧客の話にしっかり耳を傾ける必要がある。

代理店の営業担当者が自分の話をしっかり聞いてくれたり、様々な質問によって自分のニーズを引き出そうとしてくれたりする人ならば、信頼して保険のプランニングを依頼していいだろう。

質問に対して納得のいく答えが返ってくるかどうか

良い保険代理店かどうか見分けるには、営業担当者に質問をぶつけてみるのも一つだ。質問に対して誤魔化すような回答をしたり、納得のいかないような答えしか返ってこなかったり……という代理店であれば、残念ながら信用に値しない。

反対に、質問に対して真剣に答えてくれたり、即日回答ができない場合でも保険会社に問い合わせるなどして後日きちんとした回答をしてくれる代理店は、信頼できる。

顧客数や代理店としての経験年数

代理店選びでは、その代理店がどのくらいの顧客を抱えているのか、創業からどのくらい経つのか、といった点についてもチェックすることをおすすめする。顧客の数が多ければ多いほど、経営年数が長ければ長いほど、保険代理店としての経験値は高くなる。

保険のプランニング能力や事故処理能力は経験を重ねるなかで培われる部分もあるため、この点も良い代理店かどうかの判断材料になるだろう。

保険代理店に行く前に準備しておくべきこと3つ

保険代理店に行く際は、事前に以下の準備をしておこう。顧客側が事前準備をしておくと代理店の営業担当者もニーズを把握しやすくなり、満足できるプランニングが期待できるからだ。

現在加入中の保険の内容がわかるものを用意する

現在加入している保険がある場合、保険証券や満期案内など、保険の内容がわかるものを用意しておこう。加入している保険の内容がわかれば、それと比較しながら話をすることができるからだ。

世帯収入を把握し予算を決めておく

妻の収入も含めた世帯収入を把握し、毎月どのくらいの保険料を支払えるのか、おおよその予算を決めておくことも大切だ。代理店の営業担当者も、世帯収入と予算がわかればニーズに合ったプランニングをしやすくなるし、顧客側も、「なぜこんなに高い保険を勧めてくるのだろうか……」といった不満が生じにくくなる。

将来のライフプランについて簡単にメモしておく

代理店に行く前には、自分たちが何歳のときに子供が独立するのか、何歳のときに住宅ローンの返済が終わるのか、何歳で退職するのか、老後はどんな生活をしたいのか……といったことをまとめておきたい。将来のライフプランがある程度決まっていれば、何歳までいくらの保障が必要で、それ以降はどんな保険に切り替えるのか、といったプランを立てやすくなるからだ。

保険代理店を通して保険に加入すると、様々な付加価値を利用できる。しかしそのためには良い保険代理店を見分けなければならないし、自分が何を求めているのか、どんな保障が必要だと考えているかを担当者にしっかり伝えなければならない。これまで保険についてあまり真剣に考えたことがなかった人は、保険証券を整理したり、将来のライフプランについて考えたりすることから始めてみてはどうだろうか。

文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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